53 講習⑦
いつもの部屋へ戻り、受講生達の練習を見る。
初級合格だったアンナ、イザベル、ケイトは次は中級を目指す事になるので今までよりも技術アップをしないといけない。
初級は魔力アップ10を2回連続だったが中級は15を2回連続だ。
たった5のアップを目指すだけに見えるが、ここが難しそうでもある。
というのもこの3人は15アップになった事が無いから。
この5を上げるには今までと同じでは足りない。
技術を見て惜しい所がちょこちょことある。
それをクリアしないといけない。
なのでそれをクリア出来るようにアドバイスをする。
「キリの良いところまで行ったら全員手を止めて下さいね」
「全員手が止まったので集合! 細かい部分について実演するので見ててください」
そう呼び集めて説明しながら実演する。
まずはケアのファイリングから一つ一つ解説し、質問にも答えながら行う。
カラーリングも同じ様に行い、正解を理解してもらう。
もちろん理解したとしてもすぐに出来るようにはならないが、正解があやふやだと違う形が正解と思ってしまう事があるのでそれを避けるための実演だ。
この世界ではインターネットも無いので気軽に検索する事や動画を見ながら行う事も出来ないので、記憶力だけが頼りになってしまうのだ。
また初級合格をしてもそこで止まってしまわないように、毎回確実にやっていかないといけない。
日本でもお金をもらう以上妥協してはダメだし、この世界だと魔力にも影響があり、いつもより悪いと魔法の威力が弱くなったりするとお客様の命に関わってしまう。
その為覚悟を持って施術をしないといけない。
”ちょっといつもより失敗しちゃった”ではダメなのだ。
それも伝えつつ、ネイリストという仕事を覚悟を持って行って欲しい事も伝えた。
少し重い空気にはなってしまったが、伝わったと思う。
さて、重い話はここまでにして最後はデコレーションタイムとしよう。
ここは皆のやりたい様にやって良い時間。
しかし前回乗せすぎてどうにもこうにもならなかった事もあったので今回はネイル雑誌を持ってきた。
全員に違うものを渡したかったので過去の物も含め用意した。
文字は読めないかもしれないがネイルの写真が沢山載っているので参考にはなるだろう。
ランダムで配ったので、皆で交換したり一緒に読んで欲しいと思う。
試験がある事により仲が悪くなったり、壁が出来てしまわないようにと考えたが、心配しすぎだったかもしれないぐらい皆仲良しっぽいが一応ね。
「きらら先生! コレってどうすれば出来ますか?」
デザインを指差しながら聞いてくれた。
おぉ。
よりによってスカルプの3Dアートだ。
君達にはまだまだ早い。
「これは爪の長さ出しの技術であるスカルプチュアと言うもので、それと同じ材料で立体の薔薇を作っているんですよ。長さ出しは塗っている状態からは出来ないので薔薇だけ見本として見せましょう。ただまだ貴方達はちょっと早いので見るだけですよ」
そう伝えアクリルリキッドとアクリルパウダーを筆に取ってミクスチュアを作り、アルミホイルの上でくるくるっと巻き薔薇を作る。
いらない部分をカットし完成だ。
付ける場合はジェルや接着剤で。
「すごーい! 魔法見たいですね! いつか作れるように頑張ります!」
「私もそれが欲しいです!」
やる気になったようで良かった。
欲しがってくれたが全員分作る時間は無いので次回作って持ってくると約束した。
3Dアートも教えてあげたいが、まずは綺麗にケアとカラーリングが出来るようになってからかな。
次回は皆も出来そうな簡単なのに凝っている風のアートを1つ準備してこよう。
皆雑誌のデザインを参考にしつつアートも完成させ今日の講習は終わり。
講習が終わり報酬を受け取り、ポーション等に交換していく。
きりこも帰る準備が出来たようで帰宅だ。
◇用語集◇
スカルプ/スカルプチュア→爪の長さ出し。アクリルやジェルがあるが本編ではアクリルスカルプの話。
アクリルリキッド→アクリルパウダーと混ぜて使う溶剤。
アクリルパウダー→アクリルリキッドと混ぜて使うパウダー。
ミクスチュア→アクリルリキッドとアクリルパウダーを混ぜて出来る。柔らかい。
3Dアート→立体もしくは半立体。本編では立体。
お読み頂きありがとうございます!
次回更新は3/2です。




