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楽しみだ

 数刻後。


 烏林の陣地に、曹昂達は帰還した。

 その足で、曹操の元に向った。

 丁度、軍議を開いていたので、そのまま軍議に参加する事にした。


 軍議が開かれている天幕の中に、曹操他主だった家臣達が集まっていた。

 曹昂が天幕に入るなり、成果を報告した。

「ほぅ、これが敵の陣地の絵図か」

「やはり、近くで書けた事で、精緻に書かれておりますな」

「これがあれば、敵の陣地の何処を攻撃するべきか分かりますな」

 家臣達は絵図の出来栄えを見て、文句ないとばかりに称賛するのであった。

 曹操も喜んでいるのか、顎髭を撫でていた。

 その様子を見た曹昂は、これならばいけるかと思い口を開いた。

「父上。もう一回、敵を刺激したいと思います。御許可を」

「何をするつもりだ?」

「そうですね。此度の戦で、多量に使う物を敵から奪いたいのです」

「多量に? それは何なのか分からんが、ふむ。どうやるつもりだ?」

「許可して頂ければ、教えいたします」

 曹操は暫し考えた後、決めた様で曹昂を指差した。

「良かろう。何が必要だ?」

「船の用意を、数十艘ほど。後は船を操る者達と、大きい布と束ねた藁を沢山くだされ」

「何に使うのだ?」

「今から、お話しします」

 曹昂は何をするのか話し出した。

 話を聞き終えると、曹操は面白そうだと思いながら、好きにさせる事にした。


 天幕を後にした曹昂は、自分用の天幕に入ると、趙雲に声を掛けた。

「孔明を呼んできてくれ。直ぐに」

「はっ」

 趙雲は一礼し、その場を離れた。

 少しすると、諸葛亮を連れて戻って来た。

「お呼びとの事で参りました」

「先生。お知恵を借りたい」

 諸葛亮が一礼すると、曹昂も返礼すると趙雲をチラリと見た。

 その視線から、趙雲は一礼し天幕を出た。

「先生。貴方は荊州に暮らして長いと聞いております」

「はい。かれこれ十数年は暮らしております」

「であれば、荊州の地理と天文に通じていると思ってよいか?」

「はい。それで、何をするつもりで?」

「ああ、実は」

 曹昂が、これからすることを教えると、諸葛亮は面白そうに頷いた。

「成程。船は何時頃、用意できますか?」

「それほど時は掛からないだろう。問題は出立する時だが、先生、それは分かるか?」

「はい。天文を見ますに、五日後の夜に発つのが良いと思います」

「そうか。先生、その時は、付いてきますか?」

「ええ、ご同行いたします」

 諸葛亮が付いていくというのを聞くと、曹昂は頷いていた。

「そう言えば、先ほど此処に来る途中で虞翻殿にお話ししましたが、殿は琴を奏でる事が出来るそうですね。誰から教わったのですか?」

「妻の蔡琰から教わったのだ」

「そうですか。確か、蔡琰様の父君は蔡侍中でしたな。かの御方は音律に精通し琴の名手と呼ばれると聞いております」

「ええ、その為か妻も義父に負けない程に、琴の名手なのです」

「それは良き師を得ましたな」

「その通りだ。そう言えば、先生も妻を迎えたと聞いているが、どの様な者なのだろうか?」

 曹昂は訊ねつつも、この時代の美的感覚で醜女なのか、それとも本当に醜女なのか気になっていた。

 諸葛亮はその問いに、満面な笑みを浮かべた。

「聡明な御方です。陳留に帰る前に、一度お目に掛けたいと思います」

「おお、臥竜と言われる先生が聡明と言うのだ。是非とも会いたいな」

 会えば、どちらの意味で醜女なのか分かるので、曹昂は楽しみにしていた。

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― 新着の感想 ―
诸葛亮草船借箭成功,周瑜自叹不如。 ふふふ 楽しみですね
孔明がまさかの顔をしかめるようなことになるまいな?(破滅のお琴w
優秀な師匠でも如何にもならない事はある…… 頼むから、孔明の前で琴を引くなよ?嫁に恥をかかせたく無いだろ?
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