第30章 闇の果てに咲く光
雨の降りしきる深夜、藤森と真希は最後の決戦の舞台となる場所へと向かっていた。神崎が潜伏し、計画の最終段階を進めているという廃棄された工場跡地。錆びついた鉄骨が月明かりに薄く浮かび上がり、不気味な影を落としている。
「ここで終わらせる」藤森は静かに言葉を紡いだ。真希は頷きながら、拳を握りしめていた。
二人は息を合わせて暗闇の中へ足を踏み入れる。だが、その先には神崎の手下たちが待ち構え、激しい銃撃戦が繰り広げられた。銃声がこだまし、火花が散る。藤森は負傷しながらも、執拗に前へ進んだ。
真希は仲間たちを指揮し、確実に敵を排除していく。彼女の眼差しには、かつての自分と施設の犠牲者たちへの強い想いが宿っていた。
激戦の末、二人はついに神崎の潜む部屋にたどり着いた。そこには電子機器や薬品が乱雑に置かれており、人体改変の残酷な実験が続けられていた痕跡が鮮明に残っていた。
「神崎、出てこい」藤森の声が響く。
暗闇から現れたのは、冷酷な表情を浮かべた神崎本人だった。
「よくぞここまで来た。だが、君たちには分からない。これは新たな進化の一歩だ」
藤森は拳を握りしめ、真希は静かに銃を構えた。
「人の尊厳を踏みにじることが進化だと言うのか?」真希の声には怒りが滲んでいた。
神崎は冷笑しながら、襲いかかってきた。激しい格闘の中で、藤森は彼を倒し、手錠をはめた。
「終わりだ」藤森は力強く言い放った。
警察の増援が駆けつけ、神崎は逮捕された。彼の計画は完全に破綻し、被害者たちのための再生への道が開かれた。
事件の後、藤森と真希は犠牲者の遺族と共に静かに手を取り合った。彼らの心には、深い悲しみと共に、新たな希望が芽生えていた。
闇の果てに、ひとすじの光が確かにあった。




