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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第十九章

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閑話 沈んだ気分を紛らわせる為に

 丁薔達の説得により、曹操は二喬を鄴に連れていく事を諦めた。

 諦めはしたが、納得する事は出来なかった。

 酒でも飲んで気を紛らわせようと思い、最近侍女にした王瑛を呼び酌をさせていた。

「全く、あの二人はどうして、儂が手に入れようとしている女に口を出すのだ。人妻であろうと何だろうと構わんだろうが」

 曹操は酒を飲みながら、不満を零していた。

 王瑛は不満を聞きながら、無言で酌をしていた。

 ある程度、酔いが回りだすと、口を開いた。

「丞相。酒を飲んでいるだけでは気が滅入ります。此処は詩でも読んで気分を変えてはどうでしょうか?」

「むぅ? ・・・・・・そうだな。此処の所、吟じておらんしな。誰ぞ、筆と硯を持て」

 頬をほんのりと赤くした曹操であったが、酒を飲んでも気分が良くならないので、詩でも書いて気分を変える事にした。

 少しすると、膳が横に置かれ書几と、硯と筆がおかれた。

 どれだけ書くか分からないので、大量の竹簡が置かれ誤字した時用に小刀も置かれた。

 竹簡を前にした曹操は息を吐いて、竹簡と筆を持ち暫し考えた。

「・・・・・・出来た」

 そう呟くなり、曹操は筆を躍らせる。

 一度筆を動かすと、さらさらと書かれていった。

 やがて、書き終えると筆を置き息を吐いた。

「出来た。これは良作と言えるであろう」

 書き終えた曹操は自信満々に竹簡を見た。

「丞相。御聞かせ下さい」

「うむ」

 王瑛に促された曹操は竹簡を持って読み上げた。


 酒に対しては(まさ)に歌ふべし

 人生 幾何ぞ

 (たと)へば朝露の如し

 去日 (はなは)だ多し

 (がい)して(まさ)(もっ)(こう)すべし

 憂思(ゆうし) 忘れ難し

 何を(もっ)てか (うれい)を解かん

 ()杜康(とこう)有るのみ


 青青(せいせい)たる()(えり)

 悠悠(ゆうゆう)たる我が心

 ()だ君が(ため)(ゆえ)

 沈吟(ちんぎん)して今に至る

 呦呦(ユウユウ)と鹿は鳴き

 野の(よもぎ)()

 我に嘉賓(かひん)有らば

 (しつ)()(しょう)を吹く


 明明(めいめい)たること月の(ごと)きも

 (いず)れの時か採る()けんや

 (うれ)ひは中より來たる

 断絶すべからず

 (はく)を越へ(せん)(わた)

 ()げて()って相存(あいそん)せば

 契闊(けいかつ)して談讌(だんえん)

 心に旧恩(きゅうおん)おもはむ


 月(あき)らかに星(まれ)

 烏鵲(うじゃく)南に飛ぶ

 ()(めぐ)ること三匝(さんそう)

 (いず)れの枝にか()るべき

 山は高きを厭はず

 海は深きを厭はず

 周公は()を吐きて

 天下 心を帰す


 曹操は己が書いた詩を高らかに吟じる。

 それを聞いた王瑛は感嘆の息を零した。

「・・・・・・うむ。良く出来たな。久しぶりに良作だ。短歌行と銘づけよう」

 曹操は満足そうに頷いていた。

 そして、この詩の写しを書いて家臣全員に送った。

 揚州に居た劉馥はこの詩を読むなり「戦の時に読まなくて良かったな。後ろ向きな所があるから、不吉であった」と呟いていた。




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― 新着の感想 ―
そりゃあ、丁夫人と卞夫人にギッチギッチに締められたら、後ろ向きにもなるわさ
酒飲みついでの愚痴でサラサラと詩が書けてしまうぱっぱ…未亡人にだらしないけど文才はやっぱり当代無比w息子さんはからっきしだろうけど
…説得とは?
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