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説得は難しい

 龐統は徐福の説得を考えているのだが、どれだけ考えても良い案が浮かばなかった。

 其処で、此処は徐福の友人でもあり、自分にも負けない知識と知恵を持っている友人の知恵を借りる事にした。

「孔明。少し良いか?」

「士元か。どうしたのだ?」

 龐統が訪ねたのは、諸葛亮の部屋であった。

 部屋に入った龐統は回りくどい話などせず、直ぐに本題の話を振った。

「劉備が丹陽郡で反乱を起こしたという事は聞いているか?」

「いや、知らぬ」

 食客の為か、其処まで情報は入ってこないのだと分かった龐統は、徐福をどうにかして助けたいと告げた。

「ふむ。つまり、良い案がないので、知恵を貸してほしいという事だな」

「そうなのだ。何か良い考えはないか?」

 龐統の困った顔を見た諸葛亮はほくそ笑む。

「ふふふ、鳳雛と言われるお主でも悩む事があるのだな」

「揶揄うでない。それで、何か案はないのか?」

 訊ねられた諸葛亮は目を瞑り暫し考えた後、目を開けた。

「上手くいくか分からないが、良い案が浮かんだぞ」

「本当か? 一応言っておくが。母親に手紙を書かせるというのは無しだぞ。そんな事をすれば、我らは縁切りになるからな」

「わたしも数少ない友人と縁を切られる事はしたくない。だから、この案にしたのだ」

「そうか。それはいったい、どのような手段なのだ?」

「それはだな」

 諸葛亮は龐統に何かを話した。

 話を聞き終えた龐統は、それならばいけるかと思い、直ぐに行動した。



 同じ頃。


 揚州廬江郡舒県。

 その県は廬江郡の郡治所であった。

 城内にある大広間にある上座には男性が座っていた。

 年齢は四十代前半で、身の丈八尺(約百八十センチ)あった。

 高い身長でかなり痩せた体つきであった。

 八の字ように伸ばした長く伸ばした口髭を生やしていた。

 パッチリとした澄んだ目を持ち、ちまちまと整った顔立ちをしていた。

 この男性は名を孫邵。字を長緒と言い、孫権の家臣で廬江郡太守を務めていた。

「どうです。悪い条件ではないでしょう」

 その孫邵に問いかけるのは、劉備の家臣の孫乾であった。

 劉備は丹陽郡の反乱が成功し、兵を募っている間、近隣の郡に協力又は降伏を促す使者を放っていた。

 とは言え、九江郡は既に曹操の支配下に入っているので除外し、呉郡と廬江郡と会稽郡に使者を放っていた。

 呉郡の孫暠は劉備の申し出を拒否し、会稽郡の蔣欽は話を聞く事などしないで門前払いであった。

 残った廬江郡は是非とも成功したい為か、腹心で交渉が得意な孫乾を向かわせた。

 孫乾はその命を受けた際、劉備に苦言を呈した。

『孫邵は絶対にこちらの申し出は受けません。ですので、無駄です』

『何故、そう言い切れるのだ?』

『孫邵はわたしの従兄でして、幼い頃から性格を知っています。あの者は節義を重んじる性格ですので、絶対に孫権を裏切りません。ですので、説得は無駄です』

 普段は劉備の命とあれば、火の中であろうと水の中であろうと飛び込む孫乾は無理と断言した。

 そう言われたものの、劉備としては少しでも戦力が欲しいので、何が何でも説得せよと強く命じた。

 孫乾も仕方がなく、孫邵の元に赴いて説得していた。

「従兄上が皇叔に従うのであれば、厚遇を約束します。そして、いずれは高い地位に就く事も出来ますぞ」

「・・・・・・」

 孫乾の言葉を聞いても、孫邵は黙り込んでいた。

「・・・・・・ふぅ、お前も大変だな。乾」

「これも家臣の役目というものです。して、返答は?」

 孫乾は返事を聞くと、孫邵は息を吐いた。

「もし、わたしがお前に劉備殿に仕えるのを辞めて、我が殿に仕える様に言えば、お前はどう返事をする?」

「無論、即お断りいたします」

 孫邵の問いに、孫乾は即答した。

「それがわたしの答えだ。帰るがよい」

 孫邵は帰るように手で促した。

 返事を聞いた孫乾は予想通りの返事だなと思いつつ、一礼しその場を離れていく。

「・・・・・・乾」

「はい。何でしょうか?」

 部屋を出て行こうとした孫乾は、孫邵に声を掛けられて足を止めた。

「もし、お前が死んだら、骨を拾って墓を建ててやる。そして、お前を殺した奴を見つけ出して殺し、骨を盃にしてお前の墓に供えてやる」

 孫邵がそう言うのを聞いて、孫乾は目を丸くした。

 それは暗に死んだら仇は取ってやると言っていた。

「・・・・・・そうならないように励みますが。もし、死んだ時はお願いします」

 孫乾は一礼し部屋を出て行った。

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― 新着の感想 ―
兎耳、周りに援軍を求めたって、日頃の行いが劇悪だから、無理だろう。 あと、諸葛亮に相談したのは良かった。 龐統としては、学友達と戦い合うのは嫌だから、さっさと孟建や石瑫、崔豹、向朗らを抜擢して欲しい
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