憧れの超特急
お待たせしました~。ここ数ヶ月忙しかったので…。
ということで新章スタートです!!
東海道本線に超特急が走り始めた頃、俺はまだ4歳だった。それでもまだ、初めてあれを見たことは昨日のことのようによく覚えている。
そして今、1992年の9月。俺、藤村優真は憧れの超特急の運転士として働いている。
ある日の夜。
「だいぶ遅れてるな…。」
俺は時計を見ながら言った。俺が乗務しているのはシンデレラエクスプレスこと、超特急ひかり289号だ。ただし今日はただの平日なので仕事に疲れたサラリーマンで満員だった。
今日は東海道本線内での人身事故の影響でだいぶ遅延した。
ということで現在は21:15を回ったところである。
「本当、今日が日曜日だったらな…。」
俺も6年前まではシンデレラエクスプレスの恋人たちの1人だったが、今はそれを運転する側となった。
そんなことを考えていると指令から
「出発信号機が変わり次第、発車をお願いします。」
という連絡が来た。出発信号機が変わったので、ひかり289号はやっと東京を出発した。
現在の東海道本線の特急の制限速度は250㎞/h。そして、この485系は最高時速270㎞/hまで出せる。しかし、普段は230㎞/h程度しか出さない。
「遅延してるし、前方列車もそんないないし、制限速度限界まで出すか。」
ということで、俺はノッチを力速にし、485系はスピードを上げていった。ATCのパネルを見ると「240」と出ていた。
「よし、行くぞ~。」
なんとなく、俺の目標が達成される瞬間だったような気がした。しかし、249㎞/hのところで…
チン!!
「ATS!?」
ATSが作動し、スピードが下がっていった。どうやらATSが暴走を止めたらしい。
「ウソだろ…。」
俺はガッカリした。
そんなこともありながも、列車は大阪へ到着した。
列車を京都総合運転所まで回送させ、今日の仕事が終わり、終電で自宅が高槻へ帰った。
家に帰宅すると
「さすがに起きてるわけないよな。」
家は真っ暗。俺は苦笑いしながら家に入った。
着替えて寝室に行くと
「本当、親子揃ってかわいい寝顔だな。」
そこには嫁の美桜と3歳の娘の桜が眠っていた。
俺はそんなかわいい寝顔を見ながら俺も眠った。
次の日…
「パパ、起きて!!」
「なんだよ…。桜…。」
桜が俺の上に乗っていた。
「起きて!!」
今日は土休日らしい…。
俺は桜に引っ張られながらリビングに向かった。
「おはよう。優真さん!!朝御飯の用意できてるよ。」
美桜が台所で皿洗いをしながらにっこり笑った。
俺は朝飯を食べながら
「今日はどうする?」
それを聞くと桜はとっさに言った。
「電車、見に行きたい!!」
電車大好きの桜はいつも聞くとこう答える。
「わかった。」
ということで俺は桜を連れて、近所の東海道本線の線路横に行った。俺は桜を抱っこした。すると
「新快速だ~。」
そこに221系が全速力で通過していった。
「速い~!!」
現在、新快速は対京阪神の私鉄に対して新快速は160㎞/h運転をしている。最近、JRと私鉄との戦いは激戦化している。そしてスピードもどんどん上がっていってる。
「東海道線!!」
そこには201系がやってきた。
東海道本線には201系をはじめ、103系や117系、113系、115系、221系、163系、165系、475系、457系、185系、183系、485系、583系など、たくさんの車両がやって来る。日頃、東京~大阪を運転してる俺でも飽きない。
するとそこに
「ねぇ、あの白い電車なに~?」
「あれはね…。ってマジか!?」
そこには流線形の白い車体の車両が通過していった。
「あれはなんなの?」
桜が聞いてくる。
「あれは、これからの東海道本線の特急だよ。」
「そうなんだ~!!乗ってみたいな~!!ねぇ、じゃああれをパパが運転するの?」
「そうだな。」
あの白い電車は681系。JR西日本が製造した、交直両用の特急車両だ。7月に月京都総合運転所に搬入され、現在は試運転中だ。設計によると300㎞/h出すバケモノらしい。
10月の始め。京都総合運転所にて
「ちょっと、藤村いいか?」
運用を終えて帰ろうとしたところに上司が俺のことを呼んだ。
「なんですか?」
「お前、この前、東海道本線で制限速度ギリギリまで出してATSかかったんだろ?」
「なんでそれを…。」
ヤバい怒られる…。
「車両の記録に残ってたんだよ。」
「すいません…。遅延を取り戻すためについ…。」
「本来なら危ないからやめろといいたいところが、お前のその度胸気に入った!!」
「え?」
俺は唖然とした。
「ということで、今度の681系の高速試験を頼みたいんだが…。」
「俺がですか!?」
「そう。最近、特急の運転士になった奴の運転士になった奴になんでなったと?理由を聞いたら、みんな口をそろえてこう言うんだよ。
子供の頃見た憧れのひかりを運転したい。
そして300㎞/h運転をしたい。
とな。藤村、お前もそうだろ?」
「はい!!」
「よし!!今度の高速試験頼んだぞ!!」
「はい!!」
ついに憧れの300㎞/h運転ができるのか~。
それから数日後、留置線に行くと681系がいた。
「藤村さんですか?」
そこにはたくさんの技術者がいた。その1人が俺に声をかけた。
「そうです。今日はよろしくお願いします。」
俺は頭を下げた。
「こちらこそ。僕は研究主任の新井巧です。よろしくお願いします。」
新井さんも頭を下げた。
「今日は何をやればいいんですか?」
「湖西線で300㎞/h運転をしていただきます。」
「湖西線ですか。」
「東海道本線でも後ほど、試験を予定しております。今回は681系の性能を発揮させる試験なので。」
「わかりました。」
ということで俺は運転室に入り、発車の準備をする。
「やっぱり、新車は違うな。国鉄車と比べると整理されてるし。」
民営化後、初のJRの超特急用の車両なので、どこを見ても超最新機器だらけだ。
発車指示が出て、列車は留置線を出発した。
列車は京都を経て、湖西線に入った。
「それでは、高速試験を開始します。フルノッチでお願いします。」
「了解です。」
俺はノッチをフルにした。
列車は徐々にスピードを上げて行く。メーターが100を越える。そして、2分ほどで200まで到達した。
「よし!!ここからだ!!」
210、220、230、240…
メーターは本来なら東海道本線では制限速度に到達してATSが作動するところまで、メーターが到達した。
だが、そこで俺は思った。
「本当にATSかからないよな…。」
この前の件で、俺の頭の中には不安感がよぎった。
「でも大丈夫だ。俺の夢までもう少しなんだ。」
メーターは249となり…
ついに250㎞/hを突破した…。
そして更に列車のスピードが上がってくる…。
「目標まであと少しだ!!」
メーターを見ると280となっていた。
291、293、294、295、296、297、298、299…
そしてついに…
「来たぞ!!」
ついに300㎞/hを達成した。すると新井さんから
「目標達成です!!徐々にスピードを…」
俺は新井さんの話を聞きながら俺はあるものを見てしまった。それは…
「まだやります!!681系のメーター、350までありますよね?」
「あのちょっとそれは…。」
「やらせてください!!そして、この『狭軌最強鉄道』と呼ばれる日本からまた世界一を出しましょう!!」
「…。わかりました!!責任は僕が取ります!!」
「ありがとうございます!!」
ということで、更に列車のスピードは上がっていく…。
「俺だって営業運転でもATSかかるほどの運転をやったんだ!!こいつのATSも作動させるぞ!!」
320、330、340…
目標までもう少し…。
「348㎞/h!!681系よ!!全力を出すんだ!!」
そしてついに…
「350㎞/h!!」
すると…
チン!!
ATSがかかり、列車のスピードは落ちてゆく…。
「やりましたよ!!」
「はい!!」
たぶん、この喜びは一生忘れないだろう。俺が新たな伝説を残したから───
それから、681系はたくさんの試験をし、翌年のダイヤ改正に681系には量産車が投入され、東海道本線、山陽本線で新設された超特急のぞみで運転を始めた。それにより、超特急ひかりは鹿児島本線での運用をのぞみに譲り、日豊本線に乗り入れを開始。かつて、日豊本線を走った急行ひかりが帰ってきた。
同時に681系は北陸本線でも運用を開始。北陸本線では特急スーパー雷鳥として運用を開始。「サンダーバード」という愛称もついた。
これにより、485系の運用も徐々に減っていた。これも時代のせいなのであろうか。
そして俺はというと…
「ひさびさに485系を運転したいです!!」
「お前はダメ!!次こそ事故起こすから!!」
485系を681系感覚で250㎞/h運転をし、ついでにATSを破壊した。しかも、その時はGWの波動輸送のためにJR東日本の東北本線用の485系を使用したため、酷いことになった。
というで
「しばらくよろしくな相棒。」
俺は681系の専属の運転士となった。
そしてあの時、俺が運転した681系の先行量産車こと681系900番台は…。
「ロクサンみたいな装備してますね。電磁吸着ブレーキなんて、装備してるなんて…。」
「そりゃ、こいつがなければ、あそこは登れないからな。」
681系900番台はある試験をするためにJR東日本の大宮工場に入場していた。新井さんはその改造工事が完了したので視察に来た。
「今度は681系に何をさせるのですか?」
「登ってもらうよ!!あの碓氷峠を!!」
681系の新たな挑戦が始まった。
この小説はできれば1ヶに1話か2話のペースで投稿したいです。
次回も681系は大活躍します!!