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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第十九章

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此処から

 周瑜は諸将を呼集するなり、敵の計略により矢が大量に奪われたと告げた。

 直ぐに、兵糧武具を管理している倉官を呼び、どれだけ矢があるか調べさせた。

「申し上げます。矢の数量を数えました所・・・柴桑から届けられるまで、矢を放つ量を控えた方が良いと思います」

「何を、ふざけた事を言っているか⁉」

 倉官が言いよどみながら述べるのを聞いて、潘璋が怒声をあげた。

 他の者達も、声こそ出さないが同じ思いなのか、眉をひそめていた。

 船戦にとって、矢は大量に使う為、どうしても必要な物だ。

 矢が無くては、戦う事も出来なくなるというのも過言では無かった。

 潘璋が怒るのも無理ないと言えた。

「待て。この者は、職務を忠実なだけぞ。だと言うのに、怒鳴ってはならんだろう」

 周瑜は怒る潘璋を窘めた。

 潘璋も、そう言われては何も言えないのか、黙ってしまった。

 それを見た周瑜は、これで話を聞けると思い口を開いた。

「では、聞こう。其処まで矢が不足しているのか?」

「はい。正直に言って、このままでは一度か二度戦えば無くなります」

 倉官は周瑜の問いに、諸将の視線を身に浴びつつ答えた。

 背中がじっとりと濡れながらも、自分の予測を述べた。

「・・・・・・そうか。下がってよいぞ」

 報告を聞いた周瑜は倉官を下がらせた。

 倉官が天幕を出て行くと、董襲が周瑜に問いかけた。

「周将軍。この戦では矢は何よりも重要だ。これをどうやって解決するつもりで? まさか、職人に作らせると言わんだろうな?」

「流石のわたしもそれは言わん。矢を一本作るのに、どんなに腕が良い職人でも数刻かかる。それを大量に作らせるとなると、どれだけ刻が掛るか分からん。そうしている間に、曹操が攻め込んで来るかもしれん」

「では、どうするつもりで?」

「此処は仕方がないから、柴桑に水路で輸送してもらうしかなかろう。陸路では時間が掛るからな。直ぐに使者を」

 周瑜が柴桑に使者を送ると言うのを聞いて、諸将は異論ないのか、誰も反対しなかった。

 

 使者を放った六日後。

 放った使者が、陣地に戻って来た。

 腕に矢が刺さった状態で。

「申し上げますっ。夏口に敵軍が駐屯しております。数は不明ですが、旗から文聘の軍だと思いますっ」

「なんだとっ⁉」

 使者の報告を聞いて周瑜は、声をあげてしまった。

「これでは、輸送できないと思い本陣に戻ろうとした所に、敵に見つかり襲撃を受け、このような姿に」

「そうか。良く報告してくれた。ゆっくりと傷を癒すがよい」

 使者を労い下がらせると、周瑜は唸っていた。

「ぬぅ、陸路で輸送するとなれば、敵に見つかり攻撃を受けるかもしれん。だが、このまま矢を補充しなければ、戦すら出来なくなる。その上、敵が夏口に布陣しているとなれば、我らの退路を断つかもしれん」

 周瑜はどうしたものかと、頭を悩ませていた。

 とりあえず、敵が夏口に駐屯している事を伝えると共に、敵が挑発してきても乗らない事を命じた。

 伝えられた諸将は、顔にこそ出さなかったが、このままで大丈夫なのか不安になっていた。



 周瑜が今後の対応を考えている頃、曹操は間者からの報告を聞いていた。

「ほぅ、敵は矢が不足しているか」

「はっ。その為、敵が挑発してきても攻撃しない様にと命を下したそうです」

「ははは、それは良い。どうだ。船を出して、攻撃をするように挑発するか?」

 間者の報告を聞いた曹操は面白い事を思いついたとばかりに、笑いながら傍にいる郭嘉に訊ねた。

「それも悪くないと思います。ですが、その前に例の件をするのが良いかと思います」

「例の件と言うと、蔣幹を周瑜の下に送るであったな」

「はい。今蔣幹を送れば、周瑜は我らを罠に嵌めようとするでしょう」

「良し。蔣幹を呼べ」

 曹操は兵に命じた後、その場にいた曹昂は口を開いた。

「父上。蔣幹の事とついでに、ある事を思いつきましたので、しても良いでしょうか」

「ほぅ、それはどんなことだ?」

 曹操が訊ねると、曹昂が話し出した。

「・・・ふむ。それは何のためにするのだ?」

「敵を動揺させる事が出来ます。どうか、許可を」

「う~む。どう思う。郭嘉」

「悪くないと思いますが。う~む、しかし」

 郭嘉は煮え切らない様子を見せていた。

「儂は別に構わんぞ。まぁ、漉し餡の羊肝餅であれば少し考えたがな」

「ははは、父上は漉し餡が好きですね」

「当たり前だ。初めて食べた時の衝撃は忘れられん。餡子を最後まで味わう事が出来て、適度に固く腹持ちを良くするのだ。粒餡の様に、豆の粒々した食感など無く、餡子だけ味わう事が出来るのだからな」

「・・・殿。粒餡も良いと思います。豆と餡子を同時に味わう事が出来るですから、最後まで飽きませんよ」

「郭嘉よ。お主は儂の心を理解しているというのに、どうして儂の好みを理解できんのだ」

 曹操は嘆かわしいとばかりに言うが、郭嘉は平然としていた。

「殿が粒餡の良さが分からぬから、そう言うのです。漉し餡も悪くありませんが、粒餡の方が良いでしょう」

「いや、しかしな」

「そうは言いますが」

 曹操と郭嘉は漉し餡と粒餡の良さを語りだした。

 傍で聞いていた曹昂は呆れて、言葉を失っていた。

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― 新着の感想 ―
これ、(周瑜軍の対応が)もうどうなっても良いや♪(どうせすべて対処できるし)な感じがしますね。
周瑜と魯粛、朝廷にいる張昭は粒餡派?漉餡派?まさかの抹茶か塩?
最後w重要な作戦会議、反乱周瑜軍の命運かとおもったら餡子談義w
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