5 プリンセスネイル
勢いよく入って来た10歳ぐらいの子供。
金髪のカールがかったツインテール、青い瞳、ピンクのフリフリなドレス。
…見た目からすると王女様な気がする。
どうすれば良い? と思っているとこの部屋に居た私以外、膝を折っていた。
ええー! 言っておいてよ!
慌てて椅子から降り、見様見真似で膝をつく。
王女様の後を追いかけていたであろうメイドさんも部屋へ入ってきて「走ってはなりません」と叱っているが王女様は気にせずこちらへ向かって歩いて来ている。
「貴方が爪に塗ってくれる人?」
どうしよう…王族と接するマナーなんて分からないよと思いつつも無視をする訳には行かず答える事にした。
「はい。私が爪に塗ったり装飾するネイリストの爪美きららと申します」
「ここに座れば良いのね」
そう言ってお客様側の席に座る王女様。
これまたどうしようと思っていると、先程王女様を叱っていたメイドさんに「塗ったらすぐに戻りますのでお願いします。まだ王女様は魔法が使えないので影響は無いはずですので」と言われた。
もう塗るしかないよね。
「師団長さんがされたネイルはジェルネイルと言うのですが、王女様はまだお若く爪が薄い為ジェルネイルだと持ちが悪くなる可能性がありまして、違う種類の物で塗ってよろしいでしょうか」
そういいながら持ってきていたカラーポリッシュを10本並べる。
「わー綺麗な色! これにするわ!」
ジェルネイルかどうかは問題無かったようでポリッシュを塗る事になった。
乾かす時間が掛かることも告げたが大丈夫との事だったのでそこは問題無さそうだ。
目をキラキラさせながら選んだ色は可愛らしいピンクだ。
ケアをしてカラーを塗ろうと思い、お湯を頂き、ウォーターケアからやっていく事に。
爪の形を整え、甘皮を柔らかくするキューティクルリムーバーを付けお湯に手を入れてもらいふやかす。
もう片手も同じ様にし甘皮のケアをする。
王女様は魔法が使えないと聞いていたがケアをすると浄化された。
ケアをすると浄化されるのは魔力とか関係ないのかもしれない。
かと言って私が魔法を使えるわけではないしこの現象はなんなのだろう?
ケアが終わりここからカラーリングだ。
王女様が選ばれた可愛いブライトピンクそれを塗っていく。
サクッと塗り終わり、キラキラを付けるか聞いてみると付けたいとの事だったので、持ってきているアートパーツからガラスストーンとハート型のストーンを取り出し、片手2本ずつの4本にストーン等を乗せた。
私が思うプリンセスネイルとなった。
王女様も喜んで頂けた様ではしゃぎ、再びメイドさんに「乾くまで動かない様仰られていたでしょう」と怒られハッとしてじっとしている。
素直で可愛く天使の様だ。
椅子にニコニコしながら座ったまま、15分程待って貰う。触らなければもう戻って頂いても大丈夫だが、乾くまでここで待つとの事だった。
今回持ってきていたポリッシュは15分で完全に乾く速乾性の物なのでその後は触ってもよれたりはしない。
その待ち時間は和やかにお話。
ネイルを塗ったことにより、少し懐かれた気がする。
「きららちゃんの爪には何がついているの?」
「スノーマンと言う雪だるまがついているんですよ」
「このキラキラの木はなに?」
「これはクリスマスツリーと言って木を装飾したモチーフがついているんですよ」
昼休憩時にもニーナさんとした話をここでもする事に。
帰る時に聞いてみて大丈夫そうなら次回来る時にお土産として持ってこよう。
立派じゃなく卓上の物でも可愛いしね。
お喋りしているとあっという間に15分経ち、王女様とメイドさんは戻っていった。
そして先程ネイルをする予定だった長い剣を持ったお姉さんのネイルをする事に。
◇用語集◇
ポリッシュ:一般的にマニキュアと呼ばれている。ポリッシュやネイルラッカーとも言う。
ウォーターケア:ポリッシュを塗る前にお湯を使いケアをする事。ジェルネイルのプレパレーションの時にするケアはドライケアと言う。
キューティクルリムーバー:甘皮を柔らかくし除去しやすくする物。
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