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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第十八章

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親子

 益州蜀郡成都県。


 県城内にある大広間にて、劉表が送った李厳が益州州牧の劉璋と謁見していた。

 上座に座っているのは、四十代ぐらいの男性であった。

 栄養のよさそうな艶のある顔に加えて、ふっくらとした頬を持っていた。

 豊かな口髭を生やしており、身長は平均的だが、太い腹を持っていた。

 この上座に座る男性こそ、益州州牧である劉璋。字を季玉であった。

「であるからして、我が主は劉益州牧と同盟を結び、曹操と対抗したいと申しております。どうか、お聞き届けを」

 李厳はそう言って、深く頭を下げた。

「うぅむ。そのような大事は、わたしの一存で決める事は出来ん。家臣と話し合って吟味してから答えるとしよう」

「はっ。承知しました」

 李厳はそう答え、その場を離れていく。

 李厳が部屋を出て行くと、劉璋の傍にいた男が訊ねた。

「父上。何を考えるのです。劉表と手を結ぶ事はありません。きっぱりと断るべきです」

 劉璋にそう述べるのは二十代ぐらいの男性であった。

 すっきりと背が高く、髭は生えておらず引き締まり感じの良い顔立ちをしていた。

 この男性は劉循と言い、劉璋の長子であった。

「劉表と我らは争う事もありませんでしたが、交流もありません。いかに同族と言えど手を組む必要などないでしょう」

 劉循は強く発言するが、劉璋は唸るだけであった。

「だが、息子よ。今、劉表と手を結ばねば、曹操がこの地に攻め込んで来るかもしれんのだぞ」

「その時は、益州の要害を用いて撃退するのです。兵糧は潤沢にあり、兵も東州兵を含め精鋭ぞろいです。曹操であろうと誰であろうと、そう簡単に負ける事はありません」

「だがな。漢中には張魯がいるぞ。あの者は、朝廷から漢寧郡の太守に認められた事で、勢力が日に日に増しているぞ。弟が殺された事を恨んで、和睦に応じる事もせん。劉表と手を結べば、何とかできるかもしれんぞ?」

 張魯は劉璋と仲違いした際、漢中郡を奪い独立し、勝手に漢寧郡と改称した。

 朝廷は郡の名称を勝手に変えたというに、兵を差し向ける事はせず、張魯を漢寧郡の太守に任じていた。

 密かに曹操と手を組んでいる事から出来る事であったが、そのような事を知らない劉璋からすれば、朝廷は張魯の存在を認めたとしか思えなかった。

「張魯など、所詮は戦を知らぬ邪教を奉じている男です。現に未だに他の郡を手に入れていないではありませんか」

「うぅむ。確かにそうかもしれん。だが、劉表はわたしを頼るという事は、余程窮地に陥っているという事だろう。そのような者を見捨てては、世の者達は、わたしの事を非難するのではないか?」

「そのような事を恐れては、益州を守る事は出来ませんっ」

「だがな・・・・・・」

 劉璋の煮え切らない態度を見て、劉循は内心苛立っていた。

 やがて、これ以上の問答をしては無駄と思い、会話を切って部屋を出て行った。

 廊下を歩きながら、劉循は憤っていた。

「あの父はどうして、はっきりと決める事が出来んのだっ」

 歩きながら、文句を言っていた。

(舅からの手紙では、劉表と手を結ぶ事はするなと書かれていた。だから、あれだけ言っているというにっ)

 どれだけ言っても、曖昧な答えしかしない父に対して、劉循は劉璋に対して失望していた。

(このままでは、父と一緒に我が一族は没落してしまう。早く、命が下らないものか)

 命が下れば、劉循はかねてより立てられていた計画を実行するつもりであった。

(一族存亡の為だ。父には悪いが、眠ってもらおう。永久に)

 考え方が違うからか、劉循は劉璋を嫌っていた。

 史実でも、劉備に負けた劉璋は荊州の公安県に移住させられたが、同行しなかった。

 この事から、父と折り合いが悪かったと考えられていた。

 だから、父を害する事に躊躇う様子もなかった。

 廊下を歩く劉循は、私室に入り侍女を呼び膳の用意をさせて、酒を呷った。


 同じ頃。


 兗州陳留郡陳留県。


 城内にある一室。

 其処で曹昂は文を読んでいた。

「・・・・・・耳が早いというか、何というか。何処から、そんな情報を手に入れたんだ?」

 文を読み終えた曹昂は溜息を吐いた。

 文の送ってきたのは、父曹操であった。

 書かれている内容は、王異という者を家臣にした事についてであった。

 最初、女性を家臣にした事を非難するのかと思い読んでいたが、美人と聞いているので、一目見たいと書かれていた。

(これは狙っているのか? それとも、興味が湧いて見たいだけなのか分からないな)

 どちらなのか分からず、曹昂は悩んだ。

 暫し悩んだ後、返信を認めた。

 文には、わたしの家臣なので、父上の妾にするつもりはありませんと書いた。

 数日後。

 曹操からの返信が届いた。

 其処には「儂を何だと思っている」と力強く書かれていた。

 その文を読んだ曹昂は内心で、人妻好きという悪癖を持った父と思っていた。

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― 新着の感想 ―
曹操よまた奥さんに怒られるぞ(箒とか持って追いかけ回されるぞ)
ぱっぱ<なにわろてんねん!(手紙  日頃のおこないやね残当 w
史実では曹操の女好きのせいで戦死するからなぁ… そら言われるわ。
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