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ナーギの仕事

「今日、ギルドから届いた仕事だ。見てくれない?」


私が見えるように3枚の紙を彼は並べる。


・急募 隠密スキル保持者! 仕事内容は盗賊団のアジトの内部情報収集。

・オーガの討伐 最低3頭! 

・即位式にて暗躍する輩の情報収集また偽情報による攪乱


Aクラスの冒険者になるとギルドが直接仕事を頼みに来るのだ。ギルドに入る時の誓約書に、ギルドに協力を惜しまない。と記されている。やぶってもお咎めは特にないが、良い事もない。その程度の仕事だ。


ギルドランクにあった仕事しか斡旋しないが中には割の悪いものや、高位ランクのものも混ざる事がり、複数の依頼から本人に出来そうなものを選んでもらう。


それが今私の目の前にある。

ちなみに本来機密書類である。


「にゃー?」 怒られるよー?


「大丈夫だって、ナーギが洩らさなきゃいいんだよ?」


この男本当に適当である。


「それに着いてきてくれたらもっと嬉しいな」


「な!」 嫌!


私は首を振り自分の意思表示をする。



「なーあ、ニャ!」 マスターやっぱり服着るー。



「いつもの所にあるよ。着替えておいで」


マスターは店の奥の入り口を指差した。




「ふう、なんでナーギの着替え置いてるの?」


「お客様の秘密は売れません」


人が悪そうにマスターは笑い、狐男を冷やかす。


「たっく、おもしろくない。その顔ナーギの前でみせたら?」


「女性には気を使って接するものです」


「男でも客には気を使った方が良いと思うけど……」



「で、この3枚?」

私は人の形に戻り、先ほどの席に着きます。

マスターは私の飲み物を作るためシェイカーを振ります。


カシャカシャカシャ。

この音が好きなんですよね。


今の私は黒髪に黒耳を飛びださせ、長くて自慢の尻尾を僅かに振ります。


「最初から、戻ってよ」


狐男は呆れたようにいうのでした。



「イヴァン、この中で一番マシなのは盗賊団。他は受けないほうがいいわ。嫌な感じがする。Aランクのあなたなら命の危険はないけれど、良くない事が起こる」


仕方ないので仕事をしてあげましょう。


イヴァンは困ったように首を傾げ、ふさふさの尻尾を振る。


「いつものお願い」


「高くつくわよ?」


「また、ナーギに会えるなら安いものだよ」


おだてたって何もでないんだから。


私のギルドランクは非戦闘クラスSである。

戦う段階になって私がいたら足手まとい以外何でもないのだ。支援魔法しか使えない私は、自分の身も守ることが出来ない。


だから、私は戦う前準備を最前線の彼らに施す。


「加護は神の力、生命は木々の様に、力は大地の様に貴方に幸おおからんことを」


私の呪文はイヴァンに吸い込まれる様になじみ、5日間の効力を発揮する。

自己の加護の強化、生命力の強化、力の強化、また、私のマックススキルのランダム発動。


呪文の利きは最高5日間、これは、私との信頼関係と相性で決まるものだ。


「ありがとう。逃げ足が発動した見たいだ」


「うん、逃げ足が有れば間違いないわ」


私は満足げに耳を動かす。いちいち仕草に感情が現れる様で、人型は嫌なのだ。特に仕事中は……。


「マスター、ベット使って良い?猫になるから」


私は家に帰る気も起きずに、マスターに確認をとる。

今日は仕事をしよう。

マスターにはずいぶんツケをためてしまった。

バーの中で仕事の斡旋をし始める。

私の仕事は専門的なスキルと運命の巡りあわせが必要な依頼の斡旋だ。

ギルドから支給されている携帯端末から情報を呼び出し、15人ほどいるバーの客の中から適切な人材を見つけ依頼を受けるか聞く。


バーの客はどういうわけか、私の依頼は受けてくれる。それに、見つかりにくいスキルの者が案外多く飲みに来る。




「良いけど、俺はそのままでも構わないよ?」


マスターはいつもの事とさらりと返事をくれた。


「ちょっとまって!!ナーギそれは駄目!泊まるなら俺の家にして!?」


イヴァンはこのやり取りが初めてだったようで、状況が飲めていないようだ。


「ナーギ、こんな奴と一晩いたら食われちゃうよ!?俺の家にいこう!」


私を抱えるようにしてマスターから遠ざける。


「イヴァンは私の事食べないの?」


抱え込まれているので上を向きイヴァンに確認をとる。


「食べていいの!? ていうか、マスターとは何でもないって言ってたじゃないか」


「うん、だから何もされていないよ。ねマスター?」


肯定するように眉毛を上げてマスターは合図する。


「とにかくベットは俺のベットで寝て!」




とまあ、イヴァンは私に振り回されているのであった。



ふうふー。

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