第27章 血塗られた契約
銃撃戦の余波が残る廃工場の薄暗い室内、藤森は重苦しい息を吐きながら、片隅に身を潜めていた。傷ついた体を押さえつつも、彼の瞳は鋭く周囲を見据えている。情報屋はその隣で、血を滲ませながらも手にしたUSBメモリをしっかりと握っていた。
「奴らは何者だ? これほどまでに……」藤森が震える声で呟いた。
「神崎の配下だ。裏切り者は容赦しない」情報屋は冷静に答えた。
互いに負傷を負いながらも、彼らは手に入れた情報の重みを噛み締めていた。USBメモリには、神崎が進める人体改変計画の詳細なデータと、裏社会や政治家との癒着を示す音声記録が収められていた。
その中には、障害者施設を実験場に使い、被験者を使った違法な人体改変の進行状況、そして反対者を消すための秘密裏の暗殺指令も記されていた。
「これが公になる時、世界は震えるだろう」藤森は言葉を詰まらせたが、同時に決意を新たにした。
「俺たちはこの闇を絶対に暴き、終わらせる」
一方、真希は警察の特別捜査室で、USBメモリの解析結果を前に頭を抱えていた。情報の量は膨大で、その真実の重さに耐えきれないような表情だった。
「こんなにも多くの人々が犠牲になっていたなんて……」彼女の声は震えていた。
その時、部屋の扉が突然開き、上司の刑事が慌てた様子で駆け込んできた。
「緊急事態だ! 神崎が動き出した。市内で重大な事件が発生した」
「どんな事件ですか?」真希はすぐさま質問した。
「障害者施設で爆破テロが起きた。多数の死傷者が出ている」
真希の心臓が激しく鼓動を打った。まるで悪夢が現実となったかのようだった。
「これは……神崎の手によるものかもしれない」彼女は冷静さを取り戻し、直ちに捜査の指揮を執った。




