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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第十七章

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いざ、江夏郡へ

荀彧が陳留に来て、数日が経った。

 上奏の返事の使者として来たので、直ぐに帰るかと思われたが、暫く逗留すると言い帰らずにいた。

 食事の際にカラメルが付いたプリンを食べると美味しそうに食べつつ「丞相は何故、この味の良さが分からないのでしょうな」と言っていた。

 それを聞いた曹昂はまさか、カラメルが付いたプリンが食べられるから逗留している訳ではないよなと思っていた。

 やがて、劉備に使者として遣わした諸葛亮が護衛の趙雲と共に帰って来た。

 帰還の報告を聞くなり、曹昂は劉巴に召集を掛けた。

 程なく、大広間にて曹昂と劉巴と何故か、その中には荀彧の姿があった。

「申し訳ありません。交渉は失敗いたしました」

 部屋に入った諸葛亮は申し訳なさそうに頭を下げて謝って来た。

「いや、先生。わたしが無理な事を頼んだのです。先生の所為ではありません。どうか、お気になさらずに」

「有り難きお言葉にございます」

「長旅でお疲れでしょう。部屋でお休みを」

 曹昂が退室を促したのだが、諸葛亮は首を縦に振り部屋を後にすると、趙雲は護衛として曹昂の側に立った。

「曹陳留侯。あの者が、あの司馬徽が臥龍と称した男ですか?」

「如何にも。今はわたしの食客をしております」

 荀彧が諸葛亮を見て、曹昂に訊ねて来た。

「成程。あの者が。あれは逸材ですな」

 諸葛亮を見た荀彧はそう評するのを聞き、曹昂は内心で喜んでいた。

 一頻り喜んだ曹昂は劉巴を見た。

「朝廷からも使者を送っておりますが、孔明殿の交渉が失敗した所を見ると、恐らくそちらも失敗したと見ても良いでしょう。である事から、程なく朝廷より、江夏郡に居る劉備を討てという返事が来るでしょう」

「兵の準備はどの程度進んでいる?」

「騎兵歩兵合わせて三万。並びに南陽郡と襄陽にも援軍を乞うかもしれないので、兵の準備をして欲しいという文を送りました」

「良し。劉馥の叔父上には知らせを送ったか?」

「はっ。既に送っております」

「では、後は朝廷からの使者が来るまで待つだけか。呂布達はどうだ?」

「出陣の命が下るのを、今か今かと待っております」

「ふふ、逸っているな。まぁ、それは良いんだ。何時でも出陣できる様に伝えておいてくれ」

 そう言った曹昂は部屋を後にした。


 諸葛亮が部屋に戻り、一息ついていると、部屋に誰かが訪ねて来た。

「貴殿が、孔明殿ですな。わたしは荀彧。字を文若と申します」

「まさかっ、荀尚書令⁉ 貴方の様な高名な方と会えるとはっ」

 荀彧が名乗ったので、諸葛亮は慌てて頭を下げた。

 そんな諸葛亮を見て、荀彧は手を振った。

「わたしも貴殿の様な方と会えて嬉しく思います。貴殿の話は、司馬徽殿から良く聞いております」

「ああっ、水鏡先生は朝廷に仕えておりましたね」

 荀彧から司馬徽の名前が出たので、諸葛亮は今司馬徽は朝廷に仕えている事を思いだした。

 その後、荀彧と諸葛亮は茶を飲みながら話に興じていた。


 数日後。

 朝廷からの使者が来た。

 曹昂と荀彧が、その使者を出迎えた。

「荀尚書令。これを」

「うむ」

 その使者は手に持つ巻物を荀彧に渡した。

 荀彧は巻物を広げて中を改めた後、曹昂に身体を向けた。

「勅命を伝える」

 荀彧がそう述べると、曹昂は軽く身嗜みを整えた後、膝をついた。

「曹陳留侯の上奏を聞き入れて、朕は熟慮に熟慮を重ねた。その結果、上奏を聞き入れ、そちに江夏郡に居る逆賊劉備の討伐を命じる」

「拝命いたします」

 曹昂は頭を下げて、勅命を受けた。

 そして、直ぐに出陣の命を下し、三万の兵と共に陳留を出陣した。

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― 新着の感想 ―
劉備、目出度く逆賊認定
荀彧、自身の後継者足り得る諸葛亮、司馬懿を見に来たのかな。 しかし、新鮮だわな。 荀彧と諸葛亮の邂逅。 もう一つの方法が皇帝の親○だったんだが、外れたわ。
史実(三国志正史)では接点らしい接点のなかった荀彧と諸葛亮・・・この二人の軍師の邂逅にちょっと感動してます。 この二人なら話もきっと合うでしょうし、どんな話に興じたのか、それだけで色々な想像が膨らみま…
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