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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第十六章

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とある絵を見る

 曹熊の一件が終わった数日後。


 陳留に帰る準備を終えた曹昂。

 それが終わると、父曹操の下に向かう。

 部屋に向かい、外に控えている典韋に会いに来た事を告げた。

 典韋が一礼し、部屋に入って行くと、直ぐに戻って来た。

「どうぞ。丞相がお会いになるそうです」

 典韋に入る様に促され、曹昂は部屋に入って行く。

 部屋に入ると、曹操は壁に掛けられている一枚の絵を見ていた。

 黙ってジッと真剣に見ているので、どんな絵なのか気になり、横から覗いてみた。

 絵に描かれているのは、女性が二人描かれていた。

 別にあられもない姿が描かれている訳では無く、衣を纏っていた。

 二人共、魚や雁も恥じらって姿を隠す程の、あでやかな美人であった。

 共に美しい姿であったが、若干違いがあった。

 一人は足が大根の様に太く、もう一人は撫で肩であった。

「父上。曹子脩、挨拶に参りました」

「・・・・・・ああ、来たか」

 曹昂が声を掛けると、曹操はようやく絵を見るのを止めた。

「父上、そろそろ、陳留に帰ろうと思いますので、挨拶に参りました」

「そうか。これからも職務に励むようにな」

「はっ」

 挨拶を終えると、曹昂は掛けられている絵を見た。

「綺麗な女性の絵ですね。誰が描いたのですか?」

「熊だ。まさか、あいつにこの様な才があったとはな・・・」

 曹操は感嘆の息を吐いた。

 息子に、絵の才能がある事に驚いている様であった。 

「それは同感ですね。熊にその様な才があると思いもしませんでした。それで、この絵は誰を描かせたのですか?」

「この絵か? 知り合いの娘達を描かせたのだ」

 曹操が話しながら、絵に目を向けた。

「知り合いですか。それは誰ですか?」

 何となくだが、知っているかも知れないと覆いつつ曹昂は訊ねた。

「お前は知らんだろうが、橋玄という者だ。わたしがまだ無名であった時に、わたしの才を高く買ってくれたのだ」

「そうなのですか。では、この二人は、そのご息女たちで?」

「そうだ。江東の二喬と言われているそうだ」

「名前は知らないのですか?」

「ああ、教えて貰う前に、橋玄殿が亡くなってしまってな。しかも、橋玄殿が亡くなった事で、家は生業が無くなり一族は離散。その姉妹達は江東に居る親戚の下に行ったそうだ」

「ちなみに、この絵はどうやって描いたのですか?」

「江東に居る間者達に、その姉妹達を探させて、その姿を報告させた。その報告を元に、わたしが熊に教えて描かせた」

「成程。ちなみに、今はどうしているので?」

「姉の方は孫策に嫁ぎ、妹の方は周瑜に嫁いだそうだ」

「そうですか。では、揚州を手に入れた暁には」

 曹昂が其処まで言い、曹操を見た。

 すると、曹操はニヤリと笑うだけであった。

 その笑みを見て、曹昂は直ぐに悟った。

「では、二喬を左右に侍らせて、銅雀台にて、朝タを共に楽しむ事ができれば、さぞ嬉しいでしょうね」

「分かっているではないか。とはいえ、まだ内政に力を入れる時だ。戦を仕掛けるのは、来年か再来年になると思え。それまで、戦を仕掛けるのは控えよ」

「承知しました。では」

 曹昂は深く頭を下げた後、部屋を後にした。

 本作では二喬は橋玄の娘とします。

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― 新着の感想 ―
[一言] これだからスケベ親父は…… ノータイムで奥様に密告Goですよこれはw
[一言] 流石、曹操というしかない。 軍事、政治、知謀を引き続いだ曹昂 バランスが取れた曹丕 武勇は曹彰 詩才は曹植 芸術は曹熊 曹冲がどの方面に向くかはわからんが、高い能力を持っているのは確か
[一言] さすが親子!これで曹家は二代は安定でございます! 素晴らしい!
感想一覧
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