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魔力は自身のためにある


魔力は自分が必要であると思った時に使う力。


そして、源である魔力は神が生み、神が貴方達に魔力を注ぐのである。




「すいません、アングリー神官長。わざわざ送っていただいて」。


大聖堂から外に出たミュージーとアングリー神官長は、出入り口の門へと足を運んでいた。


「いえいえ、私達の方こそミュージーさんに感謝の念を忘れてはなりませんからね。毎月、日用品や食糧の支援を教会にしていただき本当にありがとうございます」。


そう言って深々と頭を下げるアングリー神官長に対し、ミュージーは困惑した様子で両手を突き出した。


「いや、僕は教会内の施設で生まれ育った人間ですからね。何というか、僕からすると親孝行をしてる感覚に近いですよ。まぁ、肉親のいない僕からすると...この場合は神様が親って事になるんですかね? 」。


ミュージーが微笑を浮かべながらそう言うと、アングリー神官長も微笑みつつ小さく頷いた。


「両親がいる方、そうでない方であっても神様は我々の父として見守ってくれています。もちろん、神様はミュージーさんの事もいつも見守っておられますよ」。


「心強いですね」。


ミュージーはアングリー神官長にそう言葉を返しながら空を見上げた。


雲一つ無い青空には魔獣や絨毯で飛び去っていく人達の姿が二人の視界に入ってきた。


「ん~! 今日も晴れた良い天気で...おや? 」。


アングリー神官長が晴れた空に向かって背伸びをしていると、大聖堂の入り口から大柄な修道女とミュージーと同じく鎧を纏った兵士らしき数人の男達が歩いてきた。


「アングリー神官長~! 運び終えましたぁ~! 」。


大柄な修道女は野太い声でアングリー神官長にそう声をかけながらミュージー達の方へ歩み寄ってきた。


「ああ~! コブシさん、ありがとうございます」。


アングリー神官長はコブシに手を挙げながらそう言って微笑んだ。


「あ、コブシさん。わざわざ物資を運んでくれたんですか? 」。


「せやで~」。


「すいません、礼拝してたものですから手伝いに行けなくて...」。


「まぁ、入籍で勘弁したるわ~」。


コブシという修道女はそう言いながら()()()()()をミュージーに浮かべた。


「は、ははは...。け、検討しておきます...」。


ミュージーは若干青ざめた顔を引きつらせながらコブシにそう答えた。


「ミュージー! 」。


その時、聖堂から出てきたブリッジがミュージー達のいる門前の方へ駆け寄ってきた。


「ブリッジ? どうした? 」。


怪訝な表情を浮かべてそう問いかけたミュージの前に、ブリッジは白い布で被された小さめのバスケットを差し出した。


「ミュージー、朝早くから何も食べてないでしょ? 何か食べないと身体に毒だよ? これは教会のご飯の有り合わせをサンドにした物だけど、空き時間にちゃんと食べてね? 」。


「...サンキュー」。


ミュージーは微笑みながらそう言ってブリッジからバスケットを受け取った。


「さすがデキる嫁はんはちゃいますわ~。しゃ~ない、ミュージー君はブリッジちゃんに譲るわぁ~」。


「えっ!? コブシちゃんっ!! ちょっとっ!! それどういう意味よっ!? 」。


「それじゃあ、僕達はこの辺で」。


目を丸くしながら動揺しているブリッジを余所に、ミュージーは手をひらひらと振りながら皆から背を向けた。


「ちょっ!! ちょっとっ!! ミュージーっ!! 待っ...」。


「ブリッジ、この籠は今度来た時に返すよ」。


ミュージーはそう言うと従えている兵士らしき男が地面に描いた青白く光る円形の魔法陣上に立ち、男達と共にこの場から消えていった。


そして、ミュージーがいなくなると地面上に光り輝いていた魔法陣も後を追うように消えていった。


「な、何なのよ~! もぉ~! 」。


ブリッジが憤った様子で頬を膨らませた。


「ほっほっほ~! 今日も平和な一日になりそうだ! 」。


アングリー神官長はそう言いながら青空に向かって高笑いをした。



編集後記


挿絵(By みてみん)


毎度、御愛読ありがとうございます。


作者の田宮謙二です。


この間、過去作であるハリガネシリーズの推敲がようやく完了しました。


一ヶ月近くかかりました。


結構、きつかったです。


日々、文章の見直しはこまめにしておいた方が良いですね。


そう書いておいて、今作でもそのまま書き通して推敲の事忘れそうで怖い。



田宮 謙二


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