神は何時だって貴方に良い物を与えてくださる
甘い物も、苦い物も。
神は常に貴方に良い物を与えてくださる。
そして、貴方は高くなっていくであろう。
兵隊達の背後から煌びやかなロングドレスを着こなした数人の若い女性達が続々と個室に入ってきた。
「申し訳ありませ~ん! おめかしで遅くなっちゃいました~! 」。
「はっはっは~! レディにおめかしは必須だからね~! しかし、皆さん実に御美し...」。
「キャ~!! 」。
「肖像画よりもカッコい~!! 」。
「背も高くてスタイル良い~!! 」。
女性はカノー団長を差し置いて、はしゃぎながらミュージーの下へ駆け寄った。
「は、はぁ...。ほ、本日は宜しくお願い致します。王国軍に勤めておりますミュージー=フェルナンデスと申します」。
ミュージーが半ば困惑した様子でそう挨拶すると、女性達は思い出したかのように後方に視線を向けた。
「そうだったっ! ちょっとっ! マインっ! 」。
「マインっ! ちゃんとミュージー様に挨拶しなきゃっ! 」。
女性達は後方に控えていたマインの背中を押してミュージーの前に立たせた。
「マ、マイン=クッキンと申します...。ほ、本日は宜しくお願い致します...」。
薄ピンクのロングドレスに、白金のイアリングとネックレスを着用したマインはお見合い静止画に映っていた姿とは異なる雰囲気を醸し出していた。
ストレートの長い黒髪をカールに巻いて白い肌にはピンク色のチークを頬に染め上げ、唇にも赤リップを施しておりメイクで大人の女性を表現しつつも恥ずかしそうにうつむきながらミュージーに自己紹介をした。
「こちらこそ宜しくお願い致します、ミュージー=フェルナンデスです。どうぞ、こちらへ」。
「は、はいっ! 」。
ミュージーは微笑みながらマインの手を取り、席の方へエスコートした。
「どうぞ」。
「あ、ありがとうございます...」。
ミュージーが椅子を引くとマインはゆっくりとその椅子に腰を下ろした。
「はっはっは~! レディ達~! 君達の椅子はこの私ッ! 高貴なる騎士団“AT05”の指揮を執る第四代目サクラダ子爵カノー=サンジン...」。
「ミュージー様~! 私にも御願いしますわぁ~! 」。
「私にも~! 」。
「あっ! ズル~いっ! 私にも~! 」。
「...」。
お見合いの仲人として場を仕切る役回りのカノー団長はすっかり蚊帳の外に置かれていた。




