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天災 視察

センターが帰ってきた


「帰ってきたにゃんよー」


「お帰りなさいセンターさん」


「遅かったな」


「町でちょっとした噂を聞いたにゃんよ、どっかの町が勢力を拡げてるとかなんとか、ここの領主の娘は婚期がギリギリだとか、隣の芝は青いとか、彼処の家は猫だらけとか」


最初のはもう聞いている。

二つ目は、初耳だが次期領主の婚期がギリギリでも俺としては別に構わない

三つ目は、慣用句かどっかの住宅事情だろう。

四つ目は言うまでもない


「おつかいありがとう」


「感謝するがいいぞ」


センターはかなり上機嫌だ


「さてと、俺たちもこれからどうするかを考えないといけない」


「そうにゃんね」


「なんにしても情報が必要だ、俺はちょっと隣町を見に行ってくる」


「俺は待ってるよ」


「私も行きます」


「じゃあレイラも行こうか。レフト、センター、留守番頼むぞ」


「りょーかいにゃー」


「待っていてやるにゃん」


アルベリクとレイラは玄関ではなく庭から飛び立った


「あのーアルさん?まだ昼間ですよ?飛んじゃって大丈夫ですか?」


「すぐに上空まで上がれば問題ないはずだ」


言った通りにすぐに上空まで昇った


「さてと隣町アンタレスまで急ぐぞ」


「……はい、寒いですね」


「そうか?俺は大したことないけど、寒いならこれ着とけ」


アルベリクは黒い外套を脱いでレイラに被せる


着とけと言ったわりに着せてない


すると外套が融けるように形を崩してレイラにまとわりついて、レイラにピッタリのサイズの黒い外套になった。


「これは着る者に適した形をとる外套だ。体に合わせて大きくも小さくもなるし、丈夫だし、破れても自己修復するから長年使ってる。」


「いつから使ってるんですか?」


「だいたい俺が12ぐらいのときからかな」


約500年も着られ続けた外套は今も新品のようにキレイで破れもホツレも染みもシワも見当たらなかった


「さてと、あれがアンタレスだ。この辺で降りるぞ、口は閉じてろよ、舌噛むぞ」


「はいっ」


アルベリクはゆっくりと羽ばたきながら高度を落とす


そしてゆっくりと着地した。


着地の方法を例えるならヘリコプターだ。


「ここからは歩くぞ、歩けるか?」


「大丈夫です。歩けます」


アルベリクはレイラを下ろす。


「アンタレスってどんな町ですか?話にはよく聞くんですが行ったことなくて」


「そうだな~、農耕で栄えている町で、住人の性格は温厚、スラムは無い」


「スラムが無いんですか、いい町ですね」


「まあ平和だな。ただ活気があるかと言われるとそうでもない」


「平和だけど活気がないですか」


「毎日毎日同じ事を繰り返してたらそりゃ活気も無くなるわな」


アルベリクとレイラは街道を歩く


周囲を草原に囲まれた街道を歩いていると徐々に田畑が増えてきた。


「さすがは農耕で栄えている町ですね。畑が一杯ありますね」


「これだけ畑が外にあるのに荒らされた形跡が無いんだよな」


「森をしっかり管理できてるんでしょう」


「さてとあと少しだな」


アルベリク達は歩き続ける


そして町についた。


「町と言うよりは農村だな」


「ここが落ちてしまったなら、アンダルが落ちるのも時間の問題ですね」


「あまり時間があるわけじゃないからさっさと調べて戦争の準備をしよう」


「戦争ですか、嫌な時代ですね」


町には当然だが活気がない、そして男性が少なかった。


「やけに活気がないな、この前来たときはもうちょっといい感じだったと思ったが」


アルベリクは道行く老婆に尋ねる


「そりゃ、ゲーテの傘下に入って男達が戦争に駆り出されてるからだよ。早くアンダルを潰さないと町を焼かれちまうからね」


「嫌な時代だね」


「ああ、嫌な時代だ」


「国の中がこんなことになってんのに国王は何をやっているんだろうね?」


「放任主義の弊害だな」


「あんたは行かなくていいのかい?」


「俺達は今日この町に来たばかりの旅人で、すぐ旅立つから駆り出されることもないんだ、教えてくれてありがとう」 


「若いって言うのはいいねぇ」


「ああ、若いのは良いことだ。じゃあ婆さん俺達は先を急ぐので縁があったらまた」


「そうだねぇ、こんな婆さんだから縁があるとは思えないけど、縁があったらまた会いましょう」


俺達は婆さんと別れて歩く


「徴兵と徴税があるみたいですね」


「隣の町を傘下に引き入れられなければ、町を焼くか」


アルベリクは前方の酒屋に目を向ける


「で、市民への暴行と恐喝ありか」


「みたいですね、あまりというか全くいい印象ではありません」


「俺としては狩り放題でとっても美味しいがな。シャドウ出てきてくれ」


「えー俺?」


「そうお前だ。シャドウはお前しかいないだろ?ちょっとレイラと一緒に居てくれ」


「はいはい、適当に時間潰しときますよ!」


「じゃあ俺は戦場ウォッチングに行ってくる」


アルベリクは霞んで消えた


「えっ、アルさん?」


「これは姿眩ましって言ってな、悪魔が身を隠すときの常套手段だ。幻影術の応用で自分を周りの景色に同化させて見えなくしてるんだ」


要するにカメレオンだ


「へー、スゴいですね」


「俺はカメレオンの術って呼んでるぞ」


「かめれおんって何ですか?」


「自在に体の色を変えられる蜥蜴だな」


「トカゲですか」


二人は歩きながら話すのだった



一方、アルベリクは戦場を探して高速で飛行していた。


「あった、派手に殺しあってるな。俺も派手に殺しますか」


アルベリクは青黒い巨大な球体を作り出す。


これで色が黄色に白なら有名なあの玉にそっくりだ


アルベリクは球体を投下する


球体は戦場の中央に投下され黒い閃光を放ち前線部分をキレイに吹き飛ばした。


更にゲーテ陣に複数の球体を投下する


球体は地面で爆発し、黒い光の柱を立てる


ゲーテ陣は退却を始めた


アルベリクはついでとばかりに怨刀を使用しゲーテ陣の負の感情を増幅させる


そして追撃しようとしたもう片方の陣の進行方向に球体を投下する。


もう片方の陣の動きが止まる。


球体は地面で爆発して巨大な黒い光の柱びっしりと立て、黒い壁となった。


アルベリクはゲーテ陣営の犠牲者の魂を片っ端から回収して吸収した。


「かなりの数だった」


アルベリクは飛んでアンタレスに戻った



その頃、レイラとシャドウはゲーテの兵士ズ

に絡まれていた。


「あの、私達別にイチャイチャなんてしてません」


「俺はイチャイチャしてたがな!」


シャドウはナンパを繰り返していた


「我々がガラン様の下で平和な世界を作ろうと努めている時に、町中でイチャイチャしているのは道徳としてどうなんだね?良くないだろ?」


こいつらのトップはガランさんね


「わかったら、ほれ」


ゲーテの兵士は手を出す。

何かを要求しているようだ。


「早く謝罪の言葉と賠償金を払いたまえ!!」


「えーと、すいませんでした」


レイラは謝りながら手を出し兵士の手のひらをはたく。


「このっ小娘が!」


「我らに逆らったらどうなるか体に教えてやる!」


「ゲーテの力、思い知らせてやる」


男達が鞭を取り出す…


前にシャドウが隊長らしき兵士の首に剣を添える


「こいつの命が惜しければ今すぐ帰りな」


シャドウは剣を少し首に当てる


剣を赤黒い液体がつたい、地面に滴る


「言っておくが俺はお前らを殺すことに何の躊躇もないぞ?なんなら試すか?」


シャドウはいつもの声で脅す


首に更に深い切り込みが入り、剣を走る赤い線が太くなる。


兵士達は戸惑っている


「俺は気が短いんでな、最後の警告だ今すぐこの場から立ち去れ。さもなくば…」


だが隊長の目は逃げることを許さなかった。

誇りを持って最後の最後まで闘えと言っていた。


「そうかい、じゃあ死にな!」


シャドウが剣を振り抜き隊長の首を落とす。


そこからは見えなかった。何も見えない内に兵士の四肢がバラバラにされ血の海に沈んだ。


そしていつの間にかシャドウが三つの光球を抱えて立っていた。


「さてと、お守りはこれで終わりだ。さっさと連れて帰れ。俺はここの連中を一掃してから帰る」


そして私は何かに後ろから掴まれ空に引っ張りあげられた


「あれ、アルさん?」


「ここはアイツに任せよう」


「でもシャドウさん一人じゃ」


「アイツは俺だからあのぐらいは楽勝だ」


アルベリクはいつも通り自信しかないような顔で自慢気に言う


「さっ帰ろう。俺達が帰らないと話が始まらないからな」


アルベリクは家を目指して飛んだ。


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