境界線の街

第23章 闇を裂く刃

　梅田の高層ビルの一室。藤森はスマートフォンの画面に映し出された情報を凝視していた。匿名電話からのヒントをもとに、裏社会の動きを探っていたが、深まる闇は複雑で絡み合っていた。

　画面には新たに判明した資金の流れと人物名が列挙され、その多くが政界と繋がっていることを示していた。

　「これは……想像以上に根が深い」藤森は重い声でつぶやいた。

　一方、真希は警察庁内の特別捜査室に赴き、信頼できる同僚たちと会議を開いていた。

　「このままでは、萩原の背後にいる黒幕を捕まえることはできない。もっと大きな力が動いている」

　彼女の言葉に、参加者たちはうなずいた。

　「そこで、私たちは非合法な手段も視野に入れなければならない」

　真希は慎重に言葉を選びながら続けた。

　「この闇を裂く刃を手に入れなければ、真実は永遠に闇に葬られる」

　その夜、藤森と真希は密かに連絡を取り合い、次の作戦の準備を進めていた。彼らはヤクザの内部に潜入し、黒幕の居場所を探る決意を固めていた。

　「これが最後の勝負になるかもしれない」藤森は拳を握りしめ、決意を込めて言った。

　翌日、彼らは危険な潜入を開始した。暗い路地を抜け、警戒の厳しい事務所に忍び込む。情報を集め、接触する人物たちの中には、命を狙う者も多かった。

　真希は冷静に周囲を観察し、次第に黒幕の輪郭が見え始めていた。だが、彼女の胸には不安もあった。

　「本当に、誰を信じられるのか」

　潜入の中で、彼らは一つの重要な証拠を掴んだ。裏社会の大物が密かに企てる次なる計画、その全貌が明らかになる瞬間だった。

　闇を裂く刃は、今まさに振り下ろされようとしていた。