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守るべき存在、失われる世界  作者: 上月 佑幸
クリスティア編
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世界の仮説

  クルトとアルベールはクリスティアを王室医師団に任せ、執務室にて深刻な顔を浮かべながら向き合っていた。


「考え直す……というのは、クリスティアを見捨てるということを考慮に入れるというのか! あの時に我らは誓い合ったはずだ。世界もクリスティアも失わせないと、それを違うつもりか!?」


 アルベールの強い訴えにクルトは小さく頭を振るう。


「落ち着けよアルベール。俺は別にクリスティアを見捨てるつもりで言ったわけじゃないよ。ただ、俺は来たるべき時の対抗策を考え直さなければという意味で言ったんだ」

「そうか、怒鳴ったりしてすまぬな」

「いや、構わないさ。俺も正直動揺していて言葉が足りなかったからね」


 クルトは黄金の双眸を窓の外、暗闇にきらめく星々を見上げては、軽い溜息をつく。


 時間が無いうえに、また最初から策を講じねばならない。という今までの苦労が水泡に帰してしまった事への落胆からか、それとも世界の不条理を嘆いての事か。


「アルベール、俺からも1つ言っておかないといけないことがある」

「む?」

「現在ヴァナトリアでは重大な問題を抱えている。ヴァナトリア領にある森で不審な存在が確認され、多くの討伐隊が派遣されたが皆帰らぬ者となり、ナコトも重症の手傷を負ったらしい。そこで中央協会に調査をしてもらいたいという旨の手紙が届いた」

「ナコト、確かネクロの娘であったな」

「そうだ。そして人間にして唯一シオンを倒す事が出来た娘だ。まぁ、あの時のシオンは不調だったみだいだが、それでも十二分な実力を持っている。そんな彼女に重傷を負わせるほどの何物かがその森に生息している」


 緩やかなローブの袖から一枚の封筒を取り出し、アルベールに手渡す。


「確かにそのような内容が書いてあるな。それで、この件についてはどうするのだ?」

「まぁ、一応要請には応えて第4魔王ヘルと第5魔王リリアン、そして中央協会が誇る4十字騎士団からグレイとステラを向かわせている」


 ヘルとリリアンなら万が一にも大丈夫だろうとは思うが、グレイとステラも弱くはないが、とその編成に疑問を抱く。


「魔王ばかりに頼っていては人間達から不信感を抱かれかねないからね」


 なるほどそういう事かと納得する。


「そのアルベール達がみたドラゴンと今回のヴァナトリア、そして邪神クリスティア。何かしらの関係があると思うか?」

「わからぬな、ドラゴンを呼び出した人間に聞く前に死なれてしまったからな。クルトはどのように考えている?」

「俺は何かしらの繋がりはあるんじゃないかと思っている。さっきも言ったけどドラゴンっていうのは人間が娯楽に作り上げた存在だ。この世界には存在しない。この世界にはね」


 なにか勿体ぶるように強調するクルトにアルベールは食らいつく。


「この世界には、とはどういう事だ。それではまるで世界がほかにも存在しているような物言いではないか」

「じゃあ、アルベール1つ聞くけど、常世の時代ってなんだい?」

「はるか昔に栄えた神々の時代の事ではないのか?」

「そう、でもそれは邪神クリスティアの手によって幕は閉じている。そして、その時代に人間なんて生き物は1回だって出てこない。さて、ここで疑問が生まれるね。この常世の時代の神話を人間達は浅い部分は知っているし、書物にも書かれている」

「まさか!」


 クルトが言いたいことが段々と分かってきた。


「そう、そんな遥か昔のお話しをなんで人間が知っているんだろうな。誰かが作り上げた話しなら、まぁ分からなくはないよ。でも常世の時代は確実に存在しているんだ。俺やお前がそうであるからね」


 クルトは一泊の間を置き続ける。


「つまり、常世の時代やドラゴンは他の世界であって、誰かさんがそれをこの世界に伝えた。その理由は分からないけどね。まっ、所詮は俺の空想だ。今のところ俺が一番納得できる答えはこれかな」

「……」


 アルベールは考える。


 多重世界論というモノを。


「邪神クリスティアが他世界の存在だというのなら、何故、クリスティアはこの世界に存在しているのだ?」


 率直な疑問にクルトはしばらく考えては口を開く。


「おいおい、俺たちがそれを言うか? 俺たちだって元は常世の神々の一部だよ。それがこの世界に転生してしまった。それと同じようにクリスティアもこの世に生を受けた。これはたんなる偶然かな、それともこの世界の意思なのかな?」


 考えれば考えるほど、柔軟な考え方に不向きなアルベールの脳は混乱していく。


 その様子に可笑しそうに笑うクルト。


「難しい事は俺が考えるから、お前はクリスティアと世界の心配だけしていろ」

「うむ、すまぬ。どうも難しい話しは苦手なのでな」


 それからクルトは1人で考えたいということでアルベールと別れ各自の部屋に戻る


こんばんは、上月です(*'ω'*)ノ

もうすぐでお盆休みですね。やりたいことが山ほどあるけど、やはりできるだけ毎日少しずつでも小説は書いていたいですね^^

次回のお話しはヴァナトリア領に向かったリリアンたちのお話しとなりますので、よろしくお願いします。

投稿日は8月10日となります。

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