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守るべき存在、失われる世界  作者: 上月 佑幸
クリスティア編
85/90

世界の異変

 アルベールは自室にて、自分の掌をじっと見つめていた。


「クリスティア……」


 彼女を自らの意思で力強く抱きしめた。


 何故、自分があのような行動に出てしまったのか、今になって思えば少々恥ずかしい思いだった。


 それでも、クリスティアは大粒の涙を流し、頬を染めては困ったように笑っていた。あの表情が脳裏に焼き付いてからというもの、アルベールの鼓動は一段と早く打つ。


「我は、クリスティアを女性として……」


 じっとしていれば、先程の事が次々と鮮明に浮かび上がってくる。


 結局あの後は、もう大丈夫だからと逃げる様に自室に籠られてしまい、無理に押し入ることも出来ずに、モンモンとした気持ちに悩まされていた。


「そういえば、クルトは聖域に行くと言っていたが大丈夫なのだろうか」


 ふと思い出し、窓から聖域の方角を眺める。


「うむ」


 心が高鳴るせいでじっとしている事が出来ず、城内を散歩がてらもう一度クリスティアの部屋にでも訪れてみようと自室を出る。


 行き交うメイドや騎士達とあいさつを交わしながら散歩をしていると、気づけばクリスティアの部屋の前に居た。


 ここまで来たからには引き返すことも出来ず、意を決して軽く2度ノックをする。


「はい、どうぞ!」


 中から意外なほど元気なクリスティアの声がしたので一応は安堵し、扉に手をかけゆっくりと開ける。


「クリスティアよ、その……元気か?」


 自分でも何と間抜けな問いかけだと内心で嘆きつつも、発してしまったからには致し方ないと諦める。


「えっ? うん、元気だよ」

「そうか、なら良かった。その先ほどは逃げられてしまったのでな……何か、気に障る事でもしたかと思ったのだが」

「違うよっ! えっと、私がちょっと恥ずかし嬉しで……」


 再び顔を真っ赤に染め言葉が段々と小さくなっていくクリスティアに、アルベールはゆっくり近づいていき、強い意思を込めて再びクリスティアを抱きしめる。


「あわわわわ!」

「もう、我から離れないでほしい」


 真摯な言葉はクリスティアの胸を射抜き、彼の腕の中から顔を上げ、その翡翠色の双眸を潤んだ瞳と向き合う。


「告白……ですよね?」

「うむ、そうだ」


 彼がちゃんと向き合いぶつかってきたのだから、ちゃんと応えねばと一度頷く。


「もちろんです、私の魔王様」


 2人の距離は一層近づき、互いの唇が重なり合う。


 その直後に、大陸中を揺るがす強い地震が訪れる。


「わっ!?」

「クリスティア!」


 アルベールはクリスティアに覆いかぶさるようにその場でしゃがみ込み、次第に強まっていく揺れに不穏な気配を感じ取っていた。


 しばらくして地震は収まるが、城下はパニックを起こしていた。


「いけないっ!」


 クリスティアは窓から城下を眺めると、至る箇所で火事が起こっていた。


「アルベール君、私について来て!」

「わかった」


 クリスティアに付いていくとそこは既に国の重鎮や騎士が控えている玉座だった。


 普段はこの場所に座らないクリスティアだが、今回は非常事態の為に指揮系統を統一し情報を共有化するために王座に着く。


「聖女様! 城下では今や民はパニックに陥っております」

「ええ、分かっています。騎士や魔術師は直ぐに民の避難場所への誘導と消火活動をお願いします、残りの皆様には、他国への被害状況の確認を急いでください!」


 迅速な指示に階段下にて控えていた騎士や大臣達は深々と頭を垂れては、各自動き始める。


「我はどうすればいい?」

「アルベール君は他の魔王の招集をお願いします」

「了解した」


 返答は短いが、互いの交じり合う視線は力強く頷きあっていた。


 アルベールは、城を出ては銀翼を羽ばたかせ上空に舞い、急ぎ聖域へと向かう。


こんばんは上月です(*'ω'*)ノ

次回の投稿は8月27日となりますので、よろしくお願いします

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