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魔力は神の愛の中に~白い螺旋階段、紫の回廊~  作者: 田宮 謙二


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22/61

貴方には命がある


そして、個性とその身体がある。


貴方は神が生み出した大切な存在だ。






メガネ伍長からほぼ一方的ではあったものの、テーブル席を譲ってもらったミュージーとスプリングは食事をしながら自分達の答案を見返していた。


「…陣形の構成と発動条件の間違えが目立つわね。ここはこの表式を覚えれば大丈夫だと思うわ。ここも複雑なんだけど、この式を覚えれば問題無いわ」。


スプリングはそう言いながら、赤ペンでミュージーの答案用紙に解説を書き加えていた。


「…スプリングさんは今回の模擬も満点か。さすがは魔術省管轄下である王立ポンズ魔術総合研究局に勤めている魔術のスペシャリストは違うな~。そういえば、スプリングさんは錬金術師の認定試験も受けるんだったよね? 」。


「ええ、魔術の開発に携わる以上は錬金術も避けて通れないからね」。


スプリングの言葉を聞いたミュージーは、苦笑いを浮かべながらグラスに入った水を口に含んだ。


「へぇ~、錬金術自体が熟練の魔術師でもなかなか習得する事が難しいっていうのに、スプリングさんは錬金術も操れるのか~! 」。


「実技の方はまだ難があるけどね」。


「それは凄いなぁ~! 」。


「ミュージー少尉も十分凄いわよ」。


「...え? 」。


スプリングは苦笑しながらミュージーの周りに並べられたたくさんの料理を指差した。


「パスタにオムライスにカレー...料理の数も多いけど量もたくさんあるじゃない。それ、本当に全部食べるの? 」。


スプリングがそう問いかけると、ミュージーは力強く頷いた。


「もちろん、この後は王城に戻って仕事に戻らないといけないからね~。このくらいは食べておかないと」。


「普段からそんなに食べてるの? 」。


「まぁ、今日はちょっと多めかな? 昼休憩がそんなに取れなかったら、昼ご飯がちゃんと食べれなかったんだ」。


「へぇ~、食欲旺盛なのね~」。


「このくらい食べておかないと身体が持たないからね~」。


「特殊治安部隊が激務とは聞いていたけど、そんな境遇の中で大学の講義を受けて身体とか壊さないの? 」。


「最初の内は大変だったけどもう慣れたよ。それに、スプリングさんも研究局に勤務しながら講義を受けてて大変なんじゃないかい? 」。


ミュージーがそう問いかけると、スプリングは首を横に振った。


「ううん、私の方はスケジュールとか融通が利くから大丈夫ね」。


「そうなんだ~。ところで、スプリングさんは軍の職員じゃない魔術省側の公務員なのに、何で王国防総省の国防大学に通ってるんだい? 」。


「私の研究室は王国の防衛対策に携わっているから、国防に関する専門的な知識や軍事戦術を学ぶ必要があるのよ」。


「ああ、それで国防大学か~」。


ミュージーは納得した様子でそう言いながら小さく頷いた。


「ミュージー少尉はどうして軍人の道へ進まれたのかしら? 」。


「ああ、父が騎兵部隊の兵士で母親は前線部隊をサポートする衛生兵だったんだ。僕が生まれてから父も母も戦地で亡くなってしまったんだけどね。その後、両親を亡くした僕はユズポン市の児童養護施設で育てられたんだけど、父親と同僚だった方から軍の士官学校への入学を提案をされてね~。それで、その方を通じて王国議員の推薦をいただいて入学試験を受けて、そのまま兵士になったって感じかな~。まぁ、成り行きだよね」。


「そう...ごめんなさい」。


スプリングが申し訳なさそうに頭を下げると、ミュージーは困惑した表情を浮かべた。


「え? い、いきなりどうしたんだい? 」。


「私、両親を亡くした事知らなくて...」。


「ああ~! 別に気にする事じゃないよ! 両親共々、僕が物心付く前に亡くなってしまったからね~。正直、両親の思い出が無いんだよ~。しかし、成り行きとはいえ両親と同じ軍人になるとはねぇ~。両親二人共、戦中期の軍人だったからね~。もし、生きていたら士官学校へ入学する事を反対したのかな? 」。


ミュージーはそう言いつつ苦笑しながらパスタを頬張り始めた。


「...」。


スプリングは神妙の表情を浮かべたまま、黙々と食事をし続けるミュージーを眺めていた。





編集後記


挿絵(By みてみん)


毎度御愛読ありがとうございます。


作者の田宮謙二です。


ミュージーの横顔の作業状況です。


挿絵(By みてみん)


なかなか作業に時間が取れなくて悪戦苦闘しておりますが、何とか仕上げられるよう頑張りたいと思います。


田宮 謙二



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