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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第十七章

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そう来るのなら、こちらは

 数日後。


 蔡瑁の文が陳留の曹昂の下に届けられた。

 封を破き、中を改めると、書かれている内容を読んだ曹昂は唸っていた。

「囮で襄陽にいる曹仁軍を引き付けながら、蔡瑁率いる水軍と黄祖軍で劉備が籠る西陵県を攻撃するか。今の孫権の状況では、援軍は送れないからな。劉備も落城は免れないな」

 曹昂は流石は蒯越と、敵の智謀を称えていた。

「まぁ、どんなに良い策であろうと、敵に知られては無策に等しいけどね」

 曹昂は笑った後、少し考えた。

(襄陽に居る曹仁殿に、この事を教えるか。・・・いや、教えた所で、陽動を無視して江夏郡に攻撃を仕掛けるで終わるな。陽動を率いるのは文聘だからな。襄陽に曹仁が居ないと知ったら、陽動を止めて襄陽を攻略に切り替えるかも知れないな)

 そうなれば、襄陽が落ちるかも知れないので、曹仁には囮の対処をして貰う事にした。

「襄陽が駄目でも、南陽郡があるからな。太守の曹休に伝えるか。確か、今関羽が曹休の下で働いてると聞いているからな。関羽が率いれば、城の一つや二つは落とせるだろう」

 丁度良いので、関羽を使う事にした。

 曹昂は直ぐに襄陽に居る曹仁と、南陽郡の曹休に文を送った。

 

 数日後。


 南陽郡宛県。

 その県は南陽郡の郡治所となっていた。

 城内に一室で曹休は政務を行っていたが、其処に韓嵩が訪ねて来た。

「失礼いたします」

「これは、徳高殿。どうされました?」

 部屋に入って来た韓嵩が一礼すると、曹休は手を止めた。

「陳留からの文が届きましたのでお届けに」

「陳留? 従兄上からか」

 韓嵩から渡された文を受け取った曹休は受け取り、広げて中を改めた。

「・・・・・・何と、劉表が劉備を攻めるとはっ」

 文を読むなり、驚きの声をあげる曹休。

 その声を聞いて韓嵩も目を丸くした。

「何と、太守様。どういう事でしょうか?」

「文によると劉表が、文聘軍を囮にして蔡瑁率いる水軍と黄祖で劉備軍を討ち取る事にした様だ」

「成程。それで、曹車騎将軍は何と?」

「囮は襄陽の曹仁殿に対処させるので、わたしの方は黄祖が軍を率いて、手薄になった城を攻撃せよとの事だ」

「然様ですか。直ぐに兵の準備を致します」

「うむ。頼んだ。指揮はわたしが執るとしよう」

 曹休が指揮を執ると聞いて、韓嵩が止めた。

「太守。貴方が兵を率いる事はありません。此処は関将軍に任せましょう」

「関羽殿か。しかし、丞相の家臣である者を使っても良いのだろうか?」

「其処は問題ありません。丞相から、好きに使っても良いと言われているではないですか。ですので、問題ないでしょう」

「そうか。では、関将軍を呼んでくれ」

「承知しました」

 韓嵩は一礼し部屋を出ていった。


 それから、数日後。


 漢寿から文聘率いる一万が出陣し北上した。

 目的地は決めていない様で、ただ目立つ様に北上し続けた。

 北上し続けている事で、文聘軍は注目を集めた。

 襄陽に居る曹仁も直ぐにその動きを察知した。

「来たな。既に何の為に北上している事も知らずに」

 文聘の行動を見た曹仁は嗤いながら、陳矯に述べた。

「陳矯。襄陽の守りはお主に任せた。わたしは一万の兵と共に出陣し、敵の策に掛かった様に見せつける」

「承知しました。例え敵に攻められる事になろうと、必ずや守りますっ」

「頼んだ。満寵、お主はわたしと共に付いて来い」

「はっ。畏まりました」

 曹仁は命じて兵の準備を行い、一万の兵と共に出陣した。

 数日程すると、曹仁率いる軍と文聘軍は対敵した。

 曹仁は敵の策に掛かったフリをする為、積極的な攻勢を仕掛けなかった。

 文聘も囮の役目を果たす為に、出来るだけ時を稼ぐ為に攻撃を仕掛けなかった。

 その為、両軍は対敵するが、小競り合いだけで積極的な攻撃を仕掛ける事はしなかった。

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― 新着の感想 ―
荊州争奪戦、謀略戦開始か
場所と状況的に、或いは髭神と耳長ダル○ム(もしくは張飛)の戦いが勃発する可能性もあり得るか…?
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