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狭軌最強鉄道伝説~新幹線がない世界~  作者: ムラ松
第2章 東北本線
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北の夢の超特急

 私は昔から国鉄に、この「狭軌最強鉄道」と呼ばれる国鉄の特急に、特急を運転しているお父さんに憧れてました。まるで王子様に憧れる女の子のように───

 国労や動労とかが、まだまだ大暴れする1982年の冬、どんどん寒くなるころでした。

「21M上野定時進行!!」

58け系、特急はつかり1号を乗務する私、田原花香です。

「かけ声は女の子の割りには大きくていいけど、ブレーキの解放が少し乱暴だな~。」

横で私を指導しているのは私の先輩、兼、彼氏の井上優馬先輩。私は新米の運転士です!!

「すいません…。」

「ほらここ制限越えそうだぞ~。」

「あ~!!せ、制限50!!」

「本当、田原って慌てん坊だな~。」

先輩は笑います。

「やっぱり、本物の電車を運転すると緊張しちゃって…。」

「田原はかわいいんだから~!!」

「先輩!!」

先輩は私の頭をなでます。

 もう先輩に告られて1ヶ月か~。運転士になってから半年ほど、仕事中は先輩と一緒に過ごしてました。そんな中で

「田原!!好きだ!!」

なんて言われてしまいました…。で、私の返答は

「少し考えさせてください…。」

で、それっきり何も言ってません…。でも、私は前よりは大事にされて、可愛がられていると思います。

 なんて考えながら、郡山で運転士交代のために列車を降りました。

 そこから上野へ10:31発ひばり8号へ戻ります。郡山からは井上先輩が乗務しています。でも、いつも、その時の先輩は違う感じがします。いつものそこまで真面目でもなくふざけて、私をかわいがり放題かわいがっている先輩なのに、この時の先輩はかっこよく感じます。私はいつもそんな先輩に見とれます…。

 13:16の予定が3分遅れで上野に到着しました。

「今日も工事の影響で徐行運転多かった…。おかげで…。」

先輩はため息をつきます。

「最近よく見かけますよね~。」

「東北本線でも、『狭軌最強鉄道計画』をやっているからな。」

「東北本線もとうとう超特急が走るんですね!!」

「そうゆうことだな。」

「私もついに超特急を~!!」

私はついおっとりしてしまいました。

「田原の憧れだろ?」

「はい!!超特急を運転するこそ私の目標ですから!!」

「その夢みんなで叶えような!!」

「あっ…。」

先輩はまた私をなでます。私は恥ずかしくなって顔を真っ赤になりました。

「先輩!!今日2度目!!」

「すまんすまん。」

先輩は笑いながら言います。

「も~う!!」

「田原~!!お前そんなことされるの好き…(ry ぐあ゛!!」

「先輩!!今日お昼罰としておごってくださいね!!」

私はにっこり笑いながら先輩にアッパーを入れて先へ歩きます。

「田原!!ズルいぞ!!」

 それから数日後、私と先輩は上司に呼び出された。

「高速度試験ですか?」

「まぁ東北本線の高速での試運転なんだが、井上、田原お願いできないか?」

「喜んで!!」

「行ってきます!!」

私と先輩は敬礼をし、485系へ乗り込みます。

 ということでこ高速度試験がスタートしました。

「ATCもちゃんと登載されているのですね~。」

「てか、これ三島(南トツ)の485だな。」

「東海道本線の特急車両ですね~。」

すると先輩は

「田町、運転任せた。」

と、私にブレーキを渡しました。

「はい!!」

 私は高速度試験車両の運転を始めました。列車はどんどんスピードをあげていきます。

「時速155、160!!」

「落ち着いて頼んだぞ!!」

「はい!!時速200経過!!」

しかし…

ガシャーン!!

「なんだ!?」

先輩がいち早くこのことに気付きました。すると無線で、列車に同乗している技術者から

「列車の異音を関知しました。脱線の可能性が出てきました。停車をお願いします。」

「了解です。」

すると先輩が

「非常ブレーキを作動させろ!!」

「わかりました!!」

列車を緊急停車させ、外へ確認に行くと…。

「嘘でしょ…。」

列車は脱線し、線路は折れ曲がっていました…。

「これ、ちゃんと工事をやってないのか…?」

 このことを運転区に確認すると…

「国労の不正?」

先輩が当局に確認の結果でした。

「書類上は工事は完了しているんだが、いろいろと調べると、国労のメンバーがこの工事を担当していたみたいで、一部やってないところがあるみたいでな…。これは明らかに不正だな…。まぁ国労がこれに反対している連中が多いらしいくてな…。」

「本当に国労は…。」

私はため息をつきました。るとそこに…

「特急の本数が増えると乗務の回数が増える。でも、それでも給料はそんなに変わらない。これはおかしいと俺ら国労は思う!!」

そこには国労に属する上野運転区の運転士が

「何用だ?」

先輩は少し怒りぎみ。

「お俺らの意見を述べただけだ!!田原、お前、親父に憧れて国鉄に入社したらしいけど、あの親父も言ってることは俺らと一緒ってことは知ってるよな?」

あの伝説を作った私のお父さん、田原雄大は今は国労で大暴れしています。

「私はそんなのにはなりません!!」

「それでもな!!東北本線にはそんなのは必要はないからな!!まったく、自分の夢とか…」

バキッ!!

私は思わず、国労の人を殴っていました。

「確かに、超特急を運転するのは私の夢です!!でも、国鉄のお客さんが求めるのは快適に、そして速いサービスを提供するのではないのですか?国鉄はあなたたちのような国労とか動労のためにありません!!みんなのためにあるんです!!」

「この20(はたち)の小娘ごときに!!」

バキッ!!

国労の人は私を殴って…。

「先輩!!」

先輩が私のことを守ってくれました。

「テメェら国労ども、ストライキとか好きに暴れてもらっても俺は世間の嫌らしい目だけで見るが、田原を殴ろうとすると俺が許さないからな!!」

「そんなの知るか!!」

「この野郎!!」

気づけば大乱闘となっていました。私のために先輩は…。なんだが泣けてきました…。

 それから私は謹慎になり、1人、寂しく家にこもっていました。てテレビ・新聞には、国鉄や国労のニュースがたくさん見られました…。するとそこに

「田原いるか?」

先輩が家に来てくれました。

「先輩…。」

「田原、今すぐ出られるか?国労のバカ野郎どもがストしやがった!!」

「私じゃ無理ですよ…。こんな労働者が大暴れする鉄道なんて…。」

「田原どうした?」

「私には味方なんていないですよ…。夢を叶えるために国鉄に入ったのに、国鉄がこんなで…。先輩!!私は寂しいんですよ!!だから…。」

私は泣いてしまいました…。

「大丈夫だ。俺がちゃんと田原のことを味方してやるから。泣くなよ。」

「それでも…。先輩!!私は…。」

「本当、田原は甘えん坊だな。俺がこんな田原をちゃんと守らないとな…。」

先輩は私のことをぎゅっと抱きしめてくれました。

 それから数ヵ月後、

「先輩りましたね!!」

私は先輩に抱きつきました。

「バカ!!運転中だぞ!!」

「わかってますっ!!」

スピードメーターには250㎞/hと出ていました。

 それからしばらくし、私はプライベートで先輩を呼び出しました。

「どうしたんだよ?こんな時に。」

「先輩、前、私に告白してくれましたよね?」

「もしかして…。」

「先輩の告白の返答は…『よろこんで』です!!」

そして私はにっこり笑います。

「田原、ありがとうな。」

先輩もにっこり笑いました。

 1982年11月15日、東北本線に超特急が運転開始されまし。超特急に格上げされた、超特急はつかり号の一番列車には…

「先輩行きますよ!!」

「さぁ今までの研修の成果を見せてもらおうか!!」

「はい!!21M上野定時進行!!」

ファーン!!

今年からはつかり1号が485系に変わった485系の一番列車は大きく汽笛を鳴らし15番線を発車しました。北の夢の超特急が───

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