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狭軌最強鉄道伝説~新幹線がない世界~  作者: ムラ松
第2章 東北本線
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伊奈線

「伊奈線」

 1985年の正月休み、俺、井上優馬は田原と高崎のほうに撮影にいや、デートに行ってきた。 その帰りの高崎線で。

「う~寒いですぅ~!!」

「ほら、コート。」

「先輩のコート温かいです~!!」

なんとなく、その田原の笑顔が、幸せそうに見えた。

「それにしても、冬の非冷房車は寒いな~。」

「まぁ115系の0番台は大半が、非冷房車ですからね~。」

「こんな貧乏な国鉄には冷房率を100%なんか無理だからな。」

 なんて話しているうちに

「まもなく、大宮、大宮です。東北本線、京浜東北線、川越線、東武線はお乗り換えです。」

すると大きな高架線が見えてきた。すると田原が

「先輩、あの高架線って、確か未成に終わった特急専用線でしたけっ?」

「そうだよ。赤羽から大宮で分岐して、小山と熊谷を結ぶ予定だったみたいだけど、国鉄も珍しく、諦めたらしいな。」

ちなみに国鉄が未成線としたのは、この東北・高崎特急専用線・中津川線・佐久間線・下呂線・木之本線となっている。まぁこんなに国鉄が(赤字)路線を持っている理由は日本鉄道建設公団(キングボンビー)の仕業なんだけどな…。

「なんて未成線にしたら沿線住民から怒りを買うからしょうがないから通勤路線にするんでしたよね?」

「確かに浦和市、大宮市、伊奈町からそうとう反対運動が起きたからな~。」

昭和50年代にこの3つの市町から反対運動の暴動が起きていた。

「埼京線と伊奈線でしたよね?」

「あぁ。埼京線は宮原から高崎線へ直通予定があったみたいだが、土地の問題で川越線と伊奈線に直通するみたいだな。」

「でも伊奈線って最初は通勤計画なかったですよね?」

「らしいな。計画が中止になったからってそのままにしておくと伊奈町の人々に殺されるから、伊奈線を建設したみたいだな。噂によると、そんなに採算性ないていう話だからな。」

 なんて田原と話していた俺だが、まさか俺が…。それから半年ほどして

「本日より、丸山運転所でお世話になります、井上優馬です。」

俺は伊奈線の丸山運転所に飛ばされた。その理由は…

「お前らストすんなよ!!」

「そう思うなら俺らと一緒に…。」

「断る!!こっちはストごときで解雇はされたくないからな!!」

なんて国労とケンカと謹慎を繰り返していた。上司曰く、「国労とケンカ繰り返すならほかに行ったほうがいいよ」と言われたので丸山運転所に転出した。田原残して…。

 ということで

「運転所、所長の玉城だ。よろしく。君が北のひかりの運転士か?」

「はい。」

「国労に入る前の田原に似てるな。」

「田原って、あの伝説を作った?」

「そうだ。あいつは今は国労に入って完全に狂ってるが、だが、あのときのあいつは今のお前みたいだ。」

「そうですか…。」

「まぁここはそんな奴らはいないから気楽に行けよ。」

「はい!!」

「じゃあ、早速試運転に行ってくれないか?」

「わかりました。」

俺は点呼を受け、留置線に向かった。そこには

「なんとか集めたみたいだな。」

そこには103系が。話によると、全て山手線のものとか。

 ということで、俺らは念入りに試運転を行った。

 そして昭和60年9月30日に埼京線と伊奈線(大宮~内宿)は開業し、それと同時に川越線の大宮~川越で電化が行われ直通運転が開始された。それと同時に上越・高崎線でも高速運転が開始された。それと同時にときから最後の181系が姿を消した。あの伝説の181系が……。

 それから1ヶ月ほど。

「ガラガラですね。」

田原は笑う。

「田原!!怒るぞ!!」

丸山で、伊奈線に乗りに来た田原が言う。俺は乗務が終わったので運転所に戻るところだ。そして丸山折り返しで発車を待つ伊奈線の103系はガラガラ。大宮からは少しは混むんだが…。

「本当のことじゃないですか。」

「開業してからしばらくは混んでたけど、最近じゃこんなんだな。」

「本当に大丈夫なんですか?」

「早速廃線危機だな。」

「あっ。」

そこには玉城さんが。

「大きくなったな。花香ちゃん。」

「お久し振りです。」

田原は頭を下げた。それを見た俺は

「えっ!?知り合い!?」

「先輩。私が誰の娘だと思ってるんですか?」

「あぁ。そっか。」

「井上こそどんな関係で?」

「えっと…。あの…その…。」

「彼氏です♪」

田原は俺の腕にしがみついた。

「ふ~ん。そっか~。田原には黙っておくよ。」

玉城さんはにやついた。

「あの目絶対に言われる!!」

すると田原は笑った。

「で、もうヤバいんですか?」

「そうみたいだな…。」

「あぁ…。」

本当に今後が不安になった…。

 結局、それから1年ほど。

「廃止だって。」

玉城さんはスルッと言う。

「そんな簡単に言うもんですか?」

「まぁそうだな。」

「どうなるんですか?」

「それなら心配しなくていいぞ。第三セクターに引き継がれるらしいな。」

「そうですか~。」

「まぁ、三セクも最近は増えてるからな。」

「北海道なんてたくさん独立しているみたいですよね~。」

「国鉄ももうじき、民営化するからな。」

「本当に今後はどうなるのでしょうか。」

 昭和62年に、伊奈線は埼玉交通鉄道(後の埼玉高速鉄道)に103系と共に引き継がれた。国鉄だったのはわずか2年ぐらいであった。玉城さんはそっちに出向し、国鉄の最後を職員として見届けたい俺は

「先輩!!また一緒ですね!!」

「やっぱり俺の職場には、485と583そして、田原、君がいないとな。」

俺は東北本線の特急が所属する大宮運転所へ転出した。また田原と一緒にいられるのか。

 そして国鉄は分割民営化へ向かっていった。これが日本の鉄道の未来だということを示すように───

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