天に還る貴方は魔力を神に返さないといけない
しかし、この世に捧げたい者がいるのならばそうしなさい。
周囲に風のそよぐ音が聞こえる時、ミュージーがゆっくりと口を開いた。
「...僕の両親がポンズ軍の人間だった事は御存知ですか? 」。
「え、ええ...。講義の時にアングリー神官長様がその事も話されておりました。戦地でお亡くなりになられたという事も...」。
マインがそう答えると、ミュージーは神妙な面持ちのまま小さく頷いた。
「両親は戦時中に戦死し、一人取り残された僕はこの施設で過ごしました。それでいて僕自身も軍の人間になったわけなんですけど、最初は親の敵討ちのために士官学校に入るんじゃないかって反対されましてね~。まぁ、施設に入った経緯が経緯だったんでそう思われても仕方がない事なんですけどね~」。
「このポンズ王国の平和と防衛のため...と御聞きしていましたが...」。
「はい、色々と周囲には納得してもらえるようにそう話をしてたわけなんですが...。あっ! そうだっ! すっかり忘れてたっ! 」。
「...? 」。
ミュージーの言葉にマインは小首を傾げた。
「この聖堂に来たら必ずやる事があるんですよ~! いやぁ~! 思い出して良かった~! 」。
「やる事...? 」。
マインは怪訝そうな表情を浮かべてミュージーにそう聞き返した。




