4話
「あるじ~、しんさくのぼでぃこん?まだ売れないね~」
「昨日インスピレーションが涌いて作ってそのまま店頭に並べたんだよ。美少年A、そんなにすぐ売れないよ?」
「店長!そもそもあんなニッチな新作が売れるわけ無いでしょう。」
何やら店主と従業員の美少年A・B君。
「こらこら美少年Bよ、君たち二人は癒し要員なんだからぽわぽわ~んとかふわふわしてるようなキャラ設定だよね、なんでオープン中に店内でそんな漢字使ってしかもカタカナ語まで混ぜて話すの?
それはダメでしょう。」
なんだこの店、売り方にも面倒というかアレな感じだが、その他にもなんか色々とありそう。
「店長、助けて貰った恩は忘れてません。こうやって安全に暮らせていることにも日々感謝してもしきれません。」
どうしたんだ美少年B。
あらたまった態度で店主に話し出したぞ。
「いやまあアレはなんだ、ホモでショタっていうそこそこ変態拗らせた貴族に攫われたってSOS届いただけだ。」
『ああ、あれな……
あの頃はまだまだ自分の“権限”使いこなせて無かったからなあ……
まさか「ドワーフが鍛冶技術全般を極めたらエルダードワーフに種族進化する。そしてごく稀にエルダードワーフを超えるエルダーショターフという超長命種に種族進化する。」とかなんとか他にも色々と細々した設定盛り込んでみたりした思いつきが現実になるなんてビックリだよ。
いや~、いきなりドワーフ王とドワーフ五工第二鎚の二人が突然子供になったわ外交使節に拉致られたって聞いたときはホント参ったね。
そろそろこの二人にも本当のこと聞かせた方が……
いいよなあ……
でも……
気まずいよなあ。』
などと一人物思いにふけってる店主だが、実は心の声が大きいという特徴があったり……なかったり……ラジバン○リー!
「店長!」
「主殿!」
こうなるよねえ、しかし美少年Aは口調変わりすぎ。
「えっ、なになに?」
「「本当のことなんですか!?」」
「えっ?」
「ドワーフの種族進化が店長の思いつきが原因だって事です。」
「冗談ですよね主殿。
こんな御伽噺にも無いような事、そもそもこれは解けない呪いだって言ってましたよね。」
「え゛っ?どこでそれを?」
「「さっき御自身の口から」」
「OH NO!ヨーコー」
やっぱりこの店主センスが古い
「すまんな本当の事だ。
今までずっと言えずにいたんだよ。」
ばつの悪そうな店主
「えっ店長!?たしかに店長は規格外というか人間辞めて久しいですよねってくらいやらかしてますけど」
「そうだぞ主殿よ、オレもたいがい主殿に連れ回されてやらかしの現場を見てきたが、それでも種族進化とやらはやらかしの範囲超えてるくらいなんとなくわかるぞ。」
さらにばつの悪そうな店主だったが偉容をあらため
「いきなり聞かされても信じられないよな。」
いつもとは違う雰囲気を漂わせる店主に対し、キャラも崩壊している美少年AとBは狼狽えはじめる。
「ぶらり異世界間パトロールをしていてな、どれだけ取り締まりしても終わらない日々。
糠に釘・暖簾に腕押し……他になんか似たような言葉あったっけ?
なんて軽~く現実逃避したりしてたときにさ、ふっと異世界には多種多様な民族がいてさ、そういえば元々オレがいた世界の創作物のドワーフ最近のトレンドって♀ドワーフはロリーフ、いわゆる合法ロリって設定増えて定番化してる?
って事が脳裏によぎったりしたわけよ。
しかしその時ロリーフは面白くないな、ここは一つショターフだろっ!て面白おかしくイメージ膨らませてたら君たち二人が相次いでショタ化したわけだ。
本当にすまんかった。」
「「え゛っ?!」」
困惑を深める美少年二人
「おまえら二人はエルダーショターフになったから定命の軛から外れかけてるんだよ。
超長命種ってとこの設定があまいっていうかあんまり詰めてないんだよね。
だからそのことも含めてオレのことも話さないとなぁ、とは考えていたんだ。
でもオレのやらかしが原因だし、そもそもオレの“権限”自体が嘘みたいなもんだからどうしたもんかって正直なとこ困ってたんだよ。」
「「……」」
無言の美少年二人
「そのうち追々とな」
「「…………」」