つなまよおにぎり
難しいこと考えたりせずに、ぽけーっと読んでみてください。
ぺりぺりぺり
はむ、はむ、
もちゃ、もちゃ、
「美味しい?」
?
…
もちゃ、もちゃ、
んきゅっ、
「おいしい」
はむ、はむ、
もちゃ、もちゃ、
「そっか」
かりっ、ぷしゅっ
ごきゅごきゅごきゅ
?
「なに?それ」
「んー?
…、元気が出る飲み物よ」
「ほしい!のみたい!」
「だーめ、子どもは飲んじゃいけません」
「のみたい!」
「だめ、大人じゃないとだめなの」
「のみたいー!」
「だめ、だめよ」
もちゃ、もちゃ、
…、
「もういい」
「もういいんか?」
「もういい」
ん!
「なんや、たべぇゆうことか」
「ん!」
「はいはい、ありがとさん」
「ねむたい!」
「ねとってええよ、ねときんさい」
「ねむい!」
「ねとってええって」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「コンビニおねがいします」
「んー?はいよ」
「なに、トイレ?」
「のみものとたべものがほしいです」
「はいよ、もうちょっと先だからもうちょっと待てる?」
「はい」
「これおねがいします」
「はいよ、他には?」
「いいです」
ペリペリペリ
ビリッ
「あーあ、のりやぶいとるがな」
「〜〜〜〜!!!!!」
「あーあー、やぶけたぐらいで怒るな、食べれるんじゃけええじゃろ」
「いま姉ちゃんがあけたばっかのいるか?鮭じゃけど」
「〜〜!!!!つなまよ!!!」
「あー、はいはい、つなまよがええんじゃな、はいはい」
「まあくってみぃ、味はかわらんけぇ、のりやぶけただけじゃかわらん」
「〜〜〜!!!!」
はむっ!
もきゅもきゅ、
…、もきゅ、もきゅ、
「おいしいか?」
もきゅ、もきゅ、
んきゅ、
「…、ん!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「コンビニお願いします」
「はいよ、もうすぐにあるけそこでいい?」
「はい」
コンビニに着いて、トイレに行ったあと、てきとうに色々見ていた。
「なんぞええもんでもありましたか」
「まだわかりません」
親にそう言って、おにぎりコーナーを見ていた。
「これお願いします」
ツナマヨのおにぎりをひとつ、親の持っているかごに入れた。
「はいよ、1個でいいの?」
「いいです」
その後、ぶどう味の炭酸ジュースもお願いして、コンビニから出たあと、車の中で買ってもらったおにぎりとジュースを袋からだした。
「炭酸のむと酔うよ?あと2時間以上かかるからやめといたら?」
「寝るんでいいです」
「さよか」
そう言って、ツナマヨの袋をぺりぺりした。
この袋、のりがやぶけやすくて苦手だ。
「いただきます」
食べる前は一応両手を合わせていただきますと言う。
ばく、ばく、
もぐもぐ、
口に入れたまま、ジュースの蓋も開けた。
ゴキュゴキュ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「お願いします」
バスに乗るまでの時間、あまりにも待ち時間が長いため、バス停の前にあるスーパーでおにぎりを買った。
昔から好きなツナマヨと、飲み物で水、それから酔い止めを買った。
これから3時間半はバスの中でいい子して座っていることになる。
流石にしんどい。
「お願いします」
そう言って、来たバスに乗り、後ろの方の席に座った。
レジ袋を席のひっかけにかけ、中から酔い止めをだし、いや、酔い止めの前におにぎりをだした。
ぺりぺりぺりぺり
ぴりっ
やっぱりうまくのりがいかない。
どうしてもすこし破けてしまう。
もきゅもきゅもきゅもきゅ
窓から見える地元の景色を肴に、ツナマヨを口いっぱいに頬張った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「何にする?」
「何にしようか」
彼女とコンビニに来た。
これから旅行に行くのに、なにか買っていこうという話になって。
「電車どんくらい?」
「たぶん3時間くらいだった思う」
「うへぇ、ながいねー」
これから3時間電車の中で過ごすことになる。
お腹もすくだろうし、喉だって乾くだろう。
ということで、なにかを買いにコンビニに来たのだった。
「なににするの?」
おにぎりコーナーで色々見ていると、そう聞かれた。
「んー、…。
ツナマヨにしとく」
「へー、じゃあ私も」
「ツナマヨでいいの?」
「えー、そう聞かれると迷うじゃん。
逆にツナマヨでいいの?」
「おれ?
…、ツナマヨがいいの。」
「じゃあ私も。」
その後、乗っている電車で向かい合うように座り、ツナマヨを一緒に食べながら、そして話をしながら、旅行先へ近づいていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ぺりぺりぺり
はむ、
「美味しいか?」
車の中で、さっき買ったばかりのおにぎりを、息子が食べだした。
息子は、まだ幼いそのからだで、一生懸命におにぎりのフィルムを剥がしていた。
なんとかはがしたおにぎりを、つたない、どこかぎこちないうごきで食べ始めた。
「?」
食べるのをちょっとだけやめて、こちらに両目と顔を向けた。そして、また両目と顔をおにぎりにもどし、さっきと同じように食べだした。
「ん」
「そうか、よかったな」
コンビニで、なにか欲しいものがあるかきいたとき、この子が指を指した。
ツナマヨが中に詰まった、海苔に包まれたその三角のおにぎりを、一生懸命、食べていた。
「ん!」
おもむろに、息子がいま食べている、半分になったおにぎりを、片手で突き出していた。
「どした?もうおなかいっぱい?」
「ん!」
手をピンとしたまま、頷いていた。
「それじゃ、お母さんが貰うね?」
「ん!」
いったい、誰に似たのか。
ん!と言って食べきれなくなったものを人に上げるところや、指さしてあれがいいと伝えるところは。
「ねむい!」
考え事をしようとすると、眠たくなった息子が急に大きな声を出した。
「ねとってええで、おじいちゃんちまであと2時間くらいかかるけえ」
「ねむたい!」
ほんとうに、いったいだれに似たのだろうか。
ありがとうございました。
この話、特に説明等なしですと分かりにくいかと思いますが、一人のツナマヨ好きな男性のお話です。
幼少期は幼さゆえに特に考えてないことを表現するのに擬音だけ、成長するにつれて行動を自身で認識しているというのを表現するのに心理や行動を文字として起こしています。
ちょっとでもほっこりする気持ちが伝わりますと幸いです。