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考えの一つとして

 殿(しんがり)の呂蒙のお陰で、孫権率いる本隊は追撃を受ける事無く、揚州に到達する事が出来た。

 揚州に入るなり、孫権は魯粛に長沙郡の境の守りを固める様に命じた後、柴桑へと帰還した。

 帰還すると、程普が出迎えてくれた。

 既に山越が暴れている為、撤退する事になったと聞いていた様で、温かく出迎えてくれた。

 その様に温かく出迎えてくれた宿将に、孫権は一度でも疑った事を恥じていた。


 数日後。


 孫権は山越討伐の為に兵を整えていると、丹陽郡から帰ってきた周瑜が訪ねて来た。

「どうした? 周瑜」

「殿に折り入ってご相談があります」

 周瑜は固い顔で、重々しく述べた。

 その声を聴いて、これはただ事ではないと思った孫権は軽く身だしなみを整えた。

「・・・・・・話を聞こう」

「今我らの状況は非常に危ないと言えます。槍を突き付けられ崖っぷちに立っていると言っても過言ではありません。この状況を打破するとなると、国力を増すしかありません」

「その通りだ。だが、何処かに攻め込むば、此度の様な事になるぞ」

 孫権は本当の所、撤退などしたくなかったが、程普の調略や山越が暴れた為撤退せざる負えなかった。

 そのような事があった為、もう何処に攻め込んでも、敵の謀略に嵌るだけなのだと思っていた。

「それらの事を考えて、我らが取れる策は二つしかありません」

「二つだと? それはどのような策なのだ?」

 周瑜がいう策と聞いて、孫権は期待を込めて訊ねた。

「一つは劉表とまた同盟を結ぶです」

 周瑜の口から、劉表と同盟を結ぶと聞いて、孫権は思いっきり顔を顰めた。

「・・・・・・本気で言っているのか?」

「殿、お気持ちは分かります。ですが、現状では劉表と同盟を結んで曹操と対抗するしかありません。今の我らでは、曹操と戦っても十回中九回は負けます」

「ぬうう、確かにそうではあるな。劉表と手を結べば、荊州と揚州に相手にするという事になるからな」

「曹操といえど、そう簡単に攻め込む事は出来ないでしょう」

「一理ある。だが、劉表とは色々とあったからな。そう簡単に同盟を結ぶなどできん」

 父孫堅を討ち取られた恨みに加えて、弟の孫翊が謀殺された事の恨みなどある為、孫権は同盟を結ぶ事に躊躇していた。

 そんな孫権の思いなど分かっている周瑜だが、現状を考えるとこの方法もあると思い伝えたのだ。

「分かりました。ですが、今後の状況からそうせざる得ないとだけ、頭の隅にでもいいので留めておいて下され。そして、もう一つですが。以前、殿が却下された夷洲に攻め込み領地にするという事です」

「夷洲か。あそこは瘴気が漂う土地と聞いている。攻め込んでも、領地になるのか?」

「其処は土地を開拓するしかありません。それと、夷洲を手に入れる理由はもう一つあります」

「もう一つだと?」

「はい。夷洲を開拓し城を構えるのです」

「城を?」

「はい。そして、その地に本拠とし、力を蓄えるのです。敵が攻め込んできたとしても、陸路で行く事はできません。船を使うしかありません。我が水軍は天下随一と自負しております。その水軍が守れば、いかに曹操と言えど攻め込む事は出来ないでしょう」

 周瑜の話を聞いて、孫権は暫し考えた。

「・・・夷洲を開拓か。劉表と同盟を結ぶよりもいいかもしれんな」

「では、殿」

「だが、周瑜。今は山越の討伐が先だ。討伐を終えた後に、魯粛と相談し決めるとしよう」

「承知しました」

 周瑜も献策を述べたけなので、どちらの策を選んでも良かった。

 返事は後で良いと思い、一礼しその場を後にした。


 数日後。


 殿であった呂蒙が率いていた兵が半分失ったが、魯粛と共に柴桑へと帰還した。

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― 新着の感想 ―
孫家ごと台湾に逝って帰ってこなければ曹操的にもにっこりw 朝廷に降伏って策を言わない周瑜もそこまでやな…張昭老を先にFAさせておいて大正解やったな
交州の方がまだ可能性有ると思うけど。台湾はきついよなあ。
夷州へ。 止めとけ。 史実で孫権が兵力不足で悩んで、人狩りに行かせて、大失敗。 更に兵力不足が進んだという結果。 とばっちりで2人の将軍の首が飛んだし。
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