表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第二十章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

992/1032

賞味する事に

 数刻後。


 馮才に魚翅(ユイチー)を使った料理が出された。

 膳に置かれたのは、底が深い器であった。

 器の中には、薄い茶色の液体が入っていた。

 その液体の中を泳いでいるのは、細かくした魚翅(ユイチー)であった。

「一番味が分かりやすい(タン)にしてみたが、どうだろうか」

「ほぅ、(タン)の中に金糸の様に輝いておりますな」

 馮才はとりあえず柔らかくして、塩などで味付けて食べただけなので、(タン)に入れるなどしなかった。

「では、まずは一口」

 馮才は匙で魚翅(ユイチー)を掬ってみた。

 良く煮込まれている為か、持ち上げてフルフルと揺れた。

「・・・・・・これはっ⁉」

 揺れる魚翅(ユイチー)を口の中に入れて咀嚼するなり、馮才は目を見開く程に驚いていた。

 自分達が食べた時は味も無かったと言うのに、(タン)で煮込まれた事で味を吸っていた。

 コリコリとした食感の中に、煮込んだ事で滑らかになりするりと喉に飲み込めれた。

「これは驚きましたな。わたし共が食べた時は味など全くなかったというのに、(タン)で煮込んだけで此処まで深みがある味になるとは」

(タン)の味を吸わせる様に煮込んだから、深みがある味になったのさ。食べる事があれば、味を含ませてから食べればいい」

「成程。しかし、これは美味しいですな」

 馮才は想像以上に美味しい味を楽しもうと、曹昂と話しながら匙を動かし続けた。

 曹昂も匙で掬い、フカヒレのスープを啜る。

「・・・うん。魚翅(ユイチー)に味を染み込ませる為に、(タン)の味を少し濃い目にしたから、丁度いい味になっているな」

 (タン)の味を吸ったフカヒレはしょっぱくもなく丁度いい味であった。

 その味と共にとろける食感を楽しむ事が出来た。

 これは絶品だなと味わっていると、共に食べていた孫礼が無言であった。

 いつもなら咀嚼しながら、味の批評をしているのに珍しいなと思いながら曹昂は見ていた。

 やがて、孫礼が食べ終わると匙を置くなり、息を吐くと目から涙が零れだした。

 突然泣き出すのを見て、曹昂達はぎょっとしていた。

「・・・・・・ふぅ、この魚翅湯(ユイチータン)というのは初めて食べましたが。言葉にするのに大変な程の美味ですな。(タン)の味を吸った事で、柔らかくなった魚翅(ユイチー)は滑らかな口当たりでありながら、コリコリとした食感を出していました。味の方は、天に登りそうな程に深い味を出しております。それでいて複雑な味をしております。これ程の美味に出会える事が出来た幸運に感動して、目から涙が出てまいりました」

 涙を流しながら一気に言う孫礼に、曹昂達は凄い美味しかったという事が良く分かった。

「・・・父上が陳留に寄った時、この魚翅(ユイチー)を使った料理を出すか」

 如何に魚好きの曹操であろうと食べた事がないだろうと思い、曹昂はそう決めた。

 フカヒレが食べられたのは、明の時代からと言われているが唐や宋の時代にも食べられていたという話がある。

 どちらにしても、数百年先の話なので、曹操は食べる機会は無いと言えた。

 なので、喜ぶと思われた。

「良し。これで出す料理が決まったから、いつ来ても問題ないな」

 曹昂は料理の食材が決まった事に安堵していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ぱっぱに隠れてじゃなくて来た時の晩餐に出すんだねw
さすがは後の中華三大珍味。あの孫札(誤字ではないw)が言葉を失うとは…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ