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この展開は

 閻温を処刑された翌日から、馬超は冀県に力攻めをする様に号令した。

 援軍が来る前に城を落そうというつもりの様だが、阿貴と楊千万が無謀だと説得しようとしたが、聞く耳を持たなかった。

 馬超の命により、包囲していた兵達は総攻撃をしかけた。

 対する冀県側は、閻温が処刑される際に述べた援軍が来る事に希望を持ちながら防戦に励んだ。

「閻温殿が援軍が来ると申していたぞっ。あの方の意思を無駄にするなっ」

「馬超を撃退し、閻温殿の仇を取るぞっ」

 そう兵隊に檄するのは、王異の指揮下で働く一族の者達であった。

 この籠城戦には、王異の一族の者達の殆どが参戦し、奮戦していた。

 

 総攻撃が始まり二日経ったが、城は守られていたが、反比例する様に兵の死傷者が増えて行った。

 兵糧と武具は十分あっても、兵が少なくなれば守るのが困難になっていく。

 趙昂達もそれが分かっているのだが、今は兵達を激励し援軍が来る事を待つ事しか出来なかった。


 三日後。

 閻温が言っていた援軍が来ると言った日であった。

 その日は、朝から馬超軍の激しい攻勢は続いていた。

 碌に休む間もなく動き回る兵達と、指揮する趙昂達。

 趙昂達よりも、兵達の方が動きに精彩を欠きだした。

 それにより、城壁に掛けられた梯子から馬超軍の兵が駆けあがり、城壁に上がった。

「上がって来たぞっ。殺せ!」

「此処を通すな‼」

 兵達が馬超軍の兵に群がり、めった刺しにした。

 その間にも、他の所から馬超軍の兵が城壁に上がっていく。

「防げ! 何としても防ぐのだ!」

 城壁に上がって来る馬超軍の兵を切り殺しながら、趙昂は自軍の兵達に守る様に命じた。

 血で濡れた剣を構えながら、上がって来る馬超軍の兵を切り殺していくが、目に入る周囲だけ警戒していた為、背後の警戒を疎かにしてしまった。

 其処に別の所から、上がって来た馬超軍の兵が趙昂の背に近付いた。

「将軍っ⁉」

 自軍の兵の声を聞いて、趙昂は振り返ろうとしたが、背中に痛みが走った。

 程なく熱いと感じたが、それでも趙昂は振り返り、自分を襲ったた馬超軍の兵を返り討ちにした。

「・・・ぐ、があああぁぁぁ」

「将軍っ。一度お下がりをっ。者共! 守れ!」

 趙昂の部下が、趙昂の肩を貸しながら、兵達に守る様に命じた後、その場を離れた。


 別の城壁の上で、防戦の指揮を取っていた王異の下に、趙昂が斬られたという報が齎された。

「旦那様がっ。それで、傷は?」

「かなり深く斬られた様です。今薬師が懸命に治療しております」

「そう。分かったわ」

 報告しにきた者を下がらせると、王異は状況が不味い方へ傾いていると分かった。

 このままでは、城が陥落するという思いが、頭を掠めた。

(せめて、子供達は助けないとっ)

 王異は自分の子供達を逃がそうと考えていた時。

 ジャーン! ジャーン! ドンドン‼

 何処から大きな轟音が聞こえて来た。

 王異は目を凝らすと、其処に居たのは軍勢であった。

 その軍勢を見て、冀県の兵達は歓声をあげた。

「・・・・・・旦那様。援軍が来ましたよ」

 王異の呟きは、歓声によりかき消えた。


 太鼓や鉦などを鳴らす司馬懿軍。

 援軍が来た事を告げる為に、鳴らし続けた。

「どうやら、まだ落ちていなかったようだな」

「ええ、これは嬉しい誤算という奴ですね」

 司馬懿と法正は、未だに冀県が落ちていないのを見て喜んでいた。 

「とは言え、今にも落ちそうだな。法正殿、頼んだぞ」

「お任せを」

 法正は先鋒に進軍の合図を送った。

 そして、先鋒はゆっくりとだが進軍しだした。


「おのれ、もう来たかっ」

 背後に援軍が来たのを見て、馬超は憤激していた。

「馬超殿、此処は二手に分かれましょう。一方が援軍を防いでいる間に、残る軍勢で城を攻め落とすのだっ」 

 怒れる馬超に楊千万が進言した。

「そうだなっ。良し、阿貴殿に軍勢の半分を与えるので、援軍を防ぐ様に命じよっ。その間に、我らは城を落すぞっ」

 馬超は命を下した。

 楊千万はその命を聞きながら、これ以上の無理な攻めをするのは得策ではないので、密かに冀県の兵が城外の援軍に呼応しない程度に攻める様にと命じた。

 その間に、阿貴率いる軍勢が司馬懿軍の先鋒と距離を詰めていく。

「先鋒を撃破した後に、敵の本陣を打ち破るぞっ」

 阿貴がそう号令し、突撃した。

 喊声あげながら突撃する阿貴軍の兵達であったが、敵の先鋒の顔が視認出来る距離まで来ると、徐々に足を緩めて行き、やがて完全に止まった。

 兵達は困惑していると、先鋒を指揮していた部将が声を張り上げた。

「何をしている⁉ 早く突撃し、敵を殺せ!」

「で、ですが、あそこに居る者達は」

「敵の先鋒であろう。それがなんだと・・・・・・えっ?」

 兵が敵の先鋒を指差しながら言うのを聞き、部将は其処で初めて敵の先鋒を見た。

 敵の先鋒は武器と言える物を持っていなかった。

 加えて、大半が女子供ばかりであった。

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― 新着の感想 ―
どっちにしろ馬(鹿)超は終わりやな 城は攻め落とせない、馬超に協力した一族は37564 力こそ正義の遊牧民が損切りするラインは全て超えてる
これは悪どい、流石は法正と司馬懿。 んでもって、その主人である主人公が悪名を高めるわけですね(笑)
司馬懿と方正の軍略エグい 完璧 敵にしたくない
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