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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第十八章

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西から来たのは

 貂蝉が子を産んだ事で、陳留では盛大に祝われた。

 すぐに曹操にも伝えるため、人を遣わした。

 曹昂も子を産んだ貂蝉の下に行く。

 寝台で横になっている貂蝉の傍には、産着に包まれた赤ん坊がいた。

「・・・旦那様」

「そのままでいい。元気な女の子だそうだな」

「ええ、顔を見てください」

 貂蝉に促され、曹昂は赤ん坊を抱きあげた。

「・・・母親に似たのかな。どことなく、貂蝉に似ているな」

「ふふふ、そうですか」

 曹昂の言葉を聞いた貂蝉は、微笑むだけであった。


 数日後。


 盛大に祝われた陳留も、落ち着きを取り戻し平穏な日々を過ごしていた。

 その陳留に、西から馬車が一台近づいて行った。

 少しすると、私室で寛いでいた曹昂の下に報告が齎された。

 その報告を聞いた曹昂は、大広間に向かった。

 曹昂が大広間に着くと、既に話を聞いていた様で司馬懿と法正が控えていた。

 二人が頭を下げるのを見て、横を通り過ぎる。

 その際に、女性が一人深く頭を下げているのが見えた。

 曹昂が上座に座ると同時に、司馬懿が話しかけてきた。

「殿、この者が以前お話した者です」

「やはり、そうか。面をあげよ」

 曹昂が顔を上げる様に促すと、その女性は顔を上げた。

 身長も七尺五寸(約百七十センチ)はあり、手も足も長かった。

 強い意思を宿した目と目鼻がくっきりとした顔立ちを持っているのが分かった。

「話は司馬懿達から聞いている。貴殿が王異で間違いないな?」

「はい。曹陳留侯にお目にかかれて嬉しく思います」

 そう答える女性こと王異を見た曹昂は、美人だなと思っていた。

(父上が知ったら、どう反応するだろうか?)

 食指を伸ばすかもしれないなと思いつつ、曹昂は話しかけた。

「良くこられた。雍州では大活躍したと聞いている」

「いえ、司馬懿様方が来られるまで何とか防いでいただけです」

 活躍を褒められても、王異は謙遜するだけであった。

 この地に来た以上、家臣になるためという事が分かったが、曹昂は一つだけ聞きたい事があったので訊ねた。

「わたしの家臣になりたいと聞いているが。それは、復讐の為か?」

 そう訊ねられた王異は一瞬だけ、目を大きくさせた。

「・・・・・・夫と一族の仇を討ちたいと思うのは、駄目でしょうか?」

「仇に気を取られ、家中の和を乱さないかどうか気になっただけだ。わたしの家臣になるという事は、状況次第では馬超を逃がす事になるかもしれない。その時追撃を仕掛けないと誓えるか?」

 曹昂としては、仇を取らせたいとは思うが、馬超に気を取られ命に従わないという事になるのは避けたかった。

 だから、どんな状況であっても命令に従うかどうかを聞きたいと思い訊ねた。

 問いかけられた王異は暫し黙り込んだ。

 司馬懿達も王異がどのような答えをするのか気になり、黙って見つめていた。

「・・・・・・仇に気を取られ、主命に逆らう事をしては家臣としての忠義に叛きます。そのような事をすれば、例え馬超を討つ事が出来たとしても、夫も一族も喜ばないでしょう。何より、子供達には常々、忠義を尊ぶべしと言っております。その様に言っている母が忠義に叛く姿を見せる事は出来ません」

 王異がそう答えるのを聞き、曹昂は頷いた。

「よかろう。王異よ。お主を家臣として迎えよう」

「ありがたき幸せ。お仕えできた記念として、献上いたしたい物があります」

 王異がそう言って、傍にある木で出来た箱を前に出した。

 箱の蓋を開けると、中から出てきたのは動物であった。

 それは、三尺(約六十センチ)ぐらいで体毛が長く密集し丸々と太ったような体型であった。

 長い尻尾に横に伸びた耳を持ち、毛衣は橙みを帯びた灰色、腹面は白っぽい灰色、四肢は黄土色、腰に茶色の横縞が走っていた。

 額は高く鋭い目つきに丸い瞳孔を持っているので、凛々しいと思えた。

「・・・・・・それは?」

「曹陳留侯は珍しい動物を飼うのが好きと聞きまして、野猫を手に入れましたので献上いたします」

「ほぅ、これは珍しいな」

 曹昂は王異が抱えている物を見て、マヌルネコだなと思っていた。

(チンパンジーと人間の祖先が枝分かれをした頃から存在している世界最古の猫と言われているからな。いてもおかしくないか)

 珍しいと言えば珍しいなと思っていると、王異は抱えているマヌルネコを箱に入れた。

「後数日ほどすれば、狸猫も来ますのでお楽しみを」

 王異がそう言うのを聞き、猫も来るのかと思う曹昂。

 猫は古代エジプトの頃から、存在している。

 古代中国では犬や豚といった家畜と違い一般的な動物と言えなかったが、『礼記』には祭祀に関する中で「迎猫」という儀式がある。

 これは鼠を狩る猫の為の祭祀と言われている。

 また、中国最古の漢字字書『説文解字』によると、 猫はタヌキの仲間と思われていた様で「狸猫」と言われていた。

「どういう伝手で狸猫を手に入れたのだ?」

「わたしの一族は雍州でも、それなりに大きい一族でした。ですので、方々に伝手がありますのでその縁で」

 王異の話を聞いて、曹昂はなるほどなと頷くのであった。

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― 新着の感想 ―
ぬこ!来たー!(そっちじゃない ヴァモーキ絶殺ウーマンいよいよ仕官。確かにぱっぱに面接させたら武将じゃなくて愛人になりそうだから正解w
マヌルネコ!那須どう○つ王国が歌作ってましたね。
世界で初めて、キャットタワーを作って名を残すのかな……w
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