貴方は神に愛されし者
何を怖気ずく必要があるか。
何を悲観的になる必要があるか。
貴方は神に愛されし者だ。
心配する事はなに一つ無い。
堂々と生きなさい。
外に出たブリッジとセブンスは施設の方に歩き出していた。
「ううぅぅ~! 外は寒いなぁ~! 」。
冷たい風に煽られたブリッジはそう言いながら自身の両肩を抱きしめた。
「そうね~、今日は晴れてるから日差しがあっていいけど風も強いし、まだまだ寒くなるみたいよ~? 」。
「えぇ~?? 嫌だなぁ~! 」。
ブリッジがげんなりした表情を浮かべていた時、向かい側から施設の方へ向かっている二人の男女の存在に気が付いた。
「いやぁ~、本当にすいません。お墓参りまで付き合わせてしまって...」。
「いいんですっ! いいんですっ! 」。
「あら、ミュージーさんとマイン様、お外にいらしたのですか? 」。
セブンスは近づいてきた二人に微笑みかけながらそう問いかけた。
「ええ、ちょっと両親の墓参りで外に出ておりまして」。
「へぇ~、それでマイン様もミュージーさんと一緒に? 」。
セブンスがそう問いかけると、マインはおずおずと小さく頷いた。
「は、はい...。休憩中で特にする事もなかったので私も御供してきました」。
「そうだったんですか~! 」。
「ところで、ブリッジの方はどうしたんだい? もう仕事は終わったのかい? 」。
急にミュージーから話を振られたブリッジは両肩をビクつかせて驚いた様子を見せた。
「...えっ? あ、うん...」。
ブリッジは困惑した表情を浮かべながらミュージーにそう答え、隣にいるマインに視線を向けた。
「あ、そうそうっ! マイン様、この方は私達と共に修道女として聖堂内で活動しながら女優やタレントとマルチで活躍されているブリッジ=ブックさんです~。普段は外のお仕事が夜遅くまで続くので今日みたいな時間に戻る事はなかなかないんですけど、早く終わったんですよね~」。
「え、ええ...」。
ブリッジがぎこちなくセブンスにそう答えた時、マインの表情が一気に明るくなった。
「やっぱりっ! 修道女で活動されていた事は存じ上げていたんですが、まさか有名なブリッジさんが目の前にいらっしゃるなんて考えられなくて...。あ、あのっ! いつも見てますっ! 」。
「あ、ありがとうございます...」。
ブリッジは困惑しつつも、嬉しそうにその場ではしゃいでいるマインに礼を言った。
「それで、この御方はポンズ大学生のマイン様です。今回、児童養護施設の御手伝いでいらっしゃいました~。ミュージーさんはマイン様とお知り合いだったんですの? 」。
セブンスがそう問いかけると、ミュージーは苦笑交じりに小さく頷いた。
「ええ、ちょうどその時お見合いがありまして、その場で御話しさせていただきましてね~」。
「お見...合い? 」。
ブリッジは困惑した面持ちのままミュージーにそう聞き返した。




