表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第十八章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

915/1032

閑話 久しぶりに集まったので

 孔融の処刑が終わり、親しい者達も処されてから数日が経った。

 

 各州から兵が許昌に到着するにはまだ時間が掛る様で、曹操達は待機していた。

 参謀として従軍している荀攸、郭嘉、程昱、賈詡、沮授、田豊の六人に加えて荀彧が城内の一室に集まって話し合っていた。

「既に荊州は降伏するという文が届いている。であれば、次に狙うのは揚州だな」

「益州は狙わないので?」

「益州を治める劉璋は暗愚にして惰弱と聞いている。我らが攻めずとも、荊州と揚州が征服されれば、自ら白旗を上げるであろう」

「確かにそうでしょうな。では、揚州を攻めるのはいつ頃にすべきだと思う?」

「荊州の統治を最低限だけ整えた後に、攻め込むべきだろう」

「いや、荊州の足場を固めて万全の体制を取ってから、揚州に攻め込むべきでしょう」

「しかし、我らが足場を固めている間に、孫権も万全な体制を整えるかもしれんぞ」

「であれば、荊州を落とした後は、早急に攻め込むべきですな」

「いや、呉越同舟という言葉もある。我らが攻め込めば、孫権の事だ。劉備と手を結び対抗するかもしれんな」

「されど、孫権と劉備が手を結んだ所で、兵力はたかが知れているでしょう。そのような者達が万全な体制を築いた所で、我らが負ける事はないでしょう」

「敵を過大評価するのもいかんが、侮るのもいかん。孫権の元には、周瑜と魯粛がいる。劉備の元には徐福と馬順がおるのだ。あやつらの智謀は比類ない程に優れている。此処は荊州で足場を固めてから、揚州に攻め込むのが良いであろう」

 荀彧達は揚州を攻め込む時期を何時にするのか話し合っていた。

 賈詡や沮授、荀彧、田豊の四人は荊州の足場を固めてから攻め込むべきと述べた。

 郭嘉、程昱、荀攸の三人は荊州を得れば、統治を最低限だけ整えた後に、攻め込むべきだと述べた。

 二つの意見がぶつかりあい、どちらを取るべきなのか話し合った。

 長く話しあう事で、言葉に熱が帯びて乱暴になっていくが、それでも意見を言う事を止める事は無かった。

 とは言え、人間である以上何をしていなくても御腹は減る。

 長時間口論していれば、喉も乾く。

 その為、小休止としていたた。

 七人は卓を囲み、茶と菓子を食べていた

 茶菓子として、共に出されたのは大皿に、切り分けられた四角い形をして上の部分が淡い茶色になっているが、中の部分は黄色い物であった。

 匙を当てると、ふるふると震える。

 切り取り口の中に入れ咀嚼すると簡単に噛み切れた上に、フワフワしてシュワっと消えていくような食感であった。

 口の中に残るのは、甘味だけであった。

「う~む。この食感は新しいですな」

「簡単に噛み切れる上に、霞の様に消えていきますな」

「それでいて、控えめな甘味。飽きない味ですな」

「これは良い。それなりに大きいのに、食感がふわふわしているので小腹を満たすのに丁度良いな」

「曹陳留侯が狸猫を送ってくれたついでとばかりに送ってくれた蛋糕(ダンガォ)の作り方が書かれた本の通りに作ったが、美味しいであろう」

 荀彧は一口食べて、蛋糕(ダンガォ)のフワフワとした食感を楽しみながら述べた。

「成程。曹陳留侯が教えてくれたのですか。しかし、この食感はどう出しているのですか?」

「卵の透明な部分があるでろう。それを混ぜ続けると、白く膨らむのだ。それを入れて焼くと、この様に膨らみフワフワとなるのだ」

「ほぅ、このフワフワとした食感は卵の透明な部分で作り出したのですか」

「この食感、癖になりますな。・・・むっ」

 沮授は自分の分を食べ終えると、大皿を見ると蛋糕(ダンガォ)は一切れしか残っていなかった。

 それを見て、周りを見たが賈詡を除いた五人が牽制する様に互いを見ていた。

 そんな中で、田豊が口を開いた。

「この身はもう老い先短い身。出来るだけ美味い物を食べてから、天寿を全うしても良いと思うが」

「いやいや、田豊殿はまだお若いでしょう。此処は儂が」

 程昱が口を挟んで、手を出そうとしたが、荀攸が口を出した。

「御二人はまだまだ頑張って働いて貰います。しかし、わたしはお二人に比べれば大した活躍はしておりません。此処は栄養を取り活躍の機会を」

 荀攸がそう言うと、荀彧が口を挟んできた。

「荀攸。わたしはお主の叔父ぞ。此処は叔父であるわたしに譲るというのが、道理であろう」

「荀彧殿。それは貴殿と荀攸殿の関係であって、我らには関係ないでしょう。それに、貴殿はこの料理の作り方の本を持っているのでしょう。であれば、食べようと思えば食べれるでしょう。ですので、此処はわたしに」

 沮授が述べると、郭嘉が手を振る。

「これだけ美味しいのだ。食べたい気持ちは分かる。それで、どうであろう。此処は均等に分けるというのは?」

 郭嘉の意見を聞いて、皆口のこそ出さなかったが、嫌そうな顔をしていた。

 そして、残った蛋糕(ダンガォ)をどうするか話し合う荀彧達。

 そんな六人を見た賈詡は呆れつつ、内心では。

(そんなに食べたいのなら、お代わりを焼くように言った方が良いと思うがな)

 何故、皆そう思い至らないのだろうと不思議に思うのであった。

作中に出てくる蛋糕は台湾カステラの様な物と思ってください

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
また曹操軍内で食べ物閥が誕生するかと思ったらw残りの一切れ争奪戦かwしかも群雄がうらやむ幕僚団が
孫権との差はあるが、荊州をある程度安定させないと、叛乱を起こさせる可能性もあるんじゃないかな 即決速攻は良いけど、少しでも時間がかかると調略の可能性が高くなる気がする 今回の最大の失策は、大皿で出し…
賈クさんの冷静な内心でのツッコミww 参謀陣が完全に胃袋掴まれてますね……よそからスカウト来ても「そちらの国では○○(好物)は食べられますか?無理でしょう」って、食べ物関連で断りそう(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ