4 パープルネイル
お昼休憩になり食事が提供される事になった。
話を聞くにメニューはこの街の名物料理となっているそうだ。
この来賓客を案内するゲストハウスでは基本的に街の名物料理を出すらしく、今日はこの街発祥のハンバーガーらしい。
ハンバーガーとは私の想像と同じハンバーガーなのだろうか?
知った名前の料理名にソワソワしつつ提供を待つ。
運ばれてきた!
見た目は思い描いていたハンバーガーの通りだが、サイズは大きい物だった。
多分顔ぐらいの大きさがある。
中身はハンバーグでは無く、チキンっぽいのでチキンバーガーだとは思うがここではハンバーガーと言う様だ。
レタスとトマトもしっかりと挟まっていて、ボリュームのあるバーガーだ。
「この街発祥のコカトリスのハンバーガーとなります。是非ご賞味下さいませ」
コカトリス!
ゲームで聞いたことがある!
多分魔物? だとは思うが普通に出されメイドさんも食べているから大丈夫なんだろう。
ドキドキしつつも食べてみるとコカトリスがジューシーでとても美味しい。
なんとなく高級な味に感じる。
付け合せのフライドポテト等は無くバーガーのみだがボリュームがあるのでそれだけでお腹がいっぱいになった。
食べ終わり、同席していたメイドさんとのお喋り。
今更だが言葉の壁は無く普通に話すことが出来た。
そのメイドさんはニーナさんと言うらしく、ネイルが気になるのか、それは何? と色々と聞かれた。
クリスマスネイルをしていたので、私がいる世界ではクリスマスというイベントがあり、クリスマスのイメージのネイルをしていると伝えたが、あまり伝わっていないかもしれない。
次回来る時はクリスマス雑貨をお土産に持ってこようかな。
そのニーナさんにお手洗いに行っておかなくて大丈夫か聞かれたので案内をしてもらう事にした。
持ってきていたトイレットペーパーを持ち、案内してもらうがそれは何? と聞かれおしり拭きだよと伝えたがこれまたあまり伝わっていなそうだ。
「せっかくだから貴方も使ってみて」とトイレットペーパーを貸し出した。
順番にトイレを利用したが、友達に言われトイレットペーパーを持ち込んだがこれは正解だった。
拭くように置いてあったのは見たことのない葉っぱだったから。
しかも壺だった…。
壺に便座が乗っている様なトイレで、中に何か生き物らしき物がいた。
ニーナさんに聞いてみると、その生き物はスライムというらしく、何でも食べる魔物だそう。
なのでトイレの壺やゴミ箱等に入れているそうだ。
文化の違いに衝撃を受ける。
ニーナさんはニーナさんでトイレットペーパーを使いそれに衝撃を受けていた。
「貴方の世界には便利な物があるのね」と。
手洗い場では水道は無く水瓶から柄杓で水をすくい手を洗ったが、これも洗いづらくて不便だった。
手を洗えただけ良かったと思うしかない。
そしてトイレから出るとニーナさんは浄化魔法を使っていて、私にも浄化魔法をかけてくれた。
全身を撫でられる様な奇妙な感覚にゾワゾワっと鳥肌が立つが、これが魔法だと思うとワクワクした。
浄化魔法についても聞いてみると、これは生活魔法の一種らしく、この世界では8割ぐらいの人が使える魔法だそう。
子供の時に練習する一番最初の魔法らしい。
魔力が放出される指先に集中させイメージして使うらしいが、教えてもらいやってみたが何も出来なかった…。
そうしている内にお昼休憩が終わり、次のお客様の施術だ。
次のお客様は初日の時や今日もあの大きな男性の隣にいるイケメンの人だ。
ニーナさん以外の名前が分からないし、聞ける雰囲気では無いが、いつか聞ける時にお名前を伺おう。
席に着いてもらい、どんなネイルが良いか聞く。
「私は師団長の様に全属性の魔法は使えないので、使える属性の色にしようと思います。なので今回は右手を赤紫、左手を紫にしていただいて、同じ色が5本の場合の変化を見たいと思います。また、片手は同じ色ですが1本ずつ効果を確かめたいので師団長の時の様に1本ずつでお願いします」
…。ビビッドなカラフルネイルをした方は師団長だったのか。
師団長って事は近衛師団長なのかな?
王族の警護にあたる人だよね?
この方も近衛隊の方なのかな?
それに毒魔法使いって事なのかな?
凄く気にはなるが、しっかりと明確な要望があったのでその通りにやっていこう。
色の系統は決まっているが師団長さんに塗った色と同じ色にするか、薄い色にするか聞いた所、赤紫は同じにし、紫の方を彩度を下げ、明度をあげたパステルカラーの紫にする事になった。両手とも紫系のパープルネイルだ。この場合毒ネイルか?
それはさておき、色の濃さによっての変化も確かめる様だ。
先に同じ赤紫の方である右手から塗っていく事に。
片手5本塗り終わったが、毒魔法の威力は段々と上がっていった。
しかしこれは色の影響なのか、塗った事の影響なのかは分から無かった。
次は左手のパステル紫を塗る。
こちらも塗っていく毎に威力は上がったが、右手同様色の影響かどうかは分からず。
ただ色味の濃い、薄いによっての変化は無いことが分かった。
ビビッドカラーでもパステルカラーでも属性の色を塗っていれば大丈夫の様だ。
…ちなみに毒魔法のチェック方法は毒の矢を魔法で出し、それをスライムに撃つという方法だった。
ノーマルのスライムは半透明だったが、毒をくらうと紫色に色付き、強い毒の場合濃い紫色になるみたいだ。
多分この世界でしか使わないであろう常識を1つ覚えた。
再びのトイレ休憩を挟み、3人目の施術だ。
3人目は長い剣を帯剣している背の高い綺麗な女性だ。
席に着いて貰い、どんなネイルが良いかを聞く。
ドタドタ、ガチャ、バン!
「師団長の爪を見たわ! 私も爪に色を付けたいわ!!」
そう言ってこの部屋に入ってきたのは10歳ぐらいの子供だった。




