第21章 終わりなき闇の深淵
萩原クリニックの内部は、暴動のような混乱に包まれていた。銃声が鳴り響き、壁には血痕と破片が飛び散っている。拘束された被験者たちは怯え、呻き声をあげながら逃げ惑っていた。
藤森は息を切らしながら廊下を駆け抜け、仲間とともに萩原医師の居場所を突き止めようと必死だった。
「くそ……どこに隠れてやがる!」藤森は壁に手をつき、冷静さを保とうと必死に呼吸を整えた。
一方、真希は別の階層で医療記録と機材を破壊していた。モニターを引きちぎり、保存データの入ったハードディスクを叩き割る。
「これで、あんたの嘘も終わりよ」彼女の声は震えていたが、決意に満ちていた。
突然、背後から重い足音。振り返ると、萩原医師が冷笑を浮かべて立っていた。
「君たちにはわからない。これは人類の未来のための犠牲だ」
「犠牲? 俺たちの命はただの踏み台かよ!」
藤森が飛び出し、萩原に詰め寄った。だが、萩原は隠し持っていた注射器を振りかざし、何かを注入しようとした。
その瞬間、背後から佐伯が駆けつけ、萩原を押し倒した。二人は激しく格闘し、注射器は床に転がった。
「お前の狂気はここまでだ!」佐伯の声が響く。
その隙に藤森は萩原の手を掴み、力いっぱい押さえつけた。
「俺たちは絶対に許さない」
激しい争いの最中、外からは警察の増援が到着し、クリニックは完全に制圧された。
拘束された被験者たちは救出され、医療機関へと搬送された。だが、その多くはすでに取り返しのつかない状態だった。
夜が明け、朝日がビルの窓を照らす中、藤森は呆然と立ち尽くしていた。
「これで終わりじゃない……まだ、何かが残っている」
真希が静かに隣に立ち、言葉をかけた。
「でも、私たちは戦い続ける。真実を掴むために」
彼らの目の前には、まだ見えざる闇が広がっていた。




