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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第十八章

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心は決まった

 冀州魏郡鄴県。


 城内にある一室で、曹操は曹昂から送られた文を読んでいた。

「・・・・・・郭嘉。どう思う?」

 曹操は読み終えた文を、傍にいる郭嘉に見せた。

 渡された文を一読すると、顎を撫でた。

「若君は南征はいつ頃するつもりなのか訊いておりますね。丞相はどのようにお考えで?」

「冀州と幽州の混乱も落ち着き始めて来た。そろそろ、荊州に攻め込んでも良いと思うが・・・」

 曹操は、心が決まらないのか何かに躊躇している様であった。

「時期的に長期戦になりますと、雨季になりますね。ですので、短期で決めればよいと思います」

 季節を気にしているのかと思い、郭嘉は提案するが曹操は思っている事と違う様で、首を横に振っていた。

「何を悩んでいるのですか?」

「韓遂の事だ」

 曹操が悩んでいる事が分からないので、郭嘉は思い切って訊ねると、曹操はすんなり答えた。

「未だ、雍州の反乱は鎮圧されていない。韓遂に督戦の文は送るのだが、のらりくらりと躱していてな。儂が荊州に遠征に向った隙に反乱を起こすかもしれん。だから、南征に行けぬのだ」

「韓遂が反乱を起こした所で、夏侯淵殿に対処させればよいと思います」

「韓遂だけであればそうなのだが、涼州には宋建が居るからな。儂が居ない隙に手を結び手が負えない勢力になるかもしれん」

 曹操はそれが懸念しており、荊州征伐に行く事を躊躇していた。

「後顧の憂いを断つために、韓遂を呼び出して処刑しますか?」

「罪をでっちあげるにしても、何の罪もない。それに、宋建と通じているという証拠もないからな」

 流石に何の罪もないのに処刑も出来ないので、曹操はどうしたものかと考えていた。

 郭嘉も何かいい案が無いかと考えていると、其処に部屋の外に護衛として控えている典韋が部屋に入ってきた。

「丞相。沮授殿がお会いしたいと申しております」

「沮授が? 通せ」

 会いに来たと聞いて、曹操はついでに荊州征伐について相談しようと思い、部屋に入る事を許可した。

 典韋が一礼し部屋を出ると、沮授を連れて来た。

 そして、典韋が部屋を出て行くと、沮授は一礼する。

「丞相。お話ししたい事があり、参りました」

「何かあったか?」

「はい。わたしは天文を見るのですが、昨日の夜、揚州の空を見ると殺気が満ちておりました。これは、揚州が大乱に見舞われると思います」

「大乱だと?」

 揚州は孫権が治めているので、混乱らしい混乱など起きないのではと思っていた。

 とは言え、もし起きるのであれば、好機だと思えた。

「儂はそろそろ荊州の征伐を考えている。お主はどう思う?」

 話を聞いた曹操は、沮授に南征について訊ねた。

「良いと思います。益州は漢中に張魯がおり動けません。揚州は大乱が起こるので援軍を送る事も出来ません。荊州を平らげる絶好の時にございますっ」

「雍州の韓遂と枹罕の宋建はどう思う? 儂が南征に行けば、あやつらは兵をあげるかもしれんぞ?」

「韓遂達が兵を挙げる前に荊州を取り、韓遂を威圧するのです。さすれば、韓遂は怯えてこちらの言う事に従うでしょう。上手くいけば、宋建も降伏するかもしれません」

「ふむ。成程なそういう手もあるか」

 沮授の意見を聞いて、曹操は心を決めた。

「良し。儂の心は決まった。南征を行うぞ! 家臣達に兵を率いて許昌に集まる様に通達せよっ」

「「はっ」」

 曹操の命を聞き、郭嘉達は一礼し準備に取り掛かった。


 数日後。

 孫権の従兄である孫暠が反乱を起こし、呉郡を掌握したという報告が曹操に齎された。

 沮授が言っていたのはこれかと思っていたが、直ぐに続報が齎された。

「丹陽郡にて劉備が反乱を起こしました。また会稽郡の山越が劉備と手を組み、勢力拡大しておりますっ」

「・・・劉備め。やってくれるわ」

 続報を聞いた曹操は、これで孫権は外に目を向ける余裕はなくなったと分かり、安心して荊州征伐に専念する事が出来た。

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― 新着の感想 ―
三国志演義を振り返っても、劉備って、結構恩知らずで、呂布のように義父殺しまではしないけど、裏切りということでは同じ その劉備に従った孔明(意味深)
韓遂さんが乱を起こすにも武器になるヴァモーキが逃亡中で史実のようにはいかないかwあまりおいたすると片腕だけじゃなくクビが飛ぶだろうし、韓遂さん自重 耳長団の平壌営業w孫権の酒がぐいぐい逝きそうw
三国志演義でも劉備を庇えなくなりそうな程には裏切りの常習犯になってるよね 相対的に曹昂に降伏してからは真面目に忠実に配下武将として励んでる呂布がまともに見える位にはw
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