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ナーギの防具



私は深淵の森のなじみの武器屋に行く。

防具一式を預けてあるのだ。

本来、冒険者は防具を大切にしないといけない、自分で維持しいつでも使えるようにしておく。命を預けるからだ。

防具を常に身につけているなら良いのだろう。私は見たくもないし着たくもない。

私はやはり冒険者には向いていないのである。


きっと取りにいく武器屋のおっちゃんにも怒られるのだろう。

ますます嫌な気分になる。

それでも、いい防具を売って預かってくれるおっちゃんは、金の亡者か底なしのお人よしなのだろう。




「ナーギだ。防具だして」



新顔何だろう見たことのない男の子が受付をしている。

「ナーギさんですね。あーあ……。半年以上預けっぱなしじゃないですか!」

「ああ、いいから早く出してくれ。金は前金で払っているんだから」


早くしないとタコ親父がきて怒られる。

いらいらがつのり受付の新顔を睨みつけてしまう。


「はいはい、ちょっと待っていてください」


そういうと彼は店の裏に下がり私の装備を取りに行った。

時間をもてあました私は店内の装備を観察することにした。

各用途別の防具。武器一式。

武器を見る事は好きだ。振り回すのも好きだ。

でも、私が使っても生かしきれない。良いものを買って何度も無駄にし人に譲ってきた。

少し寂しい気分になる。


だから私は防具に金をかける事にした。

限界まで鍛えたミスリル防具。対魔術マント。自動結界の指輪。装備は軽く、機動性を重視してきた。


「おまたせしました。すごい装備ですね!こんなの初めて見ましたよ!」


ああ、そうだろう。ここの親父が最高傑作と謳っていた。ミスリルは親父が、マントと指輪は親父が防具に合う物を伝手を頼りに見繕ってくれ私は愛用している。


「確かに受け取った。終わったらまた預けに来ると親父さんに伝えておいてくれ」


「はい、確かに。所で武器は良いんですか?」


「ああ、武器は持たない主義なの」


これで、呪符と食料を買いそろえれば完璧だ。約束には間に合うだろう。







やっと店番を出来るようになった後輩が何やら興奮している。

俺が目を離したすきに何かがあったらしい。


「先輩!今凄い装備の人がいたんっすよ!ミスリル防具にマントに指輪!あんなん初めて見ました!」



「へ?ナーギさんか?」


「そうそう!ナーギさん冒険者の癖に武器、持ってませんでしたよー。何考えて……」


「馬鹿野郎!!それおやっさんに伝えたんか!!?」


「ひっ!つ、伝えてません!!」


「この馬鹿が!お前は暫く店番禁止だ!店と便所掃除でもしてろ!」


「おやっさーん!ナーギさんが戻ってきましたよー!」



ドタドタドタ!

大柄のスキンヘッド男が金づちを持ったまま、奥の工房から駆け込んできた。

「どこだ!?」

「新入りが帰しちまったんでさぁ!!」


「こんっの馬鹿が!」


ごつーんっとゲンコツが飛び身長が僅かに縮んだように見える。


「見たことねぇ客が来たら俺に伝えろって言ってただろ!」



なんて大騒ぎになっているとも露知らずにナーギは買い物をするのであった。





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