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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第十九章

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 揚州豫章郡海昬。


 その地には、現在程普が籠っていた。

「程公。気持ちは分かる。だが、貴殿が兵を集めては敵は其処をつけ込んで何をするか分からんぞ」

 程普にそう声を掛けるのは、黄蓋であった。

 周瑜の命で、わざわざ海昬にまで赴き程普の説得をしていたが、程普は無言を貫いていた。

「周瑜の行いは確かに暴挙と言っても良い。だが、殿は周瑜の事を逆臣とも奸臣とも言っておられないぞ。それはつまり、殿は周瑜の行いを許しているという事であろう」

「・・・・・・殿は周瑜を兄の様に慕っていたのだぞ。それを裏切るなど、臣下としてあってはならんだろう」

 ようやく、口を開いた程普に黄蓋はこれで話が出来ると思った。

「確かにそうだ。しかし、呉夫人が周瑜の行いについて何の文句も言っておらんのだ」

「夫人が?」

「うむ。だから、他の者達も周瑜の行いを程公の様に非難しないのだ」

「・・・・・・だからと言って、あやつの行いを許せる訳がない」

 程普は呉夫人が周瑜の行いに対して、何も言っていないとは知らなかったので、面食らっている様であった。

「それは分かっている。とりあえず今は曹操と周瑜の戦いが終わるまで、刺激するのは止めるべきだ」

「儂は殿から、どれだけ部曲を集めても構わないと言われておる。だから、兵を集める事は止めん」

 程普は、鼻を鳴らしながら言うのを聞いた黄蓋は溜息を吐いた。

「程公よ。そう意固地にならなくても良いだろう。一旦兵を集めるのを止めるだけでも、周瑜は安堵するのだぞ」

 黄蓋はそう言うのを聞いて、程普は暫し考えだした。

 そして、頷いた後、口を開いた。

「・・・・・・儂が兵を集めているのは、周瑜の行いに怒って行っていると思っているのか?」

「そうであろう。わしだけではなく周瑜もそう思っている様だぞ。だから、わしが此処に来て説得に来たのだ」

「そうか。お主とは長い付き合いだ。だから、教えよう」

 程普は決して口外するなよと目で言うと、黄蓋は頷いた。

「儂は、周瑜が曹操との戦いに負けた場合に備えて兵を集めているのだ」

「なに?」

 程普が述べた言葉の意味が分からず、黄蓋は耳を疑っていた。

「如何に曹操と言えど船戦は苦手であろう。だから、少なくない犠牲が出るであろうが、曹操の事だから、そんな犠牲も気にせず柴桑に攻め込むであろう。兵が殆ど居ない柴桑では、殿を守る事は出来ん。だから、周瑜が敗北した後、殿には一族の皆様と共に海昬(此処)に来てもらう」

「海昬にか? しかし、この地に来たとしても殿を守る事が出来るのか?」

「儂の見立てでは、曹操は海昬(この地)を攻める前に撤退するとみている」

「その根拠は?」

「一つ目。曹操軍の主力は北方の兵。北方と南方では風土が違う、間違いなく進軍している間に多くの兵が病に罹る。そうなれば、兵の士気が落ちる。

 二つ目は、曹操軍は大軍である為、どうしても兵糧が多くを消費する。荊州に着くまでの間に多くの兵糧を消費している。其処に荊州の投降兵も加われば、兵糧の減りが増える。荊州に備蓄されている兵糧を使っても、焼け石に水にしかならん。

 三つ目、遠征に次ぐ遠征に加えて周瑜との戦いにより、戦を終えた頃には、兵は疲れて果てているからだ。

 これらの事を考えて、曹操は海昬を攻める事無く撤退するとみている」

「うぅむ。成程な」

「お主も戦に参加するかもしれんが、命は大事にするのだぞ。それと、この事は周瑜に話すでないぞ」

 程普に釘を刺された黄蓋は頷くだけであった。

 その後、海昬を後にした黄蓋は周瑜の元に戻ると、説得は失敗した事を告げた。

 周瑜も頭を抱えた後、黄蓋を労い下がらせた。

 部屋を後にした黄蓋は、此度の戦で何が起こるか分からない以上、自分に出来る事をする事にした。

 そう思うなり、直ぐに行動した。


 その数日後。

 江陵に居る間者が、文聘率いる軍勢が北上している事と、曹操率いる軍勢が船に乗り込み河を下っている報告が齎した。

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― 新着の感想 ―
爺さん同士の最期の別れみたいな。孫策たぶらかしてずるずる中央に謀反しておいてしりぬぐいは老将にか()楽にはピねないなぁ周瑜
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