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守るべき存在、失われる世界  作者: 上月 佑幸
銀聖の魔王編
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無限回廊の魔王と千雷の魔王と煉獄の魔王 

 思わぬ展開にシン達は身の安全の為、ネクロを引きずり距離を置く。

 魔王の乱戦ともなれば、この部屋にいる事自体が危険なのだろうが、扉側にはヘルとリリアンが立ち塞がっているので脱出は不可能。であれば、アルベール達側で身を潜ませる。

 悔しいがシン達では魔王同士の戦いに割って入りなんとか出来る次元の話しではない。

「シン達は我の背後に」

 早速治癒の因果創神器をアズデイルに使用し、紅く発光し傷を物凄い速さで修復していく。

「銀の魔王よ。すまないがそうさせてもらう。これは俺達に何か出来る領域じゃあなさそうなんでな」

 グレイとジークリートがネクロを運び出し、シンは1人先に避難していた。

「おい、シンお前も手伝ってくれよ」

「ふっ……生憎と先程の戦いで肩を痛めちまってな」

「かっこつけていう事なのか?」

 ジークリートの冷静なツッコミが入る中、すでに魔王達はぶつかり合っていた。

 シオンとヘル。リリアンとクルト。

 何故だ。何故仲間内で争い会うのだ。アルベールは治癒の因果創神器から発せられる眩い光に翡翠色の瞳を細め、嘆いていた。

 何かがおかしい。

 こんなの間違っていると強く否定の想いを天に届かんばかりに心は慟哭を上げていた。

 きっとエリーザなんて泣きたかったに違いない。

「……うっ」

 アルベールの耳に届くかすかな声。

「アズデイルッ! しっかりせよ。我の声が聞こえているな!?」

 強く声をかけ続ける。次第にアズデイルは微かに瞳を開ける。

 未だ微睡みに包まれたかのように意識ははっきりはしていないが、一命は取り留めたようでアルベールは安堵の息を溢す。

「アル……ベール?」

「あぁ、我だ」

「ここは、私は確かヘルに……」

「今は何も考えるな。そして喋らなくて良い」

 状況を理解できていないアズデイルに優しく微笑みかけ、ただ安静にするよう指示し、アズデイルは小さく頷き瞳を閉じ小さな寝息をあげる。

「次に目を覚ましたときは、皆元通りになっている。だから、今は眠っているがよい。シラー、エリーザの方はどうなっている?」

「こっちも大丈夫だぜ。まったく、この因果創神器は大したもんだな。切断面すら綺麗に修復してるぜ」

 取り敢えずアズデイルとエリーザの件はもう大丈夫なのが分かった。

 後は目の前で戦うクルトとシオンに加勢をし早期にこのような下らない茶番を終わらせねばとシン達にアズデイルの事を頼み。

 その静かなる翡翠色の双眸に怒りを滲ませ戦場に参戦する。

 これで3対2。

 それも魔王序列最上位2名を相手にリリアンとヘルは降参するどころか不敵に口元を歪ませ、魔力をより一層濃く振りまきながらも戦場を彩らせる。

「どうしたヘル。そん程度で序列4位を名乗っていたのかよッ! 俺がテメェをぶっ倒してその席を頂いてやってもいいんだぜ」

 異空間を開いては閉じてヘルの身体を切断しようとするが、溶解熱に空間は陽炎のように揺ぎ、熱波が異空間の中に身を潜めるシオンを襲い、眼球が刹那の瞬間で乾き眼を開けていられず狙いが逸れる。

「お……前は、もう……弱い。殺す……気で、来い」

「上等じゃねぇかッ!」

 ヘルの足元。地面に異空間を開き、足場を失ったヘルは姿勢を崩し無限回廊の摂理に飲まれかかる寸前のところで熱を集結させ爆破させ、その巨体は直立不動のまま打ち上げられる。

「温い……単純な、攻撃……だ」

「じゃあこれでどうだァ!?」

 宙に打ち上げられたその巨体の周囲に幾つかの異空間を発生させる。

「さぁ、堕ちて来いよ。無限の回廊を歩ませてやる」

「無駄……だッ!」

 ヘルは大剣に熱を纏わせる。

 その鉄板のような大剣は赤く熱され湯気を発する。

 これから何をしようというのか、シオンはその剣に意識を集中させる。

 ヘルは大きくその大剣を振るう。

 異空間はその振られ飛んだ熱波により、空間を形成させる魔力にブレが生じ消滅する。

「ば……馬鹿なッ!?」

 驚愕だった。

 まさか魔力すらも溶解してしまったかのように、霧散してしまうシオンの術式。

 術式が消滅したことによりシオンは異空間から脱出し、地面に片膝を突き、その身体には大粒の汗がとめどなく溢れ、髪が顔に張り付き視界を遮る。

「くそッ、邪魔だ」

 髪を掻き上げる。

 シオンは早速術式を展開しようと魔力に干渉するが、上手く手繰れない事に気づく。

「……?」

「気づい……たか?」

 目の前には巨大な鉄の固まりがシオンを見下していた。

「何をしやがったッ!」 

 ヘルの手には1つの石のような物が握られていて、それを見たシオンは全てを理解する。

「因果創神器か……」 

「この石……触れた、ら、しばらく……魔力、上手く……使えない」

 ヘルの因果創神器は術式を多用する者にとっては天敵となる代物だった。

 通称魔術師封じの原石。間違いなく上位に位置するその因果創神器の使用方法は不明。

 シオンはいつその力を使われたのか分からなかった。だが、今更そんなことを考えても意味は無い。目の前で大剣を振り上げる上位の魔王を何とかせねばならなかったが、上手く術式は使えない。それだけではなく、体力的にも限界だった。

 先ほど全力をもってシラーとぶつかり、今の戦いでだいぶ魔力を使い果たしてしまった。

 連戦に加え、ヘルを相手に最初から飛ばしすぎたのだ。

 死をただ待ち受けるのみ。

 シオンはゆっくりと瞳を閉じる。

 だが、痛みは訪れることが無い。

 ゆっくりと瞳を開けてみると、目の前にはヘルと自分の間に何者かが割って入り、攻撃を防いでいた。

「ハッ……まったく、大口叩いてるくせにこれの程度かよシオン」

 周囲に熱による陽炎を爆ぜる雷。

 大剣を雷の剣で受け止めるシラーの姿。だが、シラーにも余裕が見受けられない。

 それもそうだろう。彼も上位の魔王シオンと全力でぶつかりあったのだ。魔力は枯渇状態といってもいい状況でシオンを救うために、最後の一滴まで魔力を絞り割って入ったのだ。

「なら……まとめて、かかって……来い!」

すいません今回は短いです。

次回はいつもどおりの長さか、ちょっと長いくらいだとおもいますの。

次の投降は4月17日になりますのでよろしくお願いします。

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