純白の光に包まれた世界
クリスティアは玉座にて、足早に入れ替わる大臣や騎士達の報告に耳を傾け、手早く支持を出す。
「はい……そうですか、では早急に城内の医師団を避難区域に派遣してください」
この災害によって多くの負傷者が出ていることは想像がついていたが、報告に聞くその数は想像をはるかに大きく上回っていた。
城下にもいくつかの治療院が存在するが、圧倒的負傷者の数が多く、手が足りないとの事で、クリスティアは城内の医師を全て派遣させたが、きっと、それでもまだ手が足りないだろう。
「あと料理人全員も派遣してください。こんな時こそ温かい料理が必要となります。材料は城内の食物庫を解放して構いません」
大臣達は頭を垂れてクリスティアの指示に従い行動する。
「どうして、こんな事が……」
突如起こってしまった天災にクリスティアもいっぱいいっぱいで、こんな時、父と母であればもっと効率よく指示が出せて何か行動が出来たのではないかと、玉座に座っている自分の無力さを実感させられていた。
この現状で唯一の救いは暴動が起きていない事だった。
もし、暴動なんて起きれば民はさらなる混乱を引き起こし、2次的な被害を引き起こしてしまう。今後もそんな事が起きないようクリスティアは聖女として神に祈りをささげた。
「聖女様!」
玉座の間に1人の大臣が駆け込んできた。
その表情は切羽詰まったもので、何事かとクリスティアを含め滞在していた者達に緊張が走る。
「い、いったいどうしたのですか!?」
「空を……空を見てください!」
息を切らす大臣の言葉に一同は城の外に出ては空を見上げる。
「これは……どういう事ですか」
朝の青空でも、夕方の朱色でも、夜の暗闇でもない。
空全体を覆いつくすかのような白一色。だが、これは決して雲ではない。
「純白の世界……ッ!」
「聖女様、いかがなされましたか!?」
頭を抱えて膝を折るクリスティアに1人の騎士が駆け寄ってくる。
「だっ、大丈夫です」
自力でなんとか立ち上がり、手を貸そうと駆け寄ってきた騎士は勢いよく吹き飛ばされ、その屈強な身体は何度も地を跳ね転がる。
「聖女様の足元に魔法陣が!」
魔術師の声にクリスティアは視線を落とす。
そこには純白色に発光する魔法陣が複雑に幾重にも重ねられ描かれ広がっていた。
「聖女様、その場を動かないで下さい。今解析しますので」
術式の専門家である魔術師たちが警戒しつつも、ゆっくりと魔法陣に距離を詰めるが、純白を塗り替えようとする他色を排斥しようと周囲一帯に純白の炎を生み出し、すべてを飲み込んでいく。
「えっ……」
飲み込まれた人達は刹那の時すら掛からずに存在そのものが骨も残さず消え去る。
「どうして……」
クリスティアに術式は扱えない。では、これは何なのか。
答えは直ぐに導き出された。
クリスティアの目の前には不敵に笑う自身と同じ容姿を持つ少女の姿。
「貴女がこの異変を引き起こしたんですか!?」
「世界に不浄の色はいらない」
耳に届く声も全く同じだが、そこに余計な感情はない。
「私には貴女の言っている意味が分かりません! 世界から人がいなくなったらどうなるっていうんですか!!」
「均衡の安定と純化の繁栄。世界が……宇宙全てが楽園の秩序を乱さぬ為。故に私は望まれて生み出された」
「誰に……?」
「楽園の意思によって、だから私は秩序の下に世界を浄化させる」
一歩また一歩と魔法陣の中心にいるクリスティアに邪神クリスティアは近づいていくが、クリスティアはその場を動くことが出来ない。
何かの強い意思なのか、それとも恐怖故かは分からない。
ただ、1つ分かる事がある。
彼女を近づかせてはいけない。
「私の器よ。今この時をもって再び1つとなる」
魔法陣に足を踏み入れ、クリスティアを抱擁する。
「いっ、嫌。やめてっ!」
2人の少女を包むように魔法陣はその輝きを強くし、世界は光に飲み込まれる。
こんばんは上月です(*'ω'*)ノ
完結まであともうわずかとなってしまいました……。
さて、次回の投稿は8月28日。明日ですね!
明日もよろしくお願します^^




