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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第十七章

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○○の名は

 十数日後。

 

 曹昂が軍の準備をしている中、法正が参った。

「お忙しい中に失礼いたします」

「わたしは問題ない。それよりも、どうしたのだ?」

 法正も戦に赴くので、準備をしている。

 その最中で来る以上、何か事情があるのだろうと曹昂は察した。

「はい。実は犬を提供してくれた所から、別の犬も貰って欲しいという文と共に(・・)届きました」

「ふむ。別の犬か」

 法正が言う別の犬とは、軍用犬では無く愛玩犬という事だと予想する曹昂。

 正直な話、何の役に立つか分からないと言えた。

(まぁ、犬の調達する伝手が無くなるのも困るからな。それに、向こうからすれば、誼を深めようとしているだけだろうからな)

 曹昂はこれからも、犬を調達する事もあるので、誼を通じておくのも悪くないと判断した。

「良し。こちらの要望に応えてくれたのに、向こうの要望を断るのは義に悖るな。その別の犬を貰い受けるとしよう。何時頃届くのだ?」

「・・・実は既に届いております」

 法正が、言い辛そうな顔をしつつ教えた。

 それを聞き、曹昂は先程の言葉を思いだした。

(ああ、そう言えば。文と共にと言っていたな。文と一緒に届けられたという事か)

 それならば仕方がないので、一度その犬を見ようと思い、連れて来いと命じようとした所で、部屋の外に控えていた趙雲が部屋に入っていた。

「申し上げます。曹丞相が送った使者が参り、お会いになりたいそうです」

「父上の。通せ」

 曹操の使者と聞いて、曹昂は顔を引き締めた。

 趙雲は一礼し部屋を出て行くと、使者と共に戻って来た。

「ご使者殿。遠路はるばるご苦労であった。して、父上がどうかしたのか?」

「はっ。曹丞相が間もなく、此処陳留に辿り着きますので、先触れとして参りました」

「なにっ⁉ 父上はもう軍勢を整えたというのか⁉」

 幾ら何でも早すぎると思い、驚く曹昂。

「丞相が先に騎兵一万を率いて許昌に向かい、後に夏候将軍が本軍と共に許昌に入る手筈になっております」

「成程。丞相が先駆けで許昌に向かうのであれば、これほど早く来るのも納得できますな」

 使者の話を聞いて、法正は曹操が早く来た理由が分かり頷いていた。

「これは仕方がない。直ぐに出迎えの準備をせよ。家臣達にも伝えるのだ」

「はっ。直ちに」

「使者殿。父上はどの門に来るのだ?」

「東門に参ります」

「そうか。ご苦労であった」

「はっ。では、わたしはこれで」

 使者が一礼し部屋を出て行くと、法正も出迎えの準備の為に出て行った。


 数刻後。


 陳留の東門。

 門前には多くの家臣が待っていた。

 無論、曹昂も居た。

 その中に何故か、西藏獒犬も居た。

 自室に居る様に命じたのだが、何故か付いて来たのだ。

 仕方がないので、連れて来た様だ。

 そうして待っていると、武装した軍勢が見えて来た。

 軍勢が持つ旗には、曹の字が書かれた旗を掲げていた。

 先頭には、四頭立ての馬車が居た。

 薄い垂れ幕が掛けられているが、誰かが乗っている事は分かった。

 やがて、城門から少し離れた所で、軍勢の足がピタリと止まる。

 馬車の中に居る者が立ちあがると、馬車の側に居る者達が小さい階段を、馬車の箱に掛ける。

 馬車に乗っていた者は階段を一段ずつゆっくりと降りて行き、地面に降り立ったのは曹操であった。

 曹操が降り立つのを見て、曹昂は手で合図を送る。

 合図を見た趙儼が楽隊に楽器を鳴らすように命じた。

 楽器の音を聞きつつ、曹昂は曹操の下に向かう。

「父上。お越しいただきありがとうございます」

「うむ。お前も元気そうで何より・・・・・・むっ?」

 久しぶりに息子と話し合っていると、その足元に見慣れぬ生き物が居る事に気付く曹操。

「何だ。その生き物は?」

「ああ、これは犬にございます」

「犬だと。随分と大きく、そして毛量が多いな」

 曹操は珍しいと思い、西藏獒犬をジロジロと見ていた。

 不躾な視線を浴びたのが気に入らないのか、西藏獒犬は唸り声をあげる。

「ウウウ、ウォオオオンンン‼‼」

 西藏獒犬がまるで獅子の様に吠えた。

 その力強い咆哮に、皆思わず身構えた。

「ほぅ、何とも力強い遠吠えよ。天をも震えそうではないか」

「申し訳ありません。見慣れぬ人が居るので、警戒している様です」

 曹昂が西藏獒犬を撫でて落ち着かせると、少しずつだが落ち着いて行った。

「何時から、この様な犬を飼う事にしたのだ?」

「今年からです。少々したい事がありまして」

「そうか。それで、その犬は何と言うのだ?」

「名前ですか。ええっと・・・・・・」

 実はまだ名前は無かったので、曹昂は慌てて考えた。

 其処で先程の曹操の言葉を思い出した。

「・・・・・・哮天にございます」

「天に(ほえ)るか。悪く無いな。先程の咆哮を聞いていると、丁度良いではないか」

「そうですか・・・・・・」

 今思い付いたのだけどなと思う曹昂。

「では、どうぞ。城内へ」

「うむ」

 曹操は頷いた後、馬車に乗り込んだ。

 曹昂が横に避けて道をつくると、家臣達もそれに倣い道を作った。

 曹操が乗る馬車がその道を通り、城内へと入って行った。


 城内に入り、沿道に集まった民の歓声を聞きながら、内城に入る曹操。

 そのまま、用意されている部屋に向かっていると、小さい何かが近づいて来た。

 護衛として側に控えている典韋と許褚は得物に手を掛けるが、曹操は手で止めた。

 そして、小さい何かが曹操の下まで来たので、膝をあげて観た。

 曹操の目に入っているそれは、しっかりと突き出た鼻に短毛で垂れて黒い耳を持ち、淡い黄褐色の被毛でしっかりとした骨格を持っていたが、身の丈は一尺(約二十三センチ)ほどしかなかった。

「・・・・・・犬だな。随分と小さいな」

 曹操は目の前にいる犬をマジマジと見ていた。

 小さい犬はつぶらな瞳で見上げていた。

「・・・ふむ。この皺、まるで皇の字に見えるな」

 曹操が手を伸ばすと、その犬は大人しくしていた。

 伸ばした手は犬の頭を撫でると、犬は嬉しそうに尻尾を振っていた。

「ふむ。気に入ったぞ」

 曹操はニカっと笑うと、その犬を持ち上げて抱いた。

 少しすると、法正が前から来た。

 何かを探している様で、辺りを見回していると、曹操達を見つけた。

 一瞬だけギョッとした後、慌てて曹操達の下に駆け寄った。

「も、申し訳ありませんっ。犬が失礼をっ」

「構わん。この犬はお主の犬か?」

「いえ、知り合いから貰って欲しいと言われて届けられたので、持ち主が見つかるまで預かろうと思っておりました」

「そうか。では、儂にくれるか?」

 曹操は訊ねているが、法正からしたら、主の父の命に逆らう事は出来なかった。

 なので、法正は頭を下げた。

「どうぞ。構いません」

「そうか。・・・・・・今日からお前は王印と名付けよう」

 曹操は腕の中に居る犬にそう名付けた。

 王印を撫でつつ曹操達は部屋へと向かった。

 犬の名前の公募で多くの感想を頂きありがとうございます。

 厳正に選んだ結果、かっぱ2000様の哮天に決定しました。

 ちなみに、曹操が飼う事にした犬種はパグです。

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― 新着の感想 ―
やっぱり曹操ぱっぱもイッヌを手に…wこれはもう曹操陣内で愛犬派閥ができる。ヌコ会派もはよ!w
[一言] 哮天採用、ありがとうございます!これで曹昂も二郎真君になれますね。
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