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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第十八章

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功が欲しいのなら

 数刻後。


 曹昂の屋敷に向かっている一台の馬車が居た。

 馬車の箱の中に乗っているのは、五十代ぐらいの男性であった。

 官服を纏い、冠を被っている事から、朝廷の臣下の様だ。

 前髪が後退し額が出ており、髪や立派に生やした口髭にも白い物が混じっていた。

 額の狭いずるそうな顔に見合うように、その目には知的な光を宿していた。

 この者は王朗。字を景興と言い、諫議大夫の職に就く宮臣であった。

 馬車に揺られながら、王朗は人から渡された文を手に握っていた。

 やがて、屋敷の前に着いたのだが、其処には別の馬車があった。

 丁度、その馬車に乗っていた者が降りる所であったので、王朗は箱の窓から見た。

 馬車の箱から出てきたのは、四十代後半の男性であった。

 怜悧な顔立ちをしており、大きい丸い目を持っていた。

 整った口髭と顎髭を生やしていた。

 この者こそ、華歆。字を子魚と言い王朗と同じ朝廷に仕える宮臣であった。

「おお、華歆殿ではありませんか」

 王朗が馬車の窓から声を掛けた。

 声を掛けられた華歆は顔を向けると、馬車の窓から王朗が顔を出しているのが見えた。

「これは王朗殿。貴方も此処へ?」

「うむ。文を貰ったのでな」

 華歆の問いに、王朗は手に文を見せた。

「貴殿もですか。わたしもです」

 華歆も袖に手を入れて、文を取り出して見せた。

「・・・・・・我らが曹陳留侯に呼ばれたという事は、もしや」

「どうやら、温恢達を唆した事が露見したのでしょうな」

 二人は少し話しただけで、自分達が呼び出された理由が分かった。

 そして、軽く身だしなみを整えた後、屋敷に入って行った。

 

 屋敷に入ると、使用人に案内され一室に通された。

 部屋には膳が三人分置かれていた。

 その内の一つには、屋敷の主である曹昂が座っていた。

 二人を見るなり、曹昂は立ち上がり一礼する。

「ようこそ、お二方。我が屋敷へ」

 曹昂が一礼するのを見て、華歆達は恐縮しながら一礼する。

「この度は、お呼びとの事で参りました」

「我らであれば、何時でもお呼びを」

 華歆達がそう答えるのを聞いて、曹昂は手で二人に席に着くように促した。

 促された二人は席に着くと、控えていた侍女が盃に酒を注ぐ。

「まずは一献」

「はい」

「では」

 曹昂が盃を掲げると、華歆達も盃を掲げて口をつける。

 盃の中に入っていた酒を飲み干すと、直ぐに侍女が酒を注ぐ。

 暫く酒を飲みながら、雑談に興じていた三人。

 少しすると、曹昂は盃を持ちながら華歆におもむろに話しかけた。

「時に華歆殿。先の朝廷での争議をどう思われます?」

「争議ですか。さて、どの事でしょうか?」

 華歆は曹昂が何を訊ねているのか知りつつも、分からないフリをした。

「わたしが陛下より、恩賞を貰う時に温恢殿方が恩賞について、異を唱えた事です」

「・・・ああ、あれでしたか」

「あれは、温恢殿方が曹陳留侯の功績に対して、恩賞があまりに少ないと思い述べたのです。そうしなければ、陛下の威厳も損なうと思う、忠義から出た振る舞いでしょうな」

 王朗が温恢達の振る舞いを、もっともらしい事を述べたが、それを聞いた曹昂は失笑していた。

「恐れ多くも陛下の下知に対して異を唱える事が、忠義と?」

「さようです」

「少々、行き過ぎと思いますが。これも朝廷をひいては、陛下の事を慮っての事です」

 華歆と王朗がそう言うのを聞いた曹昂は盃を膳に置いた。

「そうか。しかし、陛下の言葉に異を唱えるのは、些か問題があると思うのだ。温恢を処罰すべきと思うが、お二人はどう思う?」

 曹昂の言葉を聞いて、華歆達は顔色を変えた。

「確かに、行き過ぎと思いますが、処罰をせずとも」

「いや、あのような発言をする者を宮中においては、朝廷の和を乱すかもしれない。此処は宮中から追い出すのが良いでしょう」

 曹昂がそう言うと、華歆達は何も言えず押し黙った。

「・・・まぁ、暫くの間、地方に行ってもらい経験を積めば、父に取り立てる様に申し出ても良いと思います」

「お、おお、そうですな。それがよいかと」

「あの者もよい経験をしたと納得するでしょうな」

 最初処罰すると聞いていたが、地方に飛ばされるだけと分かり華歆達は安堵した。

 余談だが、温恢は廩丘県令に飛ばされた後、幾つかの県令を経験した後、曹操の主簿に任じられた。

「父の威光を高める事は、朝廷の安定いたします。ですので、子として父を助けるのが道理というものです。ですので、父の威光を損ねかねない者をどうするか考えております」

 曹昂がそう言うのを聞き、華歆達は目を輝かせた。

 上手くやれば、曹操の覚えが良くなるのではと思ったからだ。

「そのような者が朝廷にいるとは知りませんでしたな」

「ちなみに、どなたですかな?」

「そうですね。太常の楊彪。太中大夫の孔融。後は屯騎校尉の伏完の三人ですね」

 曹昂があげた名を聞き、華歆達はにんまりと笑うだけであった。

 二人の反応を見た曹昂は内心でこれで良しと思っていた。

(これで良い。後は、この二人がどのように三人を排除するか見るだけだ)

 その後は、曹昂達は酒を酌み交わすだけに終始した。


 数日後。


 献帝より恩賞を下賜された曹昂は、そろそろ陳留へ帰還しようとしていた時。

 楊彪が職を辞するという報が齎された。

(何をしたのかは知らないが、思っていたよりも早く行動したな)

 報告を聞いた曹昂は笑みを浮かべた。

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― 新着の感想 ―
楊彪が引退か。 息子より長生きした人物。 かなり優秀な人材だし、妻が袁術の父、袁逢の姉だからという理由で史実では曹操に殺されかけたが、今回はそういう話はないな。 息子に跡目を譲って、隠居だろう。 それ…
呼んで「めっ!」かと思ったらwより燃料チャージさせて毒をもって毒をw朝廷の中なんてそれくらい黒くないと渡り歩けないか
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