上の空(白痴と痴呆の世界)
虚無と空洞の最中。
何もみつける気力のない身体が、そこには有ります。
頭の中は空っぽで、今まで通りなんです。
「豚小屋に放り込まれただけ。」だなんて、わかっては居ないのです。
何も無い、世界。
なにもない、せかい。
まさしく、上の空にたどりよせる、僕。
まさに、上の空に辿りつこうとしている、僕。
白痴が指を差す。
痴呆が釘を刺す。
いつもの指へ針を縫う。
飲まれこもうとする、津波。
「しゃべりかけるな、喋り掛けるな。」喋りかけるな。
混沌としたフリする狂気が凶器に変貌するのか。
「ディスクジョッキー、ラジオのボリュームを下げやがれ。」
これは痴呆が言ったんだ。
白痴は状況を把握する為、白紙のページに記入していった。