表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第二十章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

985/1032

大人げない

 その夜。


 曹昂は丁薔と食事を取っていた。

 久しぶりに食事を共にとるという事で、丁薔も嬉しいのか顔を綻ばせていた。

 そう食事を共にしていると、全て食べ終えて菓子が出て来た。

 丁薔の膳に置かれたのは、深い器であった。

 その器の中に入っているのは、茶色に焼かれていた。

 器からはみ出る程に膨らみ、横の部分は淡く黄色になっていた。

「まぁ、これは」

 丁薔はその膨らんだ物を見て、目を丸くしつつ匙で突っついてみた。

 匙が突っつくと簡単に膨らんだ物が取れた。

 それを口に含むと、丁薔は目を剥いていた。

「~~~、凄いフワフワしているわね。まるで、雲を食べている様な気分だわ」

 ふわふわした食感なのだが、少しだけ焼けてカリっとした所があった。

 其処に甘味が襲い掛かってきた。

 その食感が気に入ったのか、頬を抑えつつ喜んでいた。

「子脩。これは本当に旦那様には出していないの?」

「はい。出していません」

 丁薔に返事をしつつ、曹昂は内心で作るのが大変だからそうそう出せないと思っていた。

 丁薔が食べているのはスフレであった。

 スフレの材料はカスタードとメレンゲであった。

 どちらも卵があれば出来るので、作ろうと思えば作れる。

 作り方も難しくはない。カスタードとメレンゲを混ぜるだけだ。 

 だが、この混ぜ方で出来が変わる。

 メレンゲの泡を潰さない様に混ぜねば、フワフワとした食感がなくなってしまう。

 その上、時間が立つとしぼんでしまうので提供するのが大変であるので、曹操に出さなかったのだ。

「熱いけど、このふわふわとした食感を楽しめると思うと悪くないわね。本当に雲を食べている気分だわ」

 丁薔は顔を綻ばせながら、スフレを食べていた。

 そう食べていると、丁薔の機嫌が良くなっているのが分かった。

 これで何とかなったなと思っていると、其処に使用人が入って来た。

「失礼します。丞相が御戻りですっ」

 使用人が慌てた様に言うと、曹昂達は出迎えにいった方が良いと思い席を立とうとしたが、その前に曹操が部屋に入って来た。

「これは父上、お帰りなさいませ」

「旦那様。お帰りなさいませ」

「うむ。・・・むっ?」

 曹昂達が席を立ち一礼するのを見た曹操は、丁薔の膳に置かれている物が目に入った。

「何だ。それは?」

「これは舒芙蕾(スフレ)という料理にございます。久しぶりに義母上と食事をしますので特別に作りました」

「ほぅ、そうか。儂の分はあるか?」

「ああ、すみません。義母上の分しか作っておりません」

「何だとっ⁉」

 自分の分が無いと聞いて、曹操は不機嫌な顔をしだした。

 逆に丁薔は上機嫌な顔をしていた。

「これは、子脩が私の為に作った物です。ですので、残念ですが諦めて下さい」

「ぬううっ、子脩。今すぐに厨房に行き作るがいい」

「それが材料が丁度切れておりまして」

 曹昂が首を振りながら述べた。

 というのも、このスフレを出す際に試作したのだが、上手く膨らまないという失敗を繰り返していた。

 何とか上手く膨らむ様になった時には、卵が底をついてしまった。

「な、なんだとっ」

 曹操は衝撃を受けていた。

 そして、ジッと丁薔を見た。

 一口くれないかと目で伝えたのだが、丁薔はその視線を浴びても素知らぬ顔で食べていた。

「く、くうううううっ」

 曹操は悔しそうな顔をしていた。


 翌日。


 曹操は曹昂に舒芙蕾(スフレ)を作る様に命じるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
曹操、察しろよw
丁かーちゃんの存在が曹操を悪逆非道な乱世の奸雄を辣腕君主だけどなんか隙や愛嬌ある人にしてるなぁ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ