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狭軌最強鉄道伝説~新幹線がない世界~  作者: ムラ松
第3章 シンデレラエクスプレスの恋人たち
9/20

シンデレラエクスプレスへの想い

新作お待たせしました。ちょっと自分も忙しいので…。


今回はシンデレラエクスプレスの客目線の話です。

くれぐれもシンデレラエクスプレスで「リア充爆発しろ」とは言わないようにww

 1987年の夏の日の日曜日の夜。今日も東京駅の15番線はたくさんのカップルが溢れかえる。そして今夜も…

「優くん行かないで~!!」

今夜も俺の彼女、三住美桜は大泣きをしながら俺の手をつかむ。

「来週にまた会えるからいいだろ…。」

んなか彼女に対して、ため息をつくのは、俺、藤村優真。このシンデレラエクスプレスこと超特急ひかり289号で大阪へ帰る。

「それでも~!!」

これを見ていると美桜は俺のことが大好きなんだなと思う。

 その後ろではこれを見て車掌も戸惑っていた…。マジですいません…。

プルル…

「まもなく15番線から超特急ひかり289号、大阪行きの列車が発 車いたします~!!お見送りのお客様は列車から離れてお見送りください~!!」

その放送を聞いて俺は

「また会えるから。待ってろ。」

と、頭をなでた。

「優く~ん」

美桜は大泣きしながら俺に抱きついてきた。

「もう時間だから~。」

俺は苦笑いする。

 こんなのが毎週繰り返されて行く…。また今週もシンデレラの魔法がまたひとつ消えた…。


 俺と美桜の出会いは、高校生の時だった。俺らはとある総合技術高校の生徒だった。俺は工業科で、美桜は服飾科だった。

 特にきっかけはないが、ミックスクラスで座席が近くだったり、帰る方向が同じだったりして、よくしゃべっていた。

 その当時、俺はまったく恋愛は知らない、まわりのバカみたいな仲間とバカして遊ぶ、まさに「アホ男子高校生」の一味の1人だった。

 彼女いない歴=年齢の俺にある日転機が訪れた。

「藤村くん、好きです!!」

こんなことは絶対ない、俺はあまりにもうれしくて、すぐにOKを出した。

 ということで充実した生活は始まった。美桜から手編みのマフラーを貰ったこともあった。

 だが、すぐに転機は訪れた。それは「就職」であった。美桜は大学に進んだ。そして、俺は昔から鉄道が好きだったから、当時、民営化が噂されていた国鉄になんとか入社した。

 国鉄で関東の近くの駅で働いていたのはよかったが、問題が起きた。俺は何故か知らないが、大阪に異動することになった。

 さすがにこれは辞令通りに動かなきゃいけないので、21歳の時に泣く泣く、美桜を置いて、大阪へ向かった。そして、1987年に国鉄は民営化され、JR西日本となり、完全に大阪で暮らすことになった。

 そして、この5年、今日みたいなことに至っている。俺らも「シンデレラエクスプレスの恋人たち」の1人となった。

 このことを考えながら俺は

「もう大阪に赴任してから5年か…。もうそろそろ、今後のことを考えないとな。」

俺は真っ暗な東海道本線を見ながら呟いた。


 俺は今、東海道本線で特急の運転士をしている。なので、東京には仕事ではよく来ている。でも、これを美桜に言ってしまうと何があるかわからないので、黙っている。一応こっちも仕事だからな。

 俺は大阪9:53発、特急つばめ52号で東京へ向かう。

「まもなく、9番のりばに特急つばめ52号東京行きが12両でまいります。危ないですから黄色い線の内側でお待ちください。この列車はご乗車には特急券が必要となります。」

すると485系が入線してきた。東海道本線の特急は普通、16両であるが、臨時列車となると、東大宮特急留置線、小山特急留置線、青森運転所など東北から12両の485系を借りてくる。

 俺は列車の前方を安全点呼をした。

 列車が到着すると、交代の運転士が降りてきた。

「お疲れ様です。」

俺は敬礼をした。

「列車には異常はありません。東京までよろしくお願い致します。」

「了解です。」

俺は点呼が済むと、運転室に入り、運転台にブレーキバンドルをつけた。

 9:53に大阪を出発した。

 そして11:38に東京に到着した。いつもなら13~15番線のどれかに発着するのだが、485系もこの時期は忙しいらしく、つばめ52号は東北本線の7番線に到着した。

 この485系は清掃を済ませた後は、はつかり号として函館へ向かうらしい。

 俺は大阪へ戻るので、超特急ひかりが待つ、15番線へ向かう。

 ホームを歩いていると

「あの~すいません~。」

誰かが俺を呼んだ。そこにはJR東日本の社員がいた。

「どうしました?」

「やっぱりだ。いつも日曜日にひかり289号に乗ってる人ですよね?」

「そうですけど…。」

「いや~。まさかあの中にJR西日本の人がいるなんて…。申し遅れました。僕はJR東日本東京車掌区の岩倉龍一です。」

「僕はJR西日本大阪運転所の藤村優真です。毎週大変ですね~。」

「いや、彼氏さんの方が大変そうですね。」

「まぁ、毎週、毎週『行かないで!!』と泣きつかれますからね…。」

俺は苦笑いする。

「今日はつばめの乗務だったんですか?」

「そうですね。僕はこれから大阪に戻ります。」

「お疲れ様です。僕は1時のこだまで大阪に行きます。」

「もしかしたら会えるかもしれませんね。」

「そうですね。まぁ、今週もお願いします。」

「はい。シンデレラエクスプレスで待ってます。」

岩倉さんは自分の車掌区へ帰って行った。

「優くん!!」

 どこからか、聞き覚えがある声が聞こえた。

「美桜!?」

その声は美桜だった。

「優くん~!!」

なんか不味い気がしてきた…。

 だって東京来るなんて言ってないから…。

「優くんなんで東京来てるの~?」

美桜が俺に飛び付いてきた。

「仕事で…。」

美桜に会えてうれしいが、今は仕事なので逃げたい気持ちでいっぱい…。

「来るなら言ってよ!!」

「こっちは仕事で来てるからな。」

「仕事って、大阪から東京へ電車を走らせる仕事のこと?」

鉄道知識0の美桜には、東海道本線や東北本線など通じない。

 そもそも、電車で大阪行けることがわかっているのか!?とも思うぐらいな知識のなさ。

「そう…。」

「まさか、ほぼ毎日来てるよね?」

「そうです…。」

どうするべきなのか…。

「そうならそうって言ってよ!!お互い隠し事はなしって言ったじゃん!!」

「こっちは仕事で、美桜にかまってる時間なんかないし、東京に来ても、5分で東京を発つからな。そんなこといちいち美桜になんか言えるか!!」

しまった…。怒ってしまってる俺…。

「でも隠し事はしていたということだよね?」

「もう、今日はお前にかまってる時間はないんだから、行かせてもらうぞ。こっちも仕事だからな。」

俺は美桜を振り払って、14・15番線の階段を登る。

「優くんの嘘つき!!」

俺もついに…

「わかった。今週は東京行かないからな!!」

俺は走ってひかりに向かった。

「優くん…。」

美桜はショックのあまりにひざまついて、泣いた。

 俺はなんてことをしてしまったんだ…。

 俺も少しショックだった。


 仕事に追われたこの1週間も終わり、週末…

「まもなく、終点東京です。山手線、京浜東北線、中央線、東北本線、高崎線、総武線、横須賀線、地下鉄丸ノ内線はお乗り換えです。本日も急行なにわをご利用いただきましてありがとうございます。終点東京です。どなた様も落とし物お忘れ物ないようにご注意ください。」

185系の急行なにわは東京へ入線した。

 185系と117系は昭和57年に153系の置き換えを目的として、東海道本線の急行や117系は快速にも投入された。

 俺は美桜に会いに来たのではなく、関東の電車を撮りに、東京へ来た。

 ほぼ、暇だから、無意味に東京も同然だ。

 俺は東北本線で上野へ向かい、東北本線の撮影をした。

 この土日はカメラを持って、関東を走りまわった。

 一方美桜は

「美桜珍しいね~。私たち誘うなんて。」

日曜日の昼下がり友達と喫茶店にいた。

「優くん怒っちゃってね…。」

「なんか美桜も大変だね~。」

 一方、俺は、原宿でカメラをかまえて、もうすぐ引退しそうな103系の撮影。

 の、はずだったんだが…。

「カップルが多い…。」

若者の町、原宿。土日なのでカップルがたくさん。たぶん、この中の一部はシンデレラエクスプレスで帰るんだろうな…。

「美桜…。」

美桜が恋しくなった…。なんで、あの時こんなことを言ってしまったんだろう…。

 そして美桜は友達に

「今夜も東京駅行ってみたらもしかしたら会えるかもよ。」

「そうかな…。」

「このままだと、一生会えなくなるかもよ!!」

「うん…。」

 

 なんとなく、今日もシンデレラエクスプレスこと超特急ひかり289号で帰ることにした。特に見送りもないが、1人寂しく、大阪へ帰る…。

「美桜に会いたいな…。」

なんとなく呟く…。

 そう思いながらドアの前に立っていると…

「優くん~!!」

「美桜!?」

振り替えると美桜が…

「やっぱりいた!!」

美桜は俺に抱きついた。

「美桜、ごめんな。」

「私こそ、ごめんね…。」

俺はふと時計を見ると時刻は20:58。

「もう行かないとな。」

「もう行っちゃうの!?」

「うらむなら時刻をうらめ。」

俺は美桜の頭をなでた。

「行かないで!!時間よ止まって!!」

「美桜、これがシンデレラの魔法だよ。」

「それでも…。」

毎週、毎週美桜のこの姿を見ると、美桜に洗脳されてるかもしれないが、美桜のことを離したくなくなる。もっと一緒にいたいと思う。

 シンデレラの魔法が消える瞬間が…。

「15番線ドア閉まりまーす!!乗降よーし!!」

「優くん!!」

美桜が泣き叫ぶ。俺だって嫌とか大変とか言ってるけど、もっと一緒にいたい。いろんな話したい。

 俺は美桜と一緒にいたいんだ!!

プシュー

俺はとっさにやってしまった。

「美桜!!」

俺はドアが閉まる瞬間に美桜を車内に引っ張りこんだ。

「優くん?」

美桜は泣きながら聞いた。

「俺、やっぱり美桜とずっと一緒にいたい。いろんなことしたい。俺から離れてほしくない…。だから、だから…美桜、俺と結婚しよう。」

「優くん!!うれしいよ~!!」

美桜は大泣きした。俺は頭をなでた。

 するとそこに

「本当、危ないですよ。」

「すいません…。」

そこには岩倉さんがいた。

「たまにこんな客もいるので…。」

「特急料金と乗車券いくらです?」

「彼女連れて帰るんですね?」

「不本意ですが。」

「大阪まで14140円です。」

 俺はお金を払い、美桜と座席に座った。

「優くんありがとう。」

「俺もありがとう。」

2人で笑った。

 しばらくすると美桜は俺の肩で寝ていた。すごく幸せそうな寝顔だった。

 幸せになろうな。美桜。

 

 これがシンデレラエクスプレスの夜である。

 恋人たちの想いも乗せて走れ!!シンデレラエクスプレス!!

なんか切なく感じます…。このシンデレラエクスプレスは松任谷由実さんの「シンデレラエクスプレス」のおかげでこのブームが来たと言われています。本当に当時の車掌さんは大変だったと思います。

僕はこのシンデレラエクスプレスはすごいものだと思います(彼女いないけどw)

現在このシンデレラエクスプレスと言われる列車は21:23発のぞみ265号として運転しています。技術の進歩はカップルにも影響しているのだと思います。

(非リアから言わせればふざけんなと言われますけどw)

「シンデレラエクスプレスの恋人たち」編では、少し狭軌最強鉄道からずれてしまいましたが、次回はさらに伝説を作りあげたいと思います!!

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