猫により伝えられた周辺領地の話
ライトが帰ってきた。
「戻りましたにゃーん」
「お帰りなさい、ライトさん」
「お使いありがとな、じゃあそれは冷蔵庫に入れといてくれ」
「了解にゃーん」
ライトはかごを持ってキッチンに向かった。
「ライトさんは優秀ですね」
「あいつらの中では一番年上だしな」
「そうなんですか」
「そろそろ300歳になるんじゃないか?」
「あと3年で300歳です」
「300歳ですか」
「魔族は長寿なんだ、俺だってもう500年以上生きてるしな」
「ご主人様は見た目通り魔族の間ではまだ若い方なんですよ」
「500歳でまだ若いかー」
「魔族一の長寿はギルじ…じゃなくて前魔王陛下だそうですにゃ」
「あのじいさんな、優秀な部下にさっさと王位を引き渡したじいさんな」
「現在は魔界の辺境で悠々自適な隠居生活を送っているそうですにゃ」
ライトが器用に両手で持った封筒を受け取る
中には手紙と写真が入っていた。
『引っ越しました。』
それは知ってる
『自然豊かで空気のおいしいところだよ。海もあるし川もあるし山も樹海もあるよ。』
ずいぶん広い敷地だな
『もうすぐまたハーブの収穫だからまた遊びにおいで。 ライト君へ前魔王ギルバートより』
うん、俺の使い魔は毎年俺に内緒で前魔王とお茶してたらしい。
写真は青い空の下、農園でのじいさんの自撮り写真だった
「ということで、ギル爺さんに会いに行ってくるので3日ほど休暇をいただきますにゃ」
アルベリクは無視する
「お土産にハーブもらってきますにゃ」
「うん、行ってこい」
ライトさんアルさんを転がすのがうまい
「あ、それとご主人様に限って問題ないと思いますが、隣の隣の隣の町だったか忘れましたが以前ご主人様が契約した領主の町のゲーテが勢力を拡大してきて現在その勢力圏が隣町まで迫っているそうですにゃ」
「つまり、あの狂ったおっさんの後釜が勢力を拡大して、周りの領地の吸収を初めて隣町が吸収される寸前でここにもその影響がくるかもしれないと?」
「ゲーテですか。あの領主が突然死したって言うあの町ですか」
「そうその町ですにゃ」
「まあ、ちょうどいいかな……」
「なんかあるんですか?」
「ああ、ちょっとな」
「確かにそろそろ計画を進める時期でしたにゃんね」
「計画?」
「しばらくすればわかりますにゃ」
「安全を確保できるまでは待ってくれ」
「はい、でもいつか教えてくださいね」
『ただいまー』
センターが帰ってきたようだ