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最強ギルドマスターは十年前のゲーム世界に転生した 〜未来知識だけを武器に、見習い傭兵から王座を目指す〜  作者: 窮北の風
トゥー・リバーズ・シティ風雲

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第76話 絶対に、絶対に秘密にしてくださいよ!

以前からの「借金」を少しでも返すために、今日の更新で二話分をお届けします……!

「あの、レオナルド……君。少しだけ教えてもらえないか。君のその師匠は、今いったいどの等級の戦士なんだ?」

 そばかす顔の少年は、もはや胸の内の好奇心を抑えきれなかったらしい。

 腰を屈めて近づき、声を潜めて尋ねた。


「どの等級か、ですって?」

 その問いを聞いたレオナルドは、口に咥えていた草の茎をぷっと吐き捨てた。

 そして、横目で相手を見る。

「そんなこと、見ず知らずの人間に軽々しく教えられるわけがないでしょう。失礼すぎますよ」


「た、大変申し訳ない!私の配慮が足りなかった!」

 そばかす顔の少年は慌てて大声で謝り、何度も頭を下げた。


「ただ……俺の師匠は、普段はとても気さくな方です」

 レオナルドは相手が恐縮しきっている様子を見て、口元をわずかに吊り上げた。

 それから、いかにも秘密めいた様子で声を潜める。

「そうですね。教えてあげてもいいです。ただし、絶対に秘密にしてくださいよ。そこら中で言いふらしてはいけません」


「後輩、安心してくれ!俺は口が堅いことで有名なんだ!」

 そばかす顔の少年は胸を叩いて保証した。

「前に親父の金貨を二枚盗んだことがあってな。見つかった後、親父に三日間ベルトで叩かれたんだ。ベルトを五本も駄目にしたのに、俺は最後までどこに隠したか白状しなかった!」

 そこまで言ってから、彼は周囲を囲んでいる他の者たちを見て、少し眉をひそめた。

「ただ、こいつらはどうだか分からん」


「幸運の女神に誓う!後輩が教えてくれたことは、絶対に言いふらさない!」

「安心しろ!たとえ親父にベルトで叩かれても、俺は絶対に言わない!」

「そうだそうだ、俺も誓う!誰にも言わない!」


 周囲の者たちが次々と、自分は必ず秘密を守ると保証する。

 それを見届けてから、レオナルドはようやく重々しく頷いた。


「分かりました。あなたたちを信じます」

 そして、ゆっくり口を開く。

「実は……俺の師匠は、すでに『銅級』戦士です」


 もっとも、レオナルド自身も、コロン殿下が実際にどの等級なのかは知らない。

 だが、一人でゴブリン軍をまるごと壊滅させたのだ。

 しかも、その中には七体のゴブリン精鋭戦士までいた。

 ならば、実力は絶対に相当なものに違いない。

 それに、皆は秘密を守ると約束した。

 少しくらい大げさに言っても、問題は起こらないはずだった。


 案の定、彼が言い終えた瞬間、周囲から一斉に息を呑む音が上がった。


「どど……『銅級』……!?」

 そばかす顔の少年は大きく口を開けたまま、その場で完全に固まった。


 つい先ほどまで、レオナルドの口から、その師匠がここまで歩んできた経歴を聞かされていた。

 相手は自分たちと同じくらいの年齢。

 もしかすると、さらに少し若いかもしれない。

 それなのに、その年で、すでにそこまで高い等級に達しているというのか。


 彼は六歳の頃から、家の護衛について剣術を学んできた。

 毎日、少なくとも八時間は鍛錬を続けている。

 今では、もう丸十年だ。

 時には少し怠けたこともある。

 だが、それでも十分に努力してきたと言えるはずだった。

 家では大金を払って、城内でも名のある剣術教師を雇ってくれている。

 食事も、毎食のようにエメラルド草原から輸入した魔牛肉まぎゅうにくを食べていた。

 それでも、家族が彼に期待しているのは、せいぜい二十歳になる前に鉄級戦士へ到達することだった。


 だというのに、レオナルドの若き師匠は、すでに銅級を突破している。

 そんな恐ろしい剣術の天賦は、ロニクス王国全体を見渡しても、そう多くはないはずだ!!


 レオナルドは、相手の心中など知る由もなかった。

 ただ、皆が震えるような顔で驚愕しているのを見て、先ほどまで胸の内に溜まっていた鬱屈が、潮が引くように消えていくのを感じた。

 彼は自然と手を伸ばし、そばかす顔の少年の肩をぽんと叩く。

 そして微笑んだ。


「先輩も、そう落ち込まないでください。俺の師匠はかつてこう言っていました。この世界は広い。自分より天賦が高く、能力のある者など、星の数ほどいる。だからこそ、戦士の道を選んだ以上、俺たちは常に謙虚な心を保ち、『昨日の自分を超えること』を目標にすべきだ、と。そうしてこそ、人は前へ進めるのです。分かりましたか?」

「は……はい!ご指導、ありがとうございます、後輩!」


 そばかす顔の少年は、恐ろしく真剣な顔で答えた。

 ただ、レオナルドの手が自分の肩に置かれているのが、どうにも落ち着かなかった。

 思わず、自分の父親を思い出してしまう。

 昔、父にベルトで叩かれた後も、確かこんなふうに諭された気がする。

 とはいえ、先ほど聞かされた話があまりにも衝撃的だったため、そこまで深く考える余裕はなかった。


「さて、あなたたちの質問には答えました。そろそろ、それぞれやるべきことに戻ってください」

 他の者たちも皆、何やら考え込むような顔になっている。

 それを見て、レオナルドは満足げにゆっくり立ち上がった。

「俺も剣の稽古を続けなければ。怠けているところを師匠に見られたら、また叱られてしまいますからね。はあ、ああいう師匠を持つと、本当に大変です」


 レオナルドはそばに置いていた木剣を手に取った。

 そして、いかにも得意げに首を揺らしながら、広場の隅にある木人の前へ歩いていく。

 ペトラの近くで、再び白獅子剣術の稽古を始めた。


 一方、先ほどまで集まっていた少年たちは、ぽつぽつと散っていった。

 その顔には、それぞれ違う色が浮かんでいる。

 重く考え込む者。

 疑わしげな者。

 興奮を隠しきれない者。


 そして、あのそばかす顔の少年だけは、しばらくその場にしゃがみ込んだままだった。

 顔には深い物思いの色が浮かんでいる。

 まるで、先ほど受けた心の衝撃から、まだ立ち直れていないようだった。

 かなり長い時間が経ってから、彼はようやくゆっくりと立ち上がる。

 そして俯いたまま、自分の隊伍のほうへ歩いていった。


「ラム!」


 そばかす顔の少年は、聞き慣れた声に足を止めた。

 顔を上げて見ると、自分と同じ赤髪の少年がこちらへ手を振っている。


「ラム、お前、昨夜またこっそり酒を飲んだだろ?さっきから何度も呼んでるのに、全然反応しなかったぞ」


 そばかす顔の少年――ラムは眉をひそめた。

 相手の名はジャック。

 自分と同じ一族の出身だ。

 ただ、ラムよりも天賦があり、剣の腕も上だったため、訓練営に来て以来、何かにつけてラムと張り合ってくる。

 このタイミングでわざわざ声をかけてくるなど、絶対にろくなつもりではない。

 しかも、ラムは先ほどレオナルドの師匠の話で、少なくない精神的打撃を受けたばかりだった。

 機嫌は最悪と言っていい。


「勝手なことを言うな。何の用だ?」

「いや、別に。ただ、さっきお前たち三人がかりでも、あのレオナルドに勝てなかったのを見てな。ちょっと信じられないと思っただけだ」

「はっ、何が信じられないんだ?お前が三人いても、結果は同じだぞ」

 ラムは皮肉を込めて言った。


「ははは!!自分が腕で負けたからって、他人まで同じだと思うなよ」

 ジャックは笑った。

「俺は天才なんて大それたものじゃないが、最近、基礎剣術はすべて身につけた。家で雇っている教師も言っていたぞ。来年には鉄級戦士の申請ができる実力になるだろうってな。その時、俺はこの一族でここ二十年、最年少の鉄級戦士になる」

 ジャックは誇らしげに笑い、ラムを見た。

 その目には、隠しきれない優越感が浮かんでいる。


「たかが鉄級戦士か。井の中の蛙だな」

 ジャックの嘲りを受けても、ラムはただ冷笑した。


「誰が井の中の蛙だって?」

「もちろん、お前のことだ」

「何だ、不服か?来いよ。ちょうど教官もまだ来ていない。もう一度、俺と試合でもするか?」


「ふん。お前にできることなんて、それくらいだろ」

 ラムは首を横に振り、不屑げに言った。

「俺はこの目で見たんだ。俺たちとそう変わらない年齢でありながら、剣術ではすでに鉄級戦士を超えている人物をな」


 ジャックは一瞬ぽかんとした。

 次の瞬間、声を上げて笑い出す。

「はははは!ラム、お前は何を寝ぼけたことを言ってるんだ?俺に勝てないなら素直に認めればいい。わざわざ出まかせの話を作る必要なんてないだろ」


 だがラムは、まったく気にした様子がなかった。

 彼はジャックを見た。

「昨日までの俺なら、同じく信じなかっただろうな。だが、さっき俺たちとレオナルドの試合を、お前も見ていただろう?あいつは三手だけで、俺たち全員を倒したんだ。たった三手だぞ!それが何を意味するか分かるか?」


 それを聞いたジャックの顔色が変わった。

 彼は確かに貴族だ。

 だが、貴族が皆馬鹿というわけではない。

 先ほどは深く考えていなかった。

 しかし今、改めて思い返してみると、すぐにそこにある問題に気づく。


「ん?レオナルドか?俺もあいつのことは聞いたことがある。印象では、確かに悪くない腕だったが、そこまで強かったか?三手でお前たちを倒したというなら……俺でも勝てないということになるぞ」

「ふん。分かればいい」

「どういうことだ?ちゃんと説明しろよ」

 ジャックは、その裏に何か事情があると感じたらしい。

 すぐに問いただしてきた。


 ラムは焦れた様子のジャックを見て、長くため息をついた。

 それから声を潜める。

「教えてもいい。だが、絶対に人に言うな。もし本当に何か起きても、俺は自分が話したとは認めないからな」


 ジャックはラムの神秘めいた様子を見るなり、好奇心こうきしんを一気に膨らませた。

 何度も頷きながら、慎重に周囲を見回す。

 誰もこちらに注意を払っていないことを確認してから、ようやく身を寄せた。


 ラムは満足げに相手の肩を叩き、真剣な顔で言った。

「同じ一族のよしみで教えてやる。レオナルドは、とんでもなく強い師匠についたらしい。その人に教わったことで、たった半月で、あそこまで剣術が伸びたそうだ」


「何だって!?」

 ジャックは思わず声を上げた。

「そんなことあり得ない!どんな教師なら、そこまでできるんだ!?」


「あり得ない?」

 ラムは相手が信じないことを最初から予想していたようだった。

 ただ冷笑する。

「では、その師匠が、とてつもない剣の達人だと言ったらどうだ?」


「剣の達人?うちの護衛隊長よりも強いのか?」

「護衛隊長?たかが鉄級戦士が、どうしてレオナルドの師匠と比べられるんだ?」

「何だと!?まさか、その師匠は銅級戦士なのか!?」

「ふん。銅級など何だというんだ。あの人は、堂々たる『銀級』戦士だ!!!」


「えっっっ!?『銀級』戦士!?」

 ジャックは目を見開いた。

 しばらく呆然とした後、また眉をひそめる。

「本当に銀級戦士なのか?そんな強者が、どうして俺たちのような辺境の街に来るんだ?しかも、レオナルドを弟子に取るなんて」


「実はな、レオナルドの師匠の故郷は、俺たち南境にあるんだ」

 ラムは声をさらに低くした。

「あの人は今回、もともと里帰りのために戻ってきただけだった。ところが、ちょうどゴブリン大軍の侵攻に遭遇したんだ。そこで一人でゴブリン大軍を丸ごと斬り伏せただけじゃない。心優しくも、難民たちをずっと双流城まで護送してきた。これは周囲の難民に聞けば、すぐ分かることだ」

 そして、彼はさらに真剣な顔で続ける。

「もっとすごいのは、その人の年齢が俺たちとほとんど変わらないことだ。しかも使う剣術は、白獅子軍団専属の白獅子剣術だぞ」

「レオナルドを弟子に取った理由?それは本人に聞け。俺が知るわけないだろ。ただし、言っておくが、俺から聞いたとは絶対に言うなよ!」


 ラムはきわめて真面目に言った。

 最後の一言には、はっきりと警告の響きが混じっていた。


 ジャックはラムの厳粛な表情を見つめ、ゆっくりと頷いた。

 そして遠くで一人剣を振っているレオナルドを見る。

 その瞬間、彼は少しだけ、本当に信じてしまった。


 ただ――ラム。

 話すのはいい。

 でも、なぜさっきからずっと俺の肩を叩いているんだ?


「よし、俺もそろそろ授業へ戻る。最後にもう一度だけ言っておく。絶対に、絶対に人へ言うなよ」

 そう何度か念を押してから、ラムは立ち上がり、その場を離れた。


 だが、先ほどジャックが見せた驚愕の表情を思い出すと、ラムの口元は自然と吊り上がった。

 最高だ。

 普段から俺を見下してばかりいるからだ。

 ふふん。

 今回はお前も、見事に打ちのめされただろう。


 十分後——


 ジャックは普段仲のいい三人の友人を引っ張り、営地の裏手にある馬小屋まで連れてきていた。


 彼は神妙な顔で、同じく貴族身分の三人を見回す。

 そして声を潜めて言った。

「重大な秘密がある。ただし、話す前に、必ず、必ず、必ず秘密を守ると誓ってくれ」


 向かいの三人は互いに顔を見合わせた。

 それから次々に頷く。

「ジャック、安心しろ!俺は絶対に秘密を守る!」

「ジャック!俺のことは分かっているだろ。俺は口がめちゃくちゃ堅い!」

「そうだ。早く教えてくれ」


「うん」

 ジャックは満足げに頷いた。

「お前たち、レオナルドの師匠がどの等級か知っているか?」

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