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狭軌最強鉄道伝説~新幹線がない世界~  作者: ムラ松
終章 過去の機関士と未来の運転士
20/20

前世の俺が願う未来

ついに狭軌最強鉄道も最終回です!!

前世の自分が示す未来とは?

「四條両士…。俺の名前は四條両士だ!!」

俺はとっさにそう叫んだ。そうだ。俺は四條両士だ。俺の前世の記憶の殆どが蘇る。

「ということは全部、その謎の記憶思い出したの?」

新井が聞く。

「まぁそうだな。」

「所属の機関区ってどこだったんだ?」

新井のお父さんが聞く。

「確か、沼津機関区です。毎日のように東海道本線を走ってましたね。C53とか他にもいろいろな機関車に乗ってた気がします。」

「他にもいろんなことを聞きたいけど、長くなさそうだし、また聞くか。でもよかった。」

新井のお父さんがほっとする。

「これ謎も晴れたね!!」

新井はにっこり笑う。

「そうだな。」

俺もにっこり笑った。

「謎も解決したし、気分転換にうちにおいでよ。お茶、ご馳走するよ。」

新井のお父さんが言う。

「はい。じゃあ、お言葉に甘えて。」


ということで新井の家へ。

「いらっしゃい♪」

新井のお母さんがにっこり笑顔で迎えてくれる。

「お邪魔します。」

俺は頭を下げる。

リビングに通され、椅子に座る。少しして紅茶とお茶菓子のクッキーを出され、学校のことや日常の話を新井のところの一家と話していた。いろいろ話ながら、俺はふとあることを思った。

「いや~。謎も解決して一安心だね~。」

新井はそう言ってクッキーをつまむ。

「確かにな…。」

俺の頭の中にはもうひとつの疑問が生まれた。

「どうしたの?」

新井は俺の表情に察して聞く。

「俺はこのことを知ってどうするつもりだったんだ?それになんでこんな前世の記憶なんてもって俺はまたこの世に生まれたんだ?」

俺はボソッと言う。

「あ~確かに~。」

「そう言われてみればそうだな。」

新井と新井のお父さんはうなずく。

「生まれ変わりは何か未練があって生まれ変わるって聞いたことがあるね~。」

新井のお母さんは紅茶を飲んで言う。

「何か、未練がある?」

新井は俺を見る。

「未練ね…。」

俺はそう言って自分の記憶を掘り返す。

「やっぱり、高速運転できなかったことかな?」

「それだけじゃないでしょ?」

新井が俺に迫る。

「確かにそれだけじゃなそうだね。あの機関助士の子とはどうなったんだ?」

新井のお父さんが俺に聞く。

「確か…」

また記憶を探る。

「俺の…嫁です…。」

少し恥ずかしそうに言った。

「まぁ、そうなるよね。」

新井は苦笑いする。

「未練って家族のことじゃないのか?」

新井のお父さんが言う。

「家族…?」

「戦争で特攻隊として散ったんだろ?」

「まぁそうですけど。」

俺はうなずく。

「家族にまた会いたいんでしょ?」

新井が言う。

「…。」

俺は言葉を失う。家族か…。ということは…俺は口を開いて

「成長した愛子に会いたい…。それに優子にも…。」

と言った。

「愛子…?誰それ?」

新井が聞く。

「四條愛子。俺が出征する少し前に優子との間に生まれた子供。本当に俺とは僅かな間しか会えなかった。だから、もう一度だけ、会いたい。」

俺がそう言うと、新井のお母さんが俺を見て…

「機関士で、高速度試験やって、特攻隊として出征して、娘の名前が愛子で…やっぱり…。」

「あの、どうしたんですか?」

俺は首をかしげる。

「その、愛子って人、うちの母なんだけど…。」

新井のお母さんは苦笑いする。

「へぇー。お母さんねぇ~。ってえ~⁉」

俺は驚く。

「ということは、三浦くん、私のおじいちゃんってことね。」

そう言って新井のお母さんは笑う。

「ちょっと、それ、本当ですか⁉」

俺は驚きが隠せない。

「まぁ、そうだね。おじいちゃんが機関士で200㎞/h出したって話は昔から言い聞かせてれてね。」

「なるほど…。」

俺は唖然とする。

「まぁ、うちのお母さん側の家族構成を説明すると、その三浦が言う、娘が私から見ればおばあちゃんで、おじいちゃんも国鉄の運転士で、高速度試験で260㎞/h出してお母さんにはもう一人お姉さんがいて、そのお姉さんと旦那さんも東北本線で運転士やってて、それでうちはこの通りだね。ということは三浦は私のひいおじいちゃんだね。」

新井はにっこり笑った。

「いや、同級生に向かってそう言われても、俺は一応、三浦幹太であって、その身体に四條両士が取り付いてるわけで…。別に遺伝子的な何かは…。」

俺は苦笑いする。

「まぁ、そうなっちゃうから仕方ないよ~。」

新井はそう言って笑った。

「それで、優子と愛子は今、どうしてますか?」

俺は新井のお母さんに聞く。

「おばあちゃんはもう、20年近く前に亡くなったね…。」

「そうですか…。」

俺はしょぼんとする。もう一度、優子に会いかったな…。でも、仕方ないか。

「お母さんは健在しているよ。今はお父さんと模型店やってて、のんびり暮らしてるよ。」

「それ、本当ですか?」

俺は立ち上がる。

「もちろん。」

新井のお母さんはにっこり笑う。

「ねぇ、三浦、今度、会いに行こうよ!!」

新井が言う。

「そうだな。俺も会いたい。よし、行くか!!」

俺はそう言ってにっこり笑う。


ということでその次の週。

「はぁ…。緊張するな〜。」

国立駅の改札の前でスマホの時計を見ながら俺はため息をつく。ついに今日、新井のおばあちゃん、すなわち俺の前世の娘に会いにいく。

「三浦〜!!」

新井が俺の肩を叩く。

「おはよ。」

「おはよ♪じゃあ行こうか。」

新井はにっこり笑う。

「そうだな。いつまでもビクビクしてても仕方ないな。」

そう言って俺は前を見た。


国立から中央線で立川に向かい、そこから南武線で川崎に向かい、京浜東北線でおばあちゃんの家の最寄りの蒲田へ向かう。

そして駅から少し歩くと…

「ここがおばあちゃんとおじいちゃんの家だよ〜。」

そこには「田原模型」と書かれた少し古びたお店が。

「やっぱり緊張する…。」

俺はそう言って1歩引く。

「ここまで来て今さらそんなこと言ってどうするの。ほら行くよ。」

「おう…。」

新井は俺の腕を引っ張っり、お店へ連行する。

「こんにちは〜。」

新井が陽気にあいさつして入る。

「こ、こんにちは…。」

それに対して俺は緊張のあまり、固まってしまう。

「おう、優奈〜。元気にしてたか?」

レジの横に座っていたおじいちゃんが声をかける。

「おじいちゃん〜。」

新井が駆け寄る。

「元気にそうでなりよりだな。」

「うん!!」

新井はにっこり笑うと新井のおじいちゃんは新井の頭をなでた。そして新井のおじいちゃんは俺を見た。

「君が前世の記憶を持っている少年か。」

「はい。三浦幹太と申します。よろしくお願いします。」

俺は頭を下げる。話は全て新井のお父さんから行っているらしい。するとそこに…

「あら、いらっしゃい。」

奥からおばあちゃんが出てくる。そう、あの人こそ、俺の前世の娘の愛子だ。

「愛子…。」

俺はとっさにその言葉が出る。

「あなたが、私のお父さん?」

愛子は俺を見つめる。

「姿は中学3年生だけど、確かに俺は貴女の父です。愛子、長いこと会えなくてごめん。そして、父としての姿として会えなくてごめん!!」

「別にいいのよ。私はあなたが父の生まれ変わりだってことを信じてるから!!」

そう言って愛子は大粒の涙を流しながら俺に抱きついた。

「愛子。本当に悪かった。」

俺も愛子を抱きしめる。見た目ではとても不思議な光景だが、確かに俺は愛子の父の生まれ変わりだ。 本当にもう一度会えてよかった…。俺はそれだけでいいと思った。

これは後に新井が言っていたことなのだが、この時、俺の姿はいつもの中学3年生の俺ではなく、四條両士としての俺が見えたらしい。


愛子にも会えたなら次は…

チーン

「優子も長い間帰ってこれなくてごめんな…。」

俺は優子の仏壇の前で手を合わせる。

そして俺は優子の遺影を見る。

「本当にすっかりおばあちゃんになっちゃって…。俺なんか中学3年生だからな…。でもお前の面影だけは変わらないな…。」

俺は呟く。

「この人が三浦の奥さんね〜。」

新井が横に座って言う。

「お前、昔からこの遺影見てるだろ。」

「そうだけど、改めて見方を変えるといつもより違って見えてね〜。」

「こう見えても昔はけっこう可愛かったんだぞ。天然で少しドジっ子で甘えん坊でな。でも力は俺ら並みの力を持っててけっこう重い石炭をずっと投炭してたな。釜もよく見ててあいつのおかげで効率よく運転出来たよ。それに面倒見もいいし、家事全般できてとてもいい子だったのになんで…なんで、俺は優子と愛子を置いて…。」

何故か俺の目には涙が溢れていた。

「もう、三浦〜。男らしくないな〜。」

新井は少し笑いながらも俺にハンカチを渡す。

「ごめん、新井。みっともないとこ見せて。」

俺は涙を拭く。

「でも、三浦、いやひいおじいちゃんはひいおばあちゃんのこと大好きだったんだね。」

「当たり前だろ。そうじゃなかったら今はないだろ。」

「うん。そうだね。」

新井はにっこり笑った。


それから客間に通され、お茶を出される。

「あと、これがうちのアルバムね。」

愛子が古びたアルバムを出してくる。

「ほう…。」

俺はうなずきながらアルバムのページをめくる。そこにはたくさんの思い出の写真が。そして、いろいろな昔の話をしてくれた。そこで俺は一言。

「いいな。俺もこの中に写りたかったな…。」

そう言うとただでさえ周りは静かだったのにさらに静まり返る。

「やっぱりさ、戦争、辛かった?」

新井がいつもより声のトーンを落として言った。それを聞いた俺は一息吐き

「もう辛いってもんじゃないよ。恐いし、苦しいし、もう正直、言葉には出来ない。正直に言って特攻なんて恐かった。戦争なんて無ければよかった。そうすればあの計画だって実現したし、俺もその超特急を運転できたし、家族の幸せな姿もたくさん見れたのに…。それに、三浦幹太なんていう少年に生まれ変わるなんて事はなかった…。あの戦争のおかげで全て…。」

俺は拳を握って歯を食いしばり、涙を堪えた。これ以上泣けるかよ。

「私も、お母さんも正直、たくさん辛い思いをしたし、私もお母さん1人にたくさんの苦労をかけた。お父さんにいて欲しかった。私もお母さんも寂しかった!!でも、ここでまた出会えてよかったよ。」

愛子はにっこり笑った。

「愛子…。本当に悪かった…。」

俺がそう言うと

「俺も両士さんに会えてよかったです。」

新井のおじいちゃんが言った。

「なんでですか?」

俺は新井のおじいちゃんを見た。

「愛子と結婚してからよく、あなたの話を聞いてて…。あの人が叶えられなかった夢を絶対に叶えてやるって心に誓ってました。」

「俺の叶えられなかった夢か…。確かに、全て叶えてくれてますね。」

俺は笑う。

「だから無意識のうちに俺も両士さんのことを追いかけてて…。本当に会えてよかったです。」

新井のおじいちゃんはにっこり笑った。

「それはこっちのセリフですよ。俺も愛子や、その旦那さんに会えてよかったです。本当にありがとうございました。」

俺は頭を下げた。

「こちらこそ。姿は違ってもお父さんに会えてよかったよ。」

「俺も元気そうな姿見れてよかったよ。」

そう言って俺はにっこり笑う。


帰る前に玄関で愛子が一言。

「また会ってくれる?」

俺はそれを聞いて少し固まった。そして愛子の方を見て

「もちろん。でも、やっぱりこの姿で父親演じるのは恥ずかしいな。それでも、またいつか会いに来るよ。」

俺は愛子の頭をなで、新井と共に玄関を出た。

なんか不思議な空間だったな…。

「それでお前はさっきからなんだよ。」

横で新井はニヤニヤしながら俺を見た。

「いや〜、三浦は幸せ者だなぁって思ってね。」

「はぁ?」

俺は新井を少し睨む。

「前世でちゃんと子孫残して、その子孫は幸せにやってるし、いろいろ経歴だって残してるんだよ!!それにあんたの前世がいなければ私も生まれてなかったんだし…。ありがと…。」

新井は少し顔を赤くした。

「確かにそうだな。」

俺は新井の頭をなでる。

「俺からもありがとうな。俺もお前がいてけっこう楽しいから。」

俺はにっこり笑った。

「うん私も!!」

新井は俺の腕を掴んだ。


帰りは京浜東北線で東京まで出ようとしていた。そんな京浜東北線の中で

「それにしてもいろんなモヤモヤが晴れてスッキリしたわ〜。本当に新井、ありがとうな〜。」

俺は背伸びをする。

「いえいえ〜。」

新井は首を振る。

「これからは純粋な学生として第二の人生を楽しむか〜。」

「第二の人生って。ふふっ。」

新井は笑う。

「いや、前世の記憶を持っている俺からすればそうなんだよ。」

「ふ〜ん。そんな事より、三浦、進路どうするの?」

新井は俺を見た。

「そういえば考えなきゃな〜。新井はどうするんだ?」

「私は、鉄道員になりたいから、鉄道専門の高校があるからそこに進学しようと思っててね。」

「鉄道の学校な〜。いいね。俺はそこら辺の進学校かな?特に考えないけど。」

すると新井はにっこり笑いながら俺を見て

「三浦も私と一緒に来ない?」

「えっ!?」

俺はまさかの提案に驚く。

「なんで、俺がそんなところに行かなきゃいけないんだよ。別に鉄道に興味あるわけじゃないし。」

すると新井は優しく笑い

「三浦にはもうひとつ晴らせてない未練があるでしょ?」

「まだあるか?」

「あんた何もわかってないね。あれだよ。」

新井が窓の外を指さした先には…

ビューン!!

高速で駆け抜ける超特急の姿が。

「三浦の未練って超特急を運転することでしょ。だからさ、私と一緒に運転士目指そう。そして未練を晴らそうよ!!」

「新井…。」

俺は新井を見つめたがその瞬間になぜか、優子の笑顔が浮かんだ。そして俺は首を振り

「悪い、新井。優子がいなければ俺は運転士にはなれない。俺は優子と一緒に超特急を運転するはずだった。なのに優子置いてそんな事できないよ…。」

「三浦…。」

俺が言うと新井は俺の両手を握る。

「何言ってるの。三浦には私がいるじゃない。」

「新井…。」

「四條両士には倉橋優子。そして三浦幹太には私、新井優奈だよ。大丈夫。私が一緒にいてあげる。だから一緒に未練を晴らして夢を叶えよう。」

そう言って新井はにっこり笑った。

「そうだな。今の俺にはお前がいる。よし、わかった。俺も運転士になるよ!!」

俺もにっこり笑った。

「そしてこの狭軌最強鉄道に私たちの名前を残そうよ。」

「なんだよ?狭軌最強鉄道って?」

俺は首をかしげた。

「この日本の鉄道が世界中から付けられているあだ名。東海道本線で超特急が走り始めた時にそう世界から呼ばれたんだよ。」

「狭軌最強鉄道か…。なんだかカッコイイな。よし、俺も頑張るぞ〜!!」

日本が狭軌最強鉄道と呼ばれ始めてもう、55年近く。そしてこの計画の元が計画されて80年近く。日本は大きく変わった。それは鉄道も同じだ。でも、日本の鉄道の進化は未だに止まらない。だって日本は狭軌最強鉄道って世界から呼ばれる最強の鉄道だから。

そして俺はそんな最強の鉄道の運転士になってやる!!最強の車両と一緒に!!待ってろ俺の未来!!

そう心に誓った俺の中学3年生の夏休みであった。

           (完)

狭軌最強鉄道もこのお話で最終回です。長らくのご愛読ありがとうございました。新幹線がないというパラレルワールドで微妙に違った世界観はどうでしたか?この世界は現実ではいろいろ不可能なことを描いていますが、自分では新幹線によって輝きを失った車両がまだ輝いているのでいいなと思います。

まさか、最初に投稿した時は最終回までに2年もの歳月がかかるとは思っていませんでした(笑)でも最後まで何とか書けてよかったなと思います。

今後も他の小説では浮上しているのでよろしくお願いします。

それではまたどこかで!!

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