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狭軌最強鉄道伝説~新幹線がない世界~  作者: ムラ松
終章 過去の機関士と未来の運転士
19/20

記憶を追いかけて

今回は記憶の秘密を追いかけていきたいと思います!!

俺は気が付くと蒸気機関車を運転していた。

「行ったぞ!!時速200㎞!!おつかれ!!」

俺はそう言った。

「本当だ!!」

横にいた女の子がスピードメーターを覗きこむ。すると…

ガーン!!

「なんだ!?」

するとどこからか無線で

「客車の後ろ2両が脱線しました!!」

「うそだろ!!とりあえずブレーキ!!」

俺は横のブレーキレバーを引く

「ブレーキが効かない!!」

「えっ!!」

女の子がびっくりする。

「線路も破壊されてます!!」

またどこからか無線の声が聞こえる。

「うそだろ!!」

俺はそう叫ぶ。

すると…

ガシャーン!!

列車は浮かび上がり。

「倉橋!!」

「四條さん!!」

俺はとっさに女の子の名前を叫び、その子を抱き抱えた。


ピピピ…


俺は手元の目覚ましを少し寝ぼけながら切る。

「う~ん!!」

俺は起き上がり背伸びをする。

「さっきのは夢か…?」

さっき見ていた不思議な夢を思い出す。

「最近この夢ばかりだな…。」

修学旅行から帰ってからこの夢ばかり。一体何なんだ…?


修学旅行が終わり、3週間。地獄の期末テストが訪れ、今日がその答案の返却日であった。

「点数は平均点前後か…。」

いつもは平均点より少し点数が上の俺であるが、今回はあまり点数が良くなかった。中学3年生であるから1学期の成績は重視されるのだが、俺はそこで軽く足元を掬われてしまった…。修学旅行が終わってまだその余韻でテスト勉強が捗らなかったのが原因では?と点数が落ちた連中はみんな口をそろえて言うが、俺はそれだけではないと思う。

「昨晩の夢と言い、この記憶は何なんだ…?」

修学旅行で行った京都鉄道博物館で見たC53という蒸気機関車を見てからずっとこの謎の記憶がよぎる。それからというもの、四六時中この記憶について考えていた。

「三浦~!!」

新井は俺の肩をポンと叩く。

「なんだよ?」

「いや~最近、三浦が元気ないと思ってね~。」

新井は前の椅子に座り言う。

「そりゃ、テストの点数があんなじゃね…。」

俺はテストの答案を見せる。

「そうは言うけど、それは建前でしょ?」

新井の目は真剣な目つきに変わる。

「建前…?」

俺は首をかしげた。

「何か、悩み事あるでしょ?言ってみなよ。相談に乗るから。」

新井はにっこり笑う。

「いいけど、笑うなよ。」

「うん。」

新井うなずいた。そして俺は一息ついて

「実は俺はな…」

俺は新井に不思議な記憶ことをすべて話す。

「う~ん。蒸気機関車を超高速運転して脱線ね~。」

新井は首をかしげて腕を組む。

「それの真相解明に付き合ってほしいんだ!!」

俺は「頼む!!」という態度をとる。

「まぁいいけど。でも私の知識だけじゃ、無理だから、お父さんに相談してみるよ。」

「お父さんに聞いてわかるのか?」

俺は首をかしげる。

「一応鉄道総研の技術者だから、昔の話ならよく知ってるから。」

「でも、なんで俺が高速で走ったって言っただけで、お前のお父さんに聞けばわかるってわかるんだ?」

「昔に似たことがあったらしいよ。まぁ、今度の休みの時に国立駅に来て~。」

「お、おう…。」

そう言って新井はその場を去った。俺は事が進みすぎて理解はできなかったが、でも俺の手伝いはしてくれることは理解できた。これで何かわかるといいな。


ということで次の休みの日。国立駅で。

「三浦~こっち~!!」

改札の近くで新井が俺に手を振る。そして横には新井のお父さんがいた。

「おはよう~。今日はよろしくお願いします。」

俺はペコリと頭を下げる。

「君が三浦くんか?」

新井のお父さんが声をかける。

「はい。三浦幹太です。」

俺はにっこり笑う。

「優奈の父の巧です。いつも娘がお世話になっております。君のことは優奈から聞いたよ。」

「それでこれからどうすんですか?」

俺は聞く。

「この近くに職場の鉄道総研があってそこに資料がたくさんあるからそこに行こうかと思ってね。」

「なるほど…。」

「なんか調べることいっぱいありそうだし、早く行こうよ~!!」

新井が俺の腕を引っ張る。

「確かに行こうか。」

そう言って俺らは歩き出す。


駅から少し歩くと…

「なんだ、ここは…。」

俺は周りの景色にあっけを取られる。張り巡らされたレールに不思議な車両たち…。ここが鉄道総合技術研究所と呼ばれるところらしい。

「ここでいろいろな電車の研究をしてるんだよ。だからけっこういろいろな試験車両もいるんだよ。」

「へ~。」

俺は周りを見回す。

そして本館らしいきところに入り、資料室みたいなところに連れてかれ、そこの一角の席に座らせられる。

「三浦くん。もう一度、その不思議な記憶のことを話してくれないか?」

「俺が覚えているのはどこの路線かも時代もわからないところでC53という蒸気機関車が引っ張る列車の運転士で、よく、一緒に女の子と乗務していました。」

「その引っ張った列車の名前とかはわかる?」

「確か、燕とか櫻、富士とかいう名前でしたね…。」

俺は僅かな記憶をひとつひとつ探る。

「その記憶は昭和初期の東海道本線のことだと思うよ。」

新井のお父さんが言う。

「昭和初期…。」

俺はそう言って黙る。

「要するに三浦の前世って東海道本線の蒸気機関車の機関士ってことかな?」

新井が横で言う。

「前世の記憶…?」

「夢じゃないならそうしかないでしょ?」

「そ、そうだな…。」

俺は唖然とする。

「でも、俺にはなんで前世の記憶なんかが…。」

「なんか未練があるんじゃないかな?」

新井のお父さんは首をかしげた。

「未練か…。」

俺も首をかしげた。

「他に覚えていることは?」

「蒸気機関車で200㎞/h出して脱線させた記憶があります。」

俺が言うと

「それ、確実に君、前世の記憶背負ってるね。」

「え?」

俺は口をポカンと開ける。

「実はその話、本当にあったことなんだ。」

そう言って新井のお父さんは古そうな資料を俺に渡す。

「そうなんですか…?」

「うん。250㎞/hでの高速運転を始めたのは1964年。でもこの計画は戦前から『弾丸列車計画』として存在してたんだよ。」

「弾丸列車計画?」

俺はそう言いながら、資料の「弾丸列車計画」という文章を見る。

「200㎞/hという当時でいうところの戦闘機並みの速さで東京と下関を9時間で結ぶ計画があって、そしてさらにそこから海底トンネルで朝鮮まで繋いで国際連絡列車を走らせる計画があったんだよ。」

「なるほど…。」

俺は資料に目を通す。こんな時代からこんな計画があったんだ…。

「でも、前世の君が体験した通り、高速運転の試験をやって列車は脱線を起こし、さらには線路なんて跡形もなかった。」

新井のお父さんがそう言うと

「なんか思い出した。線路が高速運転に対応しなくて高速運転に耐えられる頑丈な線路を作るのに技術もなければ当時は鉄不足だったからこの計画は中止になったんだ。」

俺は少しずつ思い出す。

「三浦はあの脱線の時はどうしたの?」

新井が聞く。

「脱線する瞬間に機関助士の女の子を抱きかかえて守ってそこから覚えてない。気づけばお互い病院で寝ていた。」

「機関助士の子の名前わかる?」

新井のお父さんが聞く。

「確か…」

俺は記憶を探る。よく叫んでる名前の子だよな…そうだ!!

「倉橋…倉橋優子です!!」

俺がそう言うと俺の頭には彼女の顔が思い浮かぶ。

「ということは君はその試験に参加した機関士の生まれ変わりだな。その倉橋優子さんの名前がこの資料に載ってるだよ。」

新井のお父さんは資料の試験参加者の名前に指を指す。

「ほんとだ…。」

俺はその参加者の名前を見た。この中の何人かの名前見たことがあるぞ…。ということは俺は…俺の頭の中に重要な名前が浮かぶ。

「じゃあ、三浦の前世の名前もこの中に…。三浦、その前世の名前わかる?」

新井が俺を見る。

「四條両士…。俺の名前は四條両士だ!!」

俺はとっさにそう叫んだ。そうだ。俺は四條両士だ。

(続く…)

次回はついに最終回です!!謎の記憶先には何が待っているのか…?

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