輝きは貴方の中にある
時間を懸け、ありとあらゆる事を犠牲にして磨き上げた一つの力は眩しい光を放つ。
見せ方は貴方次第である。
「...まぁ、私達が軍人だったから躊躇っていたのかは分からないが、連絡先の交換をする事も無くそのまま終える事ができた...とは言っても王城内勤務の君は原則的に外部の人間とは連絡が取れないからどのみち連絡先交換はできないんだがな」。
しばらくその場に佇んでいたカノー団長は、咳払いをしつつミュージー達の方に向き直りながらそう言った。
「カノー団長、この度は本当にありがとうございました」。
ミュージーがそう礼を言うと、カノー団長は再び高笑いを始めた。
「はっはっは~! 気にする事無いさ~! ミュージー少尉~! もともと君は我々と同じくパルス長官に巻き込まれた側の人間なんだからね~! まぁ、それはともかくお見合いが無事に済んで良かった! 僕はあの令嬢達とそのまま連絡先を交換しても良かったんだが、彼女達も名家の出身だし今回は自重したよ~! それに、クッキン家のマイン御嬢様とは私も初めて御会いしたんだが、とても可愛らしくて初々しい御方だったね~! まさか、クッキン議長にあんな可憐な御令嬢がいらっしゃるとはね~! 」。
「は、はぁ...」。
「あとはパルス長官がマイン御嬢様とのお見合いに素直に応じてくれればいいわけなんだが...」。
カノー団長はそう言うと、やや疲れた表情を浮かべながら大きな溜息をついた。
「あの...。僕も部隊があるので...今後こういう御話はちょっと...」。
ミュージーもすっかり疲労した様子で大きく溜息をついた。
「はっはっは~! 了解、了解~! ミュージー少尉も今日は御疲れ~! まぁ、お見合いも問題無かったし、パルス長官には次回はちゃんとお見合いに参加するよう私から言っておくよ~! 」。
「は、はぁ...」。
「うむ、それでは我々も城へ戻るとしようか~! 」。
「はい...」。
ミュージーはカノー団長にそう返事をすると、げんなりとした様子で再び大きな溜息をついた。




