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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第十九章

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脳裏に何かが光った

 華容道を通り抜けた曹操軍は江陵に到達した。

 その地で長く休憩を取った後、襄陽を経由して許昌に帰還すると事が決まっているので、将兵達も鎧を脱ぎ思い思いに休んでいた。

 そんな折、曹昂は曹操と話していた。

「兵の様子はどうだ?」

「鎧を脱いで身体を休める事が出来るので、息抜きが出来ている様です。江陵に着くまでの間に疫病に罹った者達も出ましたが、直ぐに最後尾の馬車に乗り込ませましたので、罹る者達は多くありませんでした」

「ふぅ、陸路で進んでも疫病に罹った者が出たか。これはやはり風土が違うからか?」

「そうでしょうね。我が軍の殆どが北方の者ばかりですから。環境が違う事で、身体を壊したのでしょうね」

「むぅ。これでは揚州に攻め込むのも容易ではないな。荊州で訓練させて風土に慣れさせるしかないか」 

 曹操がそう述べるのを聞いて、曹昂は気になったのか尋ねた。

「揚州に攻め込むつもりで?」

「分からん。あるかも知れんしないかもしれん。あらゆる状況に対応するのが大将という者だ」

「卓見にございます。父上」

 曹昂が感服していると、曹操は上機嫌な様子を見せていた。

「襄陽を経由して許昌に帰るが。孫権が息を吹き返して攻め込んで来るかもしれんからな。襄陽に曹仁を置くつもりだ」

「孫権と劉備が攻め込んで来る事はないかも知れませんが、襄陽に曹仁殿を置くのは賛成です」

 襄陽に曹仁を置くと聞いて、曹昂はある事を思い出して尋ねた。

「荊州の南四郡はどうされているのです?」

 曹昂が言う南四郡とは、桂陽郡、零陵郡、武陵郡、長沙郡の四つの事であった。

 荊州が降伏した際、それらの四つの郡も降伏した。

 その際に、曹操は郡の太守達は解任したりそのまま留任したりしていた。

「桂陽郡と零陵郡は元々の太守を留任させていたが、武陵郡と長沙郡の二つには別の者を赴任させた」

「桂陽郡は趙範。零陵郡は劉度でしたね。武陵郡と長沙郡には誰を赴任させたのですか?」

「武陵郡には中郎将の金旋に、長沙郡は韓浩の親戚の韓玄に任せた」

「金旋は確か金日磾の末裔でしたね。韓玄は韓浩の親戚なのですね」

 てっきり、兄弟だと思っていたので親戚と聞いて、其処は知識と違うのだなと思う曹昂に、曹操は話した。

「韓玄の方は韓浩が推薦したから選んだのだ。これだけいれば十分であろう」

「だと思います」

 この状況で、孫権や劉備に寝返るという事はしないだろうと思い曹昂は頷いた。

「ああ、曹仁は襄陽に置くが。お前はどうする? 儂らと共に許昌に帰り、その足で陳留に帰るか?」

「そうですね。わた」

 わたしも共に行きますと言おうとした瞬間、曹昂の脳裏に何かが光った。

 直感が、曹操と共に許昌に帰るのは止めた方が良いと言っていた。

「・・・・・・わたしは暫し襄陽に留まり、情勢が落ち着けば陳留に帰ります」

「そうか。では、好きにせよ」

 曹昂がそう述べるのを聞いて、曹操は頷いた。

 話す事を終えた曹昂はその場を後にすると、先ほどのあれは何だったのだろうと首を傾げていた。

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― 新着の感想 ―
刑道栄くんは陳留で留守番してるんじゃなかったかな?
これだけ離れていても察する事ができるWマッマの怒気w
いわゆる荊南四英傑ですね? はたして刑道栄とかは出てくるんでしょうか…?
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